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みんなが断った異世界転移☆暇な日、限定で揚げもん屋『フライデー』をやってます。  作者: 夏カボチャ 悠元
7章 繋がりの先に、女神の心と紡がれる道

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173話、魔性の麻婆豆腐

△△△


 ゴスロリツインテールこと、エトランジュと話し合い、飯を一緒に食べて、ドーナと仲直りという流れになった。


 互いに揉める気がなければ似た者同士な雰囲気もあったので、まぁ、しゃあないって感じの反応になってしまうんだが。


 それからエトランジュに話があると言われ、俺は庭に移動する。


 食事前と似た感じになってしまっていたが、最初と違うとすれば、笑顔のエトランジュの存在だろうか?


 みんなで食事をするまではどことなく寂しそうで切なそうな表情を感じさせていたが、同一人物とは思えないくらいに明るい雰囲気になっている。


「それで、話ってのは、なんなんだ? みんなには、大切な話みたいだからって、待っててもらってるが……」


 そう、話があると言われた俺は庭に移動しているが、俺達2人を見張るようにして、玄関付近から見つめる嫁ちゃん達の姿があった。

 ただ、離れた位置で見ていることとフライちゃんの「信じましょう」という言葉で見張るだけで我慢しているようだ。


 どちらにしても、今のエトランジュが俺に危害を加えるとは思えないし、最初の時にも言えたが、危ない雰囲気はあったが、敵意や悪意は感じなかったように思う。

 まあ、今だからそう感じるのであって、最初は色々と焦ったが、とりあえず、エトランジュの言い分もあるだろうから、話をゆっくりと聞いていくことにした。


「あらあら、確かにそうよね。私が厄介な接触の仕方をしたからこんな騒動になっちゃったんだしね」


 手を合わせて、ゴメンっと言うような仕草をする姿に少し笑いそうになってしまったが、そのまま話を聞いていく。


「フライさんが怒るのも仕方ないことなのよね、怒られることをしちゃったもの、アナタをフライさんの加護から一旦、切り離そうとしたのは事実だしね」


「加護から切り離す? あ、あの時の発言か! てっきり、首と頭を切り離すって意味かと思ったけど、違ったんだな」


「はぁ! なんでそんな怖い話になるわけ、アンタってば、もしかして危ない人だったりするの?」


 警戒するように一歩後ろに後退されると、少しだけ、ショックだな。


「いや、首に手を回して、あんな発言してたら、普通勘違いするだろ? むしろ、フライちゃんの加護を切り離すなんてことしたら、もっと怖い結果になってたぞ……」


「そ、そうだよね……私としたことが、すぐに戻せば大丈夫かなって、甘い考えをしてましたね……」


 どうやら、本当に気づいてなかったようで、顔を青ざめさせる姿に俺は何とも残念な人なんだなと再確認してしまった。


「そういえば、なんで加護を切り離すなんて考えになったかを話してくれないか? わけが分からないとモヤモヤするしな」


「理由ですか? それはすごく簡単な話でして、名も無き神を捕まえて、神軍に引き渡した後の話になるんですがね」


 ──エトランジュは、捕らえた名も無き神を天界に引き渡してから、世界を管理する[転生と転移の間]に戻ってきた。


 名も無き神から、引き継ぎもなかったため、フライちゃんの残した引き継ぎの書類や、その他の情報を確認していく。


 そして、見つけてしまったのだ。フライちゃんが忘れた“金山さんメモリー”と書かれた日記帳であった。


 中身を確認したエトランジュは驚かされた。

 金山と書かれた名前の下には、料理の名前や出来事が書かれており、さらに手作りの料理を食べたという、一文を見て驚きが収まることはなかったようだ。


 少なくとも、天界にも[転生と転移の間]にも、料理という概念は存在しなかった。

 果実や野菜を自然のままに食べ、調理とは名ばかりの魚や肉は焼くのみで、味は淡白であり、無味と言っても申し分ない。


 そのため、天界しか知らないエトランジュは、衝撃を受けたそうだ。

 肉の仕込みから、下味の処理、焼き方から盛り付け、ソースに付け合わせ、天界では食事は肉体を維持するための行為であり、“食”に対する興味がないのが天界の考えであったからに他ならない。


「ですので、フライさんの加護を切り離すことで、私の加護を一時的に与えて、[転生と転移の間]に来てもらおうと思ったんです……フライさんの加護があると、呼び出したりできないので、本当にすみませんでした……」


 そこまで語るとエトランジュから、ついさっき食事をしたはずなのだが……“ぐ〜”とお腹の音が鳴った。


「あ、あの、これは……」


「……うんうん。わかった、わかった。おーい! みんな、まだ飯は食えるか?」


 俺とエトランジュの会話を覗いていた嫁ちゃん達が返事をするように飛び出してくると首を縦に振る。


 確認が済んだため、すぐに俺は屋敷の厨房に向かう。


 手早く玉ねぎ、ニンニク、白ネギを刻み、油を引いた中華鍋に入れていく。


 煙を上げて放たれる香辛料の香りが広がり出す。

 軽く炒めた野菜を別皿に移してからオークミンチを手早く中華鍋に入れて炒めていき、火が完全に通ったことを確認していく。


 鶏ガラの素を取り出していき、水を加えてから、基本の味付けに酒、味醂、醤油を加えると、一気に白い煙が上がる。


 ここまでの工程を見てフライちゃんが興奮したように声を出す。


「きんざんさん! それってまさか!」


 目を輝かせるフライちゃんに笑いながら頷く。


「おう、麻婆豆腐だよ」


 すべての野菜を炒めたオークミンチに加えて、ひと煮立ちさせると、香辛料を足していき、豆板醤とレッドスコーピオンから作った辣油を加える。


 辛さを調節していき、最後に豆腐を入れてひと煮立ちさせていく。


「みんな、少し冷ますから待ってくれよ。あと、米はいるか?」


 俺の質問にエトランジュ以外の全員が頷くと慌てたようにエトランジュも頷いた。


 熱々の麻婆豆腐も確かに美味いが、少し冷ました方が美味いと俺は思っている。

 軽く冷ましてから、最後にすり潰した山椒の粉を回しかけてから、数回、掻き回していく。


 この際に甘口の麻婆豆腐は山椒抜きにしてある。辛いのが苦手な嫁ちゃん用だ。


 最後に彩りの為に青ネギを振り掛けて完成になる。


 今回は甘口の大皿が一つ、大皿二つにたっぷりの麻婆豆腐を用意した。


 皆に白米が行き渡ったことを確認してから両手を合わせて、食べ始めていく。


 赤く輝き湯気をあげる麻婆豆腐に全員が喜びを(あらわ)にすると同時に人数分のレンゲを渡す。


 夜中の麻婆豆腐を嫁ちゃん達が食べ始める。


 甘口の麻婆豆腐を大皿で用意した理由は、ナギがたくさん食べること以外にも、辛口麻婆豆腐との食べ比べもできるようにするためだ。


 嫁ちゃん達の中には辛さが苦手な子もいるが逆に、甘口を食べてみたいという嫁もいるため、絶対に二種類の味が必要になる。


 まあ、どちらも美味しくできているのは間違いないだろう。


 俺は甘口と辛口のダブル麻婆丼にしていくことにする。

 なぜなら、俺も両方、食べたいからだ!


 それを見た嫁ちゃん達が同様に試していくと、辛さが苦手なナギやニア達も真似をしていき、試しに混ぜ合わせて食べていく。


 辛さで言えば、中辛より、少し控えめな辛さと言った感じになる。


 甘口でも辛いと言われたら、生卵もプラスで出そうと考えていたが、どうやら取り越し苦労だったようだな。


 そんな中、フライちゃんはさらに唐辛子や山椒がほしいと口にすると、申し訳なさそうに手を出してきた。


 確かにフライちゃんは激辛が好みみたいで、当然の反応に思える。


 悩まずに香辛料を手渡そうとしたら、エトランジュもほしそうに視線を向けてきたので、2人分を器に取り分けて、すぐに激辛に作り直すことにした。


 2人の女神様が、灼熱の激辛麻婆豆腐を汗だくになりながら、美味そうに食う姿はなんか色っぽく見えてしまい視線を逸らすことになってしまった事実は言うまでもない。


 ただ、みんなが、最高に美味そうに食べる姿が一番嬉しい事実なんだよな。 

読んでくださり感謝いたします。

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