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みんなが断った異世界転移☆暇な日、限定で揚げもん屋『フライデー』をやってます。  作者: 夏カボチャ 悠元
6章 砂漠の街オアシス都市 [ガルド・デゼール]下

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159話、巣穴の中へ、新たな狩り

 俺は蛇人族の長であるパピィさん達の協力により、『ドレインワーム』の巣穴を順調に進んく。


 できていたのはいいんだが……肝心のドレインワームの姿が一向に現れる気配がないのだ。


「なあ、ナギ?」


「ん? マイマスターお腹空いたの、お水飲む?」


 真上から問いかけられる質問、それと同時に向けられる表情は、愛玩動物を可愛がる子供のようだった。


「いや、飲み物とかは大丈夫なんだが、本当にここがドレインワームの巣なのか? さっきからそれらしい魔物がいない気がするんだが」


 なぜ、こんな質問を口にするのかと言えば、洞窟の中は真っすぐに地下へと伸びる通路が続いており、横穴の様なものもないからだ。


 巣というなら、複数の穴があったり、無数の通路が迷路のように掘られていたりと、そんなものを想像していたのだが、どうやら違うらしい。


「マイマスター、ドレインワーム達は、もっと奥でコロニーになってるはず」


「そうなのか、つまり……この先からが本番ってワケなんだな」


 俺の言葉を聞いてか、パピィさんと参戦してくれた蛇人族の戦士達から声がかけられる。


「おい、新たなる群れの長よ。今から狩場になる、この袋に入った方がいい」


 暗闇の中でペコやグーからは、それが見えないだろうが、俺に向けて入るように言われたのは見た目がグロテスクな魔物の皮で作られた袋だった。


 ペコとグーが見たら、びっくりするだろうな……この暗闇でも、目が見えているナギとニアには、それが見えているようでニアが体をビクつかせ、声を必死に我慢しているようだった。


「……にゃ、それに入るのかにゃ……」


 顔を引きつらせるように口にしたニアの声に俺も同感だった。

 なぜなら、それは俺達がこの沼と自然の土地【マーシュマレ】で襲ってきた巨大ガエルの皮であり、青紫の不気味な皮で作られていたからだ。


 蛇人族の戦士から渡された袋をナギがしっかりと受け取ると、ナギが俺の入れられた籠を首からゆっくり外した。


「ナ、ナギ? あの、マジに俺を入れる感じか……」


「うん、ここからは危ないから……他の皆もここからは、ナギの後ろ、前に出たらダメ……」


 その言葉にニアが首を傾げる。


「にゃ? どういうことだにゃ、ニアは強いから、前に出て戦うにゃ!」


 ナギが少し悩んだように首を傾げる。


「ニア、酸にも負けない? 耐えられる?」


 なんか、怖い言葉が出てきたんだが……酸ってなんの話だよ。


「あの、ナギ? 酸って、あのドロドロにする酸か?」


「うん、強い酸。だから、ナギ達は、カエルの脂を塗って、酸から体を守る。なくても大丈夫だけど」


 耳を疑いたくなる発言だったが、蛇人族からすれば、何ら違和感のない手段であり、さらに言うならば、代々受け継いできた狩りの仕方であり、大切な手法の一つなのだ。


 そう考えていると先頭を進んでいたパピィさん達の足が止まる。


 止まった場所を確認すると、今まで一本道が続いた通路とは違い、円形に大きく削られた空間が広がっていた。


 円形の空間を見て、わかったことは、俺達側の通路が大穴のようになっており、一本道の通路だった事に対して、正面には、複数の通路が広がっていた。


 そんな複数の通路は、俺達の通って来た最初の通路よりも細く狭まっているように見える。


 今までの通路が象も余裕で通れる程度の高さと広さがあったせいか、いきなり小さくなった通路を見て驚愕する。


 なぜなら、通路の高さがナギの父親であるパピィさんよりも低い穴になっており、仮に通るとすれば、姿勢を屈めて、手を地面に着かねばならないんじゃないかと考えてしまう。

 見たままの通路からも分かるが、サイズ的にパピィさん達が通るのは無理そうだと素直に感じてしまった。


「なぁ、ナギ。どの通路から進むんだ?」


 俺の質問を聞いたナギとパピィさんを含む蛇人族の面々が軽く驚いてから、誰からともなく“クスクス”と笑い声が聞こえてくる。


 なんで、笑われているのか分からない俺はさらに頭を悩ませた。


 そんな反応にパピィさんが気づき、俺の傍にやって来る。


「悪かったな。新たなる息子よ。あの細い道を通り抜けたりはしない。ここでドレインワームを誘き寄せるだけだ」


「誘き出す? どうやってやるんですか」


「ドレインワームは、我ら同様にカエルが好物でな。だから、カエルの脂を塗り、奴らの好物に擬態するんだ。鱗が弱い子供を連れてきた際にも、それで酸から守れる」


 説明を聞いて、俺はさらに頭を悩ませていた。

 いや、ニオイで狩りをするのはよくある方法なのだが、なぜ、自分達に脂を塗る必要があるのだろうか?


「今は子供はいないし、普通に脂を撒くだけじゃダメなのか?」


「ふむ? 新たなる息子は初めての狩りだから理解できぬだろう。ドレインワームは、動く獲物を餌として認識する。だからこそ、自分達を餌として使うのだ」


 色々矛盾も感じたが、言いたいことは何となくわかった。ただ、それなら尚更、別の方法がある気がするんだよな?


「なぁ、ナギ。少しいいか?」


「うん? マイマスターどうしたの、何かあった?」


「みんなも聞いてくれ、さすがに自分達を危険に晒す狩りはどうかと思ってな……」


 ただ、俺の発言にナギが珍しく、不服そうな表情を浮かべているのが理解できた。


「マイマスター! この狩りは昔からずっと変わらない! なんでダメだと思うの」


 俺に視線を向けるナギに、ニアが優しく声をかける。


「待つにゃ、キンザンはダメとは言ってないのにゃ、ただ、少し他のやり方を思いついただけの話だにゃ」


「ナギはそれでも、仲間の狩りをダメって言われた気がした。ごめん」


 若干、興奮したナギに俺は小さな体でしっかりと頭を下げる。


「悪かったな、ナギの気持ちを考えないで、考えを口にしちまって」


「……うーん。ナギもごめん、まずは話を聞くべきだった……マイマスター、ごめんなさい」


 そこから、俺は自分の考えを伝えることにした。


 考えと言っても、凄く単純な話だ。

 俺の考えた作戦は、早い話が釣りである。


 カエルの袋に蛇人族が持ち込んだ植物の(ツタ)を編み込んだ縄を結び付けて、後は槍に反対側を結び付けてから、脂をつけて奥に放り込むといった感じだ。


 内容を話すとパピィさんが聞いていたのか、グッと顔を近づけてくる。


 俺の提案がやはり問題があったのかと、冷や汗が額を流れていく。

 しかし、予想外にパピィさんがニッコリと笑った。


「面白い! 新たなる息子よ。その話は実に面白い話だ! 今すぐに話せ。作り方を教えよ」


 笑う口元から、見える無数のキバが俺に向けられると本当に怖くて仕方ないな。


「おい! 蛇人族の戦士達よ! 新たなる狩りの仕方が提案された! 狩りに新たなる方法が提示されたならば、それを試すのがしきたりだ! 用意をするぞ!」


 体にカエルから搾り出した酷くエグ味のある臭いを放つ脂を浴びようとしていた蛇人族の戦士達がピタリと止まり、長であるパピィさんの話を聞くように視線を向けた。


「長! どうやるんだ」

「新しい狩りとはどんな物なんだ?」

「すぐにできるのか? 必要なものはなんだ!」


 蛇人族の戦士達から次々に質問がされる最中、ナギが口を開いた。


「皆、聞いて! 新たなる狩りを考えたのは、新たなる群れの長で、キンザン、今からマイマスターが説明する。だから聞いて!」


 ナギの声に視線が集まり、そこから、ドレインワームを誘き寄せるための方法を話していく。


 複数ある通路の数だけ、仕掛けを作っていくことになり、俺の説明で数本の釣竿が即席で作られていく。


 ドレインワームを縛り上げることができる縄のため、かなりの強度があり、試しに縄を結んだ槍を蛇人族の戦士が鞭のように“シュッ”と、投げて見せる。


 俺は無事に完成した仕掛けを見ながら、次にドレインワームが罠にかかることを願うのだった。

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