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みんなが断った異世界転移☆暇な日、限定で揚げもん屋『フライデー』をやってます。  作者: 夏カボチャ 悠元
6章 砂漠の街オアシス都市 [ガルド・デゼール]下

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128話、監禁生活のスタートは、正座から

 条件付きでの監禁生活が開始されることが決定して、すぐに場所が話し合われていく。


 話し合いの中でやはり問題となったのは、『汚染』が進行しないようにするための条件だった。


 一つ目は、俺を含めた対象の監視──これは変化の魔導具を利用することで何とかなるため、俺以外は交代で時間稼ぎが可能な事実。


 二つ目は、対象の拘束だが、これも同じ建物内にいる場合は形上は条件を満たしているので、問題はないようだ。


 三つ目、これが意外にも厄介だった。警備兵団としての任務を遂行するという内容だ。

 これに関しては見回りという形になるのだろうが、一度、監禁した状態の団長さんを牢から出す必要があるので、一番の難問になるだろう。


 だが、そんな問題は予想だにしない形で解決の糸口を得ることになった。

 その糸口とは、解体倉庫の改装していた頭領がやってきたことだった。


「どうしたってんだ! この前、連れてかれたかと思ったら大変な騒ぎじゃねぇか」


 久しぶりに聞いた頭領の声に俺は今の状況を説明すると頭領は少し悩んでから口を開いた。


「いや、それってよ? 今改造してる生け簀の水抜いて、溝の上に鉄格子をつけてやれば良くねぇか?」


 予想外の提案だった。誰も考えないような斜め上からの発想だったが、生け簀のある倉庫ならそれが可能だった。


 下から上を見上げる形になるが、すべての条件がクリアできる事実に俺は歓喜した。


「頭領! アンタはやっぱりすごいよ。天才だ!」


 俺の言葉に頭領が少し驚いたような表情を浮かべる。

 そうして、場所が決まり……やるべきことが決まれば、あとは行動するのみであり、俺達は急いで準備に取り掛かる。


 その間、団長さんには、狭い移動式の牢に入ってもらうことになる。

 正直、利用された側の団長さんを檻に入れて、解体広場まで運ぶのは本当に申し訳ないと思うが、今は耐えてもらうしかない。


 団長さんの姿が民衆の目に触れないように大きな布をかけてしっかりと隠しての移動は本当に神経がすり減る思いだった。


 解体広場に到着してからは、団長さんと檻越しではあるが、俺はにらめっこの形になる。

 頭領の話では、半日もあれば作業が終了するらしい。

 鉄格子に関しては、ミトの知り合い達が手伝ってくれることになり、溝の幅に合わせた形の鉄格子が次々に作られていく。


 正直、凄まじいスピードで作られる鉄格子に俺は驚いていたが、その顔を見たミトがドヤ顔で説明してくれた。


「すごいだろうがよ! この解体場は、全部、同じ寸法で作られてるからな、幅や深さは全部統一されてんだ! だから、頼めばすぐに予備部品や交換部品が届くんだ!」


 説明を聞いて驚かされた。機械やシステムといった物が存在しないこの世界で、職人の技術だけで同じ物を作る作業、それを複数でしっかりとこなすのだから、本当に職人という存在のすごさを分からされた瞬間だった。


 俺はあっという間に組み上がる生け簀型の牢屋に関心と複雑な気持ちを感じていた。


「すまないな、団長さん……今のアンタは本当のアンタじゃないだろうから、名前は呼ばないが解決したら……っと、言うよりアンタが無事に解放されたら改めて謝罪させてくれ」


 俺は素直に感じたままの言葉を無言の団長さんに向けて呟いていた。


 そんな会話が終わる頃には、日が傾き、夕焼けの色に照らされる街が色鮮やかに変わり、夜の闇と星の輝きが次第に俺達を照らし出していく。


「待たせたな! 無事に全部の鉄格子の接合が終わったぜ! キンザンさんよ」


 頭領の声、俺は軽く頷くと改めて、団長さんに頭を下げる。


「もう少しだから、辛抱してくれ」


 俺達は団長さんを一旦、ポワゾンの薬品で眠らせて、無事に生け簀型の牢屋に下ろすことに成功した。


 生け簀から上を見上げることで俺達の姿がしっかりと見える形になり、自由に動き回ることも可能な牢屋が無事に完成したのだ。


 ただ、ここからが本当の我慢比べになる。


 この『汚染』は潜伏期間が存在するのだ。禁術であり、一度広まれば、絶望的な結果に繋がる禁忌の唯一の希望とも言えるだろう。


 逆に言えば、この潜伏期間を何とかできれば、『汚染』という呪縛にも似た悪夢から解放される、だからこそ、頑張らないとな……ここが踏ん張りどころだな。


 俺はそんな意気込みで監禁生活をスタートさせた。


 ただ、建物から出られないという問題はあったが、他のことは何一つ問題なく過ぎていく。


 例えば、監視にしても一度、団長が俺達の姿を確認すれば、二、三時間は視界から離れても問題ないことが分かったからだ。


 つまり、建物内にいる場合は、姿を一度見せておけば、料理や読書、喫煙といった行動が好きに行うことができるのだ。


 そのため、寝る時以外は自由がかなり利くのだ。

 ただ、これはあくまでも俺を含む対象者側の意見であり、嫁ちゃん達からすれば、やはりストレスを感じる結果になる。


 嫁ちゃん達は、俺が自由に外へは出られないため、買い出しなどの日常生活に必要なことを率先して行ってくれている。


 だが、やはり他者とのいきなりの同居というのは色々と問題もあるのだ。

 中身が女性でも男性の姿になっているメフィスの部下さん達の存在も例外じゃない。


 姿が男性になっているせいか、やはり同じ屋根の下でも、落ち着かない者もいるのだ。


 そんな存在がミアだった。よくよく考えたら、アンリさんが以前に話していた。


 ミアが俺に懐いている姿を見てかなり驚いていたと、いうセリフを思い出した。

 今思えば、ミアは基本的に男性に心を開く感じがしない。

 別に嫌いだとか、避けたりといったそぶりはしないが、信頼するまでにかなり時間がかかるタイプなんだろうと思う。


 そして、何よりの問題は寝る時だ。嫁ちゃん達からしたら、俺と同じ部屋で寝たいようだったが、夜は団長が寝ている俺達の姿を見回り確認するため、一緒に眠るわけにもいかないのだ。


 早々と過ぎる一日、夜になり、1人決まった仕切りの中に敷かれた布団に横になる。


 ふと、頭によぎる……嫁ちゃん達と一緒に寝たいよな……いや、なんでもないな、煩悩退散だな、はは……


 そんな考えを読み取ったのか、フライちゃんが顔を赤らめている。


「な、なんで! フライちゃんが今いるのさ」


 俺は、完全にフリーズしていた。夜はミトの解体場に嫁ちゃん達は帰ることになっているため、フライちゃんがこの時間にいるなんて想定外だったからだ。


「きんざんさん……アナタって人は、今は緊急事態なんですよ! なんでそんな時にそんな妄想をしてるんですか!」


 久々のフライちゃんのお怒りモードに俺は即座に正座をすると、お説教をされることになってしまった。


 十数分の説教に足が痺れ始めた頃、生け簀の溝から足音が聞こえてきた瞬間、咄嗟に立ち上がろうとしてしまう俺。


「あ、あれ……あ、うわ!」


 痺れた足が完全に感覚を狂わせ、立ち上がることができないまま、フライちゃんを押し倒してしまった。


 ただ、真下からの団長の足音は無事に次の仕切りへと移動していくのが足音で分かった。


「ふ、フライちゃん、あの……ごめん」


「ゆ、許します……事故ですから、ある意味役得ですから……それよりも、どいてください……このままだと話ができませんから……」


 フライちゃんの言葉に慌てて、身体を起こし、再度深々と謝ってから質問をする。


「それで、フライちゃん? なんでこんな時間に来たんだい?」


 真剣な表情でフライちゃんが俺を見つめる。


 その表情に俺は不安を感じながらも静かに話し始めるのを待つ。


「きんざんさん、私が来たのは『汚染』について、少し分かったことがありまして、報告のために急いで来たんですよ……なのに、あんな妄想してるなんて、本当に困った人ですね」


 少し不機嫌そうに頬を膨らませるフライちゃん。多分、俺の考えていた妄想があれだったからだろうが、あえて言わないし、考えることはやめよう。


 そんな考えすら、フライちゃんにはお見通しであり、さらに30分、正座がプラスされる結果になった。

読んでくださり感謝いたします。

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