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みんなが断った異世界転移☆暇な日、限定で揚げもん屋『フライデー』をやってます。  作者: 夏カボチャ 悠元
7章 繋がりの先に、女神の心と紡がれる道

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165話、久々のマイホーム

 パピィさん達、蛇人族の集落を後にした俺達は、一度、ホームタウンでもある商業都市[バリオン]へと戻る計画を立てている。


 本来ならば、まだ完全にオアシス都市[ガルド・ゼデール]の一件が解決したわけじゃないので、あまり良い判断とは言えないだろう。

 しかし、長く店を開けられずにいるため、屋敷の様子や他にも店側が問題ないかなど、不安ばかりになっていた。

 そのため、一度、戻って店舗と屋敷の確認と軽く掃除をしたいと考えている。


 なので、順序としては、まずは[ガルド・ゼデール]に戻り、キミルといったメフィスの部下さんや、ルフレ殿下の部下といった人達と合流して話をする予定だ。


 その後、[バリオン]に戻る理由を伝えてから、クランハウスの清掃と店舗の掃除を行うのが理想だ。


 まぁ、どちらにしても一度、戻ることになるため、善は急げって具合に俺達は[ガルド・ゼデール]へと戻ることになった。


 パピィさん達、蛇人族とアマゾネスのリリー達に見送られて俺達は転送陣へと向かう。


「新たなる息子、キンザンよ。また来るのだぞ! 次は世継ぎの顔を期待している。ガハハハ!」


「またね。皆、アマゾネスの里にも、いつ来てくれて構わないからねぇ。そん時はタップリと歓迎させてもらうからさ」


 そんな言葉に見送られて俺達は軽く手を振りつつ、長いようで短い時間を過ごした[マーシュマレ]の地に別れを告げた。


 転送陣で砂漠のオアシス都市[ガルド・ゼデール]に到着した俺達を待っていたのは、予想外にも行方不明になっていた幼い兄妹とジンさんを含む数名の顔見知りだった。


「え? 皆、何してるんだ」


 そんな言葉を口にしたと同時に俺はある事実を思い出す。

 そう、俺達は幼い兄妹が住み着いていたボロ小屋から沼と自然の土地[マーシュマレ]に転移していた。


 つまり、戻る際も同じように小屋に戻ることになる。

 ジンさんを含め、その場にいた全員の視線が俺達に集まる最中、外から声をかけられる。


「この場の全員がキンザン殿の無事を願い、帰還を待っていたのですよ。まぁ、無事だとは思っていましたがね」


 聞き覚えのある声に俺が振り向く。

 その先にはエオナ中佐の姿があり、その背後には武装した騎士であろう集団が整列して待機していた。


「おい、なんだよ、これ? 戦争でもする気かよ……」


 そんな呟きが大袈裟とは、言えないくらいに集められた騎士の数が壊された壁の先に広がっていた。


「戦争ですか? 違いますね、キンザン殿。私達に命じられたのは、ドレインワームの討伐と一部ドレインワームの捕縛です。と言っても既に必要ないみたいですがね……」


 会話を終えるように笑みを浮かべたエオナ中佐。


「我々は、一度、報告に戻らねばなりませんね。確認ですが? まだドレインワームが必要だという事実はありますか?」


「いや、俺は見ての通りだよ。悪かったな、ルフレ殿下にも、謝らないとだよな、こんな大事にしちまったからな」


 俺の表情を見ながら、ニッコリと笑い頭を下げて見せるエオナ中佐は、小さな声で俺だけに聞こえるように優しく喋り出す。


「でしたら、ルフレ殿下に謁見ではなく、ご友人として、会って差し上げてください。あ、この発言は不敬罪になりますので、ここだけの話でお願いしますね」


「分かったよ。あと、一度、俺達は[バリオン]に戻るから、それも伝えてくれるか?」


「分かりました。ルフレ殿下に必ずお伝えします。王都にて、お待ちしております。キンザン殿」


 伝えるべきことを伝えたと言わんばかりに笑みを浮かべたエオナ中佐はすぐに集まった騎士達に指示を出して、王都に続く転送陣へと向かうため、教会へと向かって移動を開始していく。


 俺達は、エオナ中佐達を見送るとすぐにジンさん達に軽い説明をしていく。


 かなり驚かれたが、それでも「まぁ、キンザンだからな」と呆気なく納得されてしまった。

 多少、複雑な気持ちになりながらも、俺達は解体広場に向かうことにする。


 解体広場に到着した頃には既に太陽は真上から少し移動していた。

 昼飯の時間なのだろうか、星降る砂漠亭の女将であるミネさんの作る料理の匂いが周囲に漏れ出していた。


 少し違っていたのは、以前まで店としてまだ活動していなかったはずの星降る砂漠亭がしっかりと開店していたことだった。


 解体広場に置かれたテーブル席には、頭領達の他にも、数名の食事客の姿があり、蜥蜴人族の少女であるリトが忙しそうに料理を運んでいた。

 それともう1人、まさかの人物が食事を終えた後の食器皿を片付け、テーブルを拭いていた。


「え、なんで、アクティさんが?」


 そう、片付けをしていたのは、『汚染』により、生死の境をさまよっていた[ガルド・ゼデール]の警備兵団の団長をしていた女団長であったアクティさんだった。


 俺の声に気づいたのか、料理を運び終わったリトが嬉しそうに俺を見て、はしゃいで走ってくる。


「キンザンのオジサン! ミトお姉ちゃん達も! 帰ってきたんだね」


 以前と違い、ハッキリとした口調で俺に笑顔を浮かべるリトに俺も笑いかける。

 それと同時にアクティさんが深々と頭を下げてくる。


「改めて、感謝しています。挨拶もできずにいたご無礼をお許しください」


 リトの頭を撫でながら、俺もアクティさんに頭を下げる。


「いや、俺もバタバタしてたから、それよりも、なんで星降る砂漠亭で?」


「はい、今は警備兵団を退任して、こちらの星降る砂漠亭で護衛をしながら、ミネさんのお店の手伝いをさせていただいています」


 予想外すぎる返事に俺は驚いてしまったが、リトがアクティさんの手を握り笑顔を作る様子から、俺も笑みを浮かべることにした。


 軽い会話と挨拶を済ませてから、俺は頭領達にも話をして、[バリオン]に戻ることを伝えた。


 頭領達も既に作業終了まで僅かだと笑い、アクティさんに使った監視用に改造した生け簀型の檻は既に無くなっていると言われた。


 あれから数日しか経ってないのに、さすがだと驚きつつ、俺達は[バリオン]へと向かう。


 本日、二回目の転送陣に乗り、懐かしの我が家へと向かう。


 とりあえず着いてから、次は癒しの街[カエルム]にも顔を出さないとだな、[カエルム]には、水源を綺麗にするため、まだロゼがいるだろうしな……やることが山積みだな。


 そんなことを考えながら、俺達は懐かしいというのは大袈裟なんだろうが、懐かしく感じる我が家に帰ることになった。


 案の定、屋敷から庭に出て、周囲を回ってみる。

 庭は雑草が生い茂り、最初に俺がルンダさんと訪れた際に見た幽霊屋敷を思わせるような光景が広がっていた。


 たった数週間で……と思ったが、草木の成長が早く感じる。

 ここからの話が異世界ファンタジーなのだろうと思うが、以前に軽く冒険者ギルドで耳にした話を思い出す。


 なぜかといえば、人が出入りしなくなった土地や建物はそれを分かりやすく伝えるように草木が生い茂り、建物は(つた)蔓草(つるくさ)といった植物に覆われてしまうらしい。


 そして、俺達『フライデー』のクランホームとなっている屋敷も例外ではなかったようだ。


 軽く苦笑いをしながらも、俺は気合いを入れるように両膝を叩くとしっかりと地面に足を着いて一歩踏み出す。


 そこからは、役割分担を決めて、大掃除が開始される。

 ミア、ニアが屋敷に巻き付いた蔦や蔓を剥がしていくことになり、フライちゃんとベリーが店側の外回りを綺麗にしていく。


 ミト、ナギ、ドーナの3人が庭全体の草むしりを担当することになった。


 ポワゾンとペコ、グーが屋敷の中を掃除して、俺は店側の清掃を担当する。


 俺だけ1人なのは、【調理器具マスター】の力を使い、掃除をするからであり、1人の方が効率がいいだろうとフライちゃん達が話し合った結果だ。


 これがリアル日本なら、寂しい旦那さんのボッチ掃除みたいな感じになるんだろうな?


 俺は自分でそんな考えをしながら、苦笑しつつ、掃除を始めるのだった。

 ちなみにみんなが掃除している最中、先に落ち着いて一服させてもらった事実は内緒だな。

読んでくださり感謝いたします。

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