14話、唐揚げと食事会・毒メイドの悪い笑み
試食のチビカツサンドが全て無くなり、俺達も昼食を終わらせると店舗での作業を開始する。
「さて、厨房の汚れを落とさないとな!」
モップで掃除を開始した直後、こちらに走って来る赤髪の嫁。
「オッサン! また、たくさん人がきてんぞ!」
「はぁ! なんでだよ!」
「知らねぇよ! とりあえず来てくれ!」
俺はとりあえず、入口に向かっていく。
確認してみると、カツサンドを食べさせた爺さん達が、掃除用具や、トンカチなどを持って集まっていた。
「すまないが、ワシ達にも手伝わせて貰えないか?」
「あんな美味いもんをタダで、貰ったらバチが当たるからね……」
気分よく手伝ってくれると言うので、お願いすることになり、数日かかると考えていた店舗掃除は夕暮れまでに終わらせることができた。
感謝の気持ちは、美味い飯で返すのが一番だ。
働いた全員が腹いっぱい食えるように仕込んでいた具材を調理していく。
大人数で食べるなら、間違いなく唐揚げだ!
俺は、大量に仕込んだ唐揚げを油で揚げていき、その間に米を炊く。
「ベリー! わりぃけど、火加減見れるか」
「任せて、しっかり見てあげるわ」
「ミア、大皿を頼む。ニアは野菜のカットを任せるぞ」
「すぐ用意するぞ!」
「任せるにゃ!」
「ポワゾンは、手伝ってくれた人に飲み物を配って欲しいんだが、頼めるか?」
「はい、ご主人様、任せてください」
俺は唐揚げに集中していく。
ニンニク醤油、バジルぺッパー、甘辛ダレの3種類を用意していく。
ニンニク醤油とバジルぺッパーは普通に揚げていき、シンプルな唐揚げに甘辛ダレを絡めていく。
「ミア、皿頼むぞ」
「オッサン、もう野菜も並べてあるぜ!」
慣れたもんだな。なら、盛り付けていくかな。
見栄えよく、3種類の唐揚げを三角形に並べ、中心にプレーンのシンプルな唐揚げを山積みにしてやる。
そして、大量のご飯に“梅干し&おかか”を混ぜ込み、おにぎりを作っていく。
お茶を飲んでいた人達にそれを振る舞うと、一気に食事会に変化していき、近所から酒を持って来るものや、知り合いを呼んでくる者とどんちゃん騒ぎになっていく。
「美味いな、こんな美味いもんがあるんだな?」
「これ、何の肉だ? 食ったことないぞ!」
「これ、あれだぞ! 冒険者だったやつが、コカトリスって言ってた肉に似てるな」
なんか、物騒なワードが混じってんな……
夜更けまで続いた食事会がお開きになり、皆が帰っていき、俺達は店舗で泊まる事に決める。
入口に施錠をしてから、窓にカーテンをしていく。
「みんな、奥のスタッフルームに布団を用意したから、そこで寝てくれ、布団については、ベリーから聞いてくれ」
説明が面倒なので、紫ロングに全フリして、俺は洗い物を片付けていく。
俺の横には洗い物を手伝う毒メイドの姿がある。
「ご主人様、本当にワタシが洗わなくてよいのですか?」
「ああ、構わないよ。それに油汚れは慣れてるからな」
俺が洗った食器を拭きながら、毒メイドは不思議そうに俺を見てくる。
抱いてしまったが、未だに俺は毒メイドの事をよく知らないんだよな。
「なぁ、ポワゾン。聞いていいか?」
「はい、なんでしょうか?」
食器を拭いたまま、返事が返って来たので、そのまま、質問をしていく。
「最初になんで、舌打ちしてたんだ?」
質問に身体をビクっと震わせる毒メイド。
「あ、あれは……その」
「いや、言いたくないなら、言わなくてもいいんだがな」
「いえ、あの時、ワタシは新しいご主人様に色々と思いが溢れていたのですが、幼女のようなミア様とニア様を嫁にしていると聞いて……その」
はは、まぁ、印象としては良くないよな……
「まぁ、悪い印象だよな……」
「……それに胸が立派なベリー様も、ワタシなんか見向きもされないと、考えてました……すみません」
どうやら、俺が幼女趣味の巨乳好きの最低女たらしに見えてたのは本当みたいだな……軽くショックだな。
「ははは、まぁ、そう見えるよな……」
「で、でも、違いました! まさか、手を出してなかったなんて、ミア様とニア様から相談されて、びっくりしました」
「まぁ、結果的にミアとニア、ポワゾンも抱いた訳だから、俺は間違いなく、女たらしだな」
「そんな事ありません!」
俺達の会話が、ぎこちなく終わろうとしていた時、背後から凄まじい殺気を感じた。
言うならば、バレンタインの日にチョコを貰えなかった男子が友人を見た際に本命を貰っていた時に向けるような、禍々しい殺気に似ていた。
「なんですって……3人をいただいただ……」
「そ、その声はベリー……さん、ど、どうしたんだ」
「キンザンさん、すこーし、話があるの、いいかしら?」
「え、俺? いや、あの、あはは……」
「いいから、来なさいよ!」
俺は地下の倉庫へと引きづられていき、紫ロングから何故か、凄く叱られた。
嫁2人が気にして見に来たが、紫ロングの怒りに満ちた顔をみて、そそくさと退散していった。
「キンザンさんのスケベェは病気なんですか! 手が早すぎます! 1日で、メイドのポワゾンさんまで襲うなんて!」
言えない、襲われたのが俺なんて、言えない!
「誤解があるぞ、確かに色々あったが!」
怒りで息を切らせた紫ロングと、冷や汗が止まらない俺に、毒メイドが飲み物を持ってくる。
「1度、水分をどうぞ。ベリー様、ご主人様もどうぞ」
渡された飲み物をベリーが一気に飲み干し、俺もそれを飲もうとした瞬間、毒メイドのやつが笑っている事に気づく。
「待て、ベリー、今すぐ吐き出せ!」
しかし、遅かった……毒メイドは、防音の魔導具を入口付近に置くと、外から地下倉庫の鍵をかけて消えていった。
「ハァハァ、身体が熱いわ……な、何を……」
「落ち着け、ベリー、すぐに薬を出すから、って、解毒薬なんて、買った事ねぇし……」
「キンザンさん……ふふっ」とベリーが艶めかしく笑った。
「待て、ベリー……自分を大切にしろ、後悔するぞ! 落ち着け」
「構わないわ、キンザンさん……もう、我慢の限界よ、お子様ボディじゃ出来ない事を教えてあげるわ」
俺は慌てて、ベリーから離れたが、既に遅かった……俺は二日連続で、美少女に襲われる事になったのだ。
数時間後、毒メイドが鍵を開きにきて、俺とベリーは地下倉庫から出ることが出来た。
「キンザンさん、その……」
「今は、やめよう、ベリー……」
すべてが終わったあとの俺達は互いに何も言えなかった。
ただ、それを見て、親指をグッと立てた毒メイド。いつか、お仕置きしてやると心に決めた。
その後、落ち着いてから、改めて俺はベリーを厨房に呼び話をする。
煙草に火をつけて、軽く落ち着きを取り戻す。
「私にも貰える? 煙草なんて、久々だし、吸いたい気分なの」
「煙草吸えたんだな?」
箱とライターを手渡すと、1本抜き取り、ベリーが口に加えて、火をつける。
「日本でも、20だったのよ、煙草くらい吸えるわよ。だからって! 40とか言わないでよ?」
「わかってるよ、それより悪かったな、すまん」
一瞬の沈黙……
「謝らないでよ……本当に初めてだったんだから、謝られたら惨めになるじゃない」
「本当にすまん、こんなオッサンが初めてなんて」
「謝るなら、約束して、私も幸せにするって、ヤリ逃げなんて、許さないんだから!」
「具体的に言うなよ……わかってる。皆に話すから」
そんな会話をしていると、毒メイドがやってくる。
「おめでとうございます。ご主人様」と白々しく言ってきた。
その悪い笑みを見た瞬間、俺はベリーに問い掛けていた。
「なぁ、ベリー、お仕置って大切だよな……」
「ええ、躾は、大切よ、しっかり分からせないと、同じ事を繰り返すはずだし」
俺達の言葉に、何かを察したように、逃げようとする毒メイドを速攻捕まえて、2人でしっかりと、分からせていく。
ただ、毒メイドの表情は何故か喜んでいるように見えたので、次がないように、しっかりと命令もしておく事にした。
朝方までの運動会が終わり、俺達は厨房で力尽きて、眠るのだった。
朝になり、俺が目覚めると、既に目覚めていた毒メイドが厨房を綺麗に掃除していた。
「おはようございます。ご主人様」っと、顔を赤くする。
その姿だけ見たら、可愛いが中身が小悪魔だと分かっているので複雑な気持ちになるな。
消毒液を取り出し、全てを綺麗にしていく。
そうして、俺は眠い目を擦りながら、自分の城を手に入れたんだと再確認して、一気に増えた4人の嫁の為に頑張る事を誓った。
ちなみに、赤髪ショートと猫耳娘の2人はベリーをあっさりと受け入れた。
「オッサンが気づいてなかっただけで、ずっとベリーは、アタックしてたじゃんかよ?」
「キンザンは、おんにゃ心が分からないオスだから仕方ないにゃ〜」
こんな具合に、何故か、女心が分からない男認定をされてしまった。
オッサンには、そこら辺が難しいんだよな。
俺の周りをグルグルと笑いながら回るミアとニア、それを見て、クールに笑みを浮かべるベリーとポワゾン。
他人からみれば、俺が最低な女たらしに見えるだろうな……
だが、そんな事は気にしたら負けだ。
この日、改めて、俺達は『チームフライデー』として、スタートしたのだから。
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