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みんなが断った異世界転移☆暇な日、限定で揚げもん屋『フライデー』をやってます。  作者: 夏カボチャ 悠元
6章 砂漠の街オアシス都市 [ガルド・デゼール]下

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127話、新たな生活、嫁ちゃん達の条件

 俺の問いかけに対して、フライちゃんは困ったような表情を浮かべた後、苦悶の表情で悩み出す。


 フライちゃんの表情からある程度の察しがつくが、策らしい策がないのだろう。


「やっぱりないのか?」


 俺の呟くような声にフライちゃんが悩みながら、首を横に振る。


「あるにはありますが……なんとも、お勧めできないと言いますか……」


 フライちゃんが渋りながらも続きを教えてくれた。


「この人、えっと、団長さんと関わる人を極力少なくして、本人の意思による否定などを少なくするしかありません」


「どういうことなんだい?」


「つまり、本人が『汚染』に対して反抗すれば、黒いアザが広がりますが、抵抗しなければ、アザは増えません……」


 フライちゃんの言葉に俺は少しだが違和感を感じた。


 すぐに違和感の正体はフライちゃん自身から口にされることになる。


「多分ですが、『汚染』という禁術を団長さんに使った存在は、自分に“不都合な存在の捕縛”と“不都合な存在の監視”を命じていたようです」


 フライちゃんは、俺の表情を気にしながらもそのまま話を続ける。


「幸いなのは“処刑”は命令されてなかったことと、普段は警備兵団の任務を遂行するように言われていたことですね」


 聞いていて、背筋がゾッとした……バレないようにするため、通常通りの生活をしながら、命令を遂行していた事実に吐き気すら感じてしまった。


「フライちゃん、心を読んだのかい……」


 辛そうに頷く姿、俺はそれ以上を聞くことができなかった。


 フライちゃんの読んだ団長の心は酷い状態だったのだろうことが想像できたからだ。


「具体的にどうしたらいいか教えてくれるか?」


「……それは、はい。団長さんにされた命令は自分と捕縛対象が同じ建物内にいることであり、監視ができることのようですね」


 俺はその言葉を聞いてから、少し悩んだ。早い話が、団長は俺やジンさん達といった対象と同じ建物にいれば問題ないし、姿が見えていればいいということだ。


 さらに推測だが、黒いアザが広がっていた理由は、その監視にあったのだと思う。

 いくら団長でも毎日、牢屋をずっと見ることは不可能だろう、部下もいる以上、不可思議な行動は疑いの目を向けられる結果になるからだ。


 その結果、命令を実行しながら、命令に背くという最悪の流れが作られて今に至るのだ。


「酷すぎるだろ……これじゃ、ただの拷問じゃないかよ……」


 俺は必死に悩みながら、いいアイデアがないかを思考する。

 当然だが、そんな都合のいいアイデアなどあるわけがない。


「とりあえずさ、ジンさんに話してくるよ。知らないまま、話を進めるのは無理だろうからさ」


 ゆっくりとジンの傍に向かうと、俺やジンと同じように投獄されていた人達が全員集まっており、嬉しそうに会話をしていた。


 笑いながら話している姿を目の当たりにして、俺は話すべきじゃないと改めて感じてしまった。

 ジンさん達にとって、俺が口にしようとしている願いは残酷で不快な思いをさせる結果になるだろう……


「お、キンザンじゃないか! 今回は助かったぞ。あのまま人生が終わったかと思っちまったよ」


 ジンさんが俺に話しかけると、次々に他の人からも感謝の言葉をかけられていく。


 俺は軽く会話をして、本題を口にすることなくその場を後にした。

 情けない話だが、俺に彼らの幸せそうな表情を壊すような真似はできなかった。


 俺が戻るとフライちゃんとメフィスが難しい顔で話している最中だった。


「おやおや、帰ってきましたねぇ、さて? 話はどうでしたかなぁ」


 メフィスの言葉に力なく首を左右に振るとメフィスは分かっていたという表情で軽く首を縦に動かした。


「まぁ、そうなりますねぇ。貴方の性格を考えれば、分かりきっていた事実ですからなぁ、それで我輩から一つ提案なのだがねぇ」


 メフィスが顎に手を当てながら俺に鋭い視線を向けるとフライちゃんがメフィスを睨みつける。


「その話はしないと言ったはずですよ、メフィス!」


「分からない人ですなぁ、女神フライ……本来の役目を忘れた今の発言はよろしくありませんよ。貴女も分かっているのでしょう?」


「……それは」


 メフィスの言葉に対してフライちゃんが言葉を濁すような姿をしていたので、俺は慌てて間に入ってメフィスの話を聞くことにした。


「わかったから、話してくれないか? 話を聞かないと、なんも決められないしさ」


 メフィスが話し始める。話の内容は最初に俺がジンさん達に頼もうとした内容に似ていたが、少し違うのは団長を檻に入れて、逆に監視するという方法であった。


 そこだけ聞いたなら、あまり問題を感じなかった。話がそのまま続けられるとフライちゃんが明らかに不機嫌になっていく。


 話が続けられ、団長の監視として、メフィスの部下達が捕まっていた一般人の姿へと魔導具を使い顔やスタイルを変えるという方法を取ると口にした。


「え、なんの問題もないじゃないか、たしかにメフィスの部下さんには悪い気がするけど、ジンさん達一般人を巻き込むよりずっと安全じゃないか」


 その言葉にメフィスが頷く。


「そうでしょう、ただ、貴方は代わりを用意できないのですよ……申し訳ないのですがねぇ」


「ん? え、なんでだよ!」


 当然の反応と言わんばかりにメフィスが軽く頷くと説明を始めた。


「貴方は予想外の人物だったので、魔導具に情報を打ち込めなかったんですよ。仕方ないじゃないですか、こちらとしても貴方が対象になるとは考えていませんからねぇ」


 変化の魔導具は、予想していたより難しいものらしい。

 日本のアニメや漫画の知識があるせいで、簡単に変身できるイメージを勝手に持っていた。


 実際はそうではない──変化の魔導具は似顔絵を用意してから、本人に似ているかをたしかめながら、修正を繰り返し、やっと使えるようになる代物であり、本人の血液や髪などといった情報も必要になるため、用意するのに時間がかかるそうだ。


「え、俺の顔なんて簡単だろ?」


 正直、俺の顔は印象が薄いだろうし、特徴も少ないはずなんだが……


「貴方の顔は印象が無さすぎて、描くのが逆に難しいそうでしてねぇ、しかも、髪やらを読み込ませたら、魔導具が壊れたそうです……本当に困った存在としか言えませんなぁ……」


 苦笑いしか出ないし、どこか悲しい気持ちになったが、仕方ないと納得するしかなかった。


「なので、貴方は貴方として、協力してもらうことになります。まぁ、時間は掛からないでしょう。王都から解呪の専門家を呼びますからなぁ」


 メフィスが語り終わり、嫁ちゃん達としっかりと話し合ってから決めることにした。


 俺が嫁ちゃん達と相談してから決めるというとメフィスが「状況を理解しているのですか?」と、少し強い口調で語りかけてきた。


 しかし、そんなメフィスに嫁ちゃん達が一斉に睨みつける。


「おい、オッサンはボク達の夫なんだぞ! 勝手に全部決めるなよ!」


「そうだ! 旦那様は優しい馬鹿野郎だがな、なんでも思い通りにさせねぇんだよ、権力野郎がッ!」


 ミア、ミトが最初に怒りをぶつけると、他の嫁ちゃん達が追い打ちをかけるようにメフィスに詰め寄っていく。


 その様子にメフィスの部下さん達が慌ててメフィスに駆け寄る。

 またしても、危うい雰囲気になっていく。


 正直、今ぶつかるのはよろしくない。むしろ、計画を実行に移すなら、揉めたらダメだ。


「待ってくれ、みんな色んな意見があるだろうが、今大事なのは『汚染』を広げないことだろ! 俺達が揉めたら意味ないだろ!」


 俺の言葉に嫁ちゃん達が静かに握った拳を下げる。

 メフィスも部下さん達に手で待ったをかけて、一旦、その場が落ち着くと改めて話し合いが始まり、俺と嫁ちゃん達の話が終わるまでメフィスは静かに話し合いを見守っていた。


 結果だけを先に言えば、俺はメフィスの考える作戦に参加することを決めた。

 ただ、嫁ちゃん達も一緒という、条件付きだ。


 条件を聞いたメフィスが頭を悩ませていたが、最後は嫁ちゃん達の勢いに押されて承諾してくれる形になった。

読んでくださり感謝いたします。

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