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みんなが断った異世界転移☆暇な日、限定で揚げもん屋『フライデー』をやってます。  作者: 夏カボチャ 悠元
6章 砂漠の街オアシス都市 [ガルド・デゼール]下

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124話、キミの報告とメフィスの苦悩

 ポワゾンの動きに対して、慌てた様子でウルグが最初に声を上げる。


「わ、悪かったよ、主殿のために役に立とうと思っただけなんだよ! み、皆──逃げろ! ポワゾン姐さんは、マジにヤベェ! 絶対に巻き込まれるんじゃないよ!」


 慌てるウルグに、狼人族の戦士が走りながら声をかけていく。


「ウルグの姐さん? そんなにヤバイやつなんですか、あのメイド女?」


 ポワゾンをメイド女と言った狼人族の男性に向かってウルグ、フェイ、ファンの狼人族の3人娘が一斉に怒り出す。


「バカか! ポワゾン姐さんを怒らせたら、生きたまま生皮剥がされちまうぞ!」


「そうだぞ、フェイの言う通りだ! 主殿の奥方様方は、普段は優しいが容赦ないんだからな!」


 そんな会話をしながら、狼人族の戦士であるウルグが悩まず逃げる姿があり、その様子を見ていた他の狼人族の戦士達も顔を見合わせるとすぐに足並みを揃えて走り出していく。


 それを合図にしたかのように、ミト、ニア、ナギも慌てて仲間に避難するように声を出して伝えていく。


 砂鮫人族と狼人族は大人しく言葉に従って離れていくが、蛇人族と猫人族は微動だにしない。


 ただ、蛇人族からは俺と揉めた蛇人族の戦士2人と、ナギに無理やり手を引かれた状態でナギのママさんがその場を後にする結果になった。


「母さん、ゴメン……でも本当に危ないから、母さんに辛い思いしてほしくない……許して……」


「あらあら、ナギは優しいわね。わかったわ……仕方ないわね」


 その際にナギのママさんがパパさんに向かって声をかける。


「アナタ! ナギが言ってるのに逃げないなら、やられても文句言えないわよ〜 逃げてくださいな〜」


 ナギのパパさんは軽く頷くと両手を組み、胸を張る。


「わかっている。だが、群れの長が脅しの一つで逃げられるかッ!」


 その言葉にニアのパパが負けじと声を上げる。


「最初はこちらが悪かったにゃ、ただ、ここで逃げたら、尻尾を巻くことになるにゃ! 猫人族の恥になるにゃ! 猫人族に逃げるなんて言葉はないのにゃ!」


 その言葉に、逃げていた砂鮫人族の数名と狼人族の戦士達からも足を止める者が出始めていた。


 そんな者達の姿にミトが舌打ちをする。


「ちっ、バカ野郎がぁ! アイツら、ポワゾンのヤバさを知らねぇから、バカな判断しやがって、他の奴らは絶対に止まんじゃねぇぞ!」


「ウチらも止まるんじゃないよ! 聞いたろ、マジにポワゾン姐さんはヤバイんだよ、巻き込まれたらマズいから急ぎな!」


 ウルグはそう語るとさらに速度を上げていく。


 そんな最中、ポワゾンが冷たい視線を向けながら、両手を大きく広げる。


 両手を広げる動作と同時にポワゾンが口を動かし、【衝動的な風(インプルス・ヴァン)】と口にする。


 ポワゾンがスキル名を口にした瞬間、煌びやかに光る風が全体を包み込むように広がり、その場で身構えるすべての存在とその範囲にいる全種族に襲いかかる。


「全員、静まりなさい!」とポワゾンが口にしてから、数秒して両手をゆっくりと下げる。


 ポワゾンの攻撃範囲に入っていた者達の中に動ける存在は誰もいなかった。


 猫人族、蛇人族、忠告を無視して残った砂鮫人族に狼人族といった全種族が目を開けたまま、痙攣したかのようにその場に倒れ込んでいた。


「やっと、静かになりましたね。不本意ですが……手加減しましたので、皆様。改めて、お静かにお願いいたします」


 これだけのことをやって、手加減だと口にするポワゾンに俺は正直、心底恐怖を感じる。


 ポワゾンの横からベリーとフライちゃんが頭を抱えるようにして、重い口を開く。


「ポワゾン……あんたってば、やりすぎよ……これじゃ恨まれても文句言えないわよ?」


「私もベリーさんと同意見です……さすがにやりすぎですし……どうするんですか!」


 2人の質問に対して、ポワゾンは軽く考えてから、何かを閃いたような表情を浮かべる。


「いいことを思いつきました……」


 そう語るポワゾンに俺は迷いなく「いや、多分良くない!」とツッコミを入れる。


 過去の出来事から、ポワゾンの考えるいいことは、ハズレの方が多いからだ。


「ご主人様、お言葉ですが……いつよくない意見を私が出したというのですか!」


 まるで今まですべての発言が正しかったと言わんばかりの表情を浮かべるポワゾンに俺も頭を抱えることになり、一応、意見を聞くことにした。


「はい、皆様にもっとキツい毒を使い、戦意を完全に潰す方法が一番かと……」


「ポワゾン、うん。却下!」


 こんなヤバイ状況に冗談のような方法を口にするポワゾンはやっぱり毒メイドなんだよな……


 とりあえず、一番マシな方法として、解毒薬を全員に飲んでもらうことにした。


 流れはどうあれ、さすがに今は全員の回復を最優先したい。


 最初に長である蛇人族のナギのパパさんと猫人族のニアのパパとママさんへと解毒薬を飲ませていく。


「ふぅ、焦ったぞ。まさか、我々を一瞬で一網打尽にするなんてな……」


「そうだにゃぁ、あんな広い範囲に毒を撒くなんて非常識すぎるんだにゃ……」


 そんな2人の長がポワゾンに視線を向けようとした瞬間、ニアとナギが慌てて、2人の視線を遮っていく。


「バカな事はしないで……本当に殺されるから……ポワゾン姐様は、敵に容赦しない」


「そうにゃ! ポワゾンは本当に怒ったら、容赦なんかしてくれないにゃ! 手加減は一回だけのはずにゃ!」


 必死な2人の言葉が聞いたのか、長達は同族が全員解毒できてから、ポワゾンに危害を加えないようにしっかりと注意していた。


 それと同じように全員に向かってポワゾンが頭を下げると同時に爆弾を投下した。


「もし、私が気に食わないのでしたら、お相手はいたします……ただ、命が失われても恨まないでくださいませ……さぁ、どうされますか?」


 俺はポワゾンがこんなに好戦的になるのを初めて目の当たりにして、困惑したが……ポワゾンはプロの暗殺者であり、今の状況でも勝てるという自信があるからこその言葉なのだと理解する。


 緊張が俺の全身を駆け巡った瞬間、聞き慣れた声が耳に響く。


「はぁ、本当に貴方という人は……なぜ、我輩が少し離れている間にこうも容易く問題を起こすのですかねぇ……心から疑問で仕方ありませんなぁ……」


 声の方角に振り向くとそこには百人近い兵士を引き連れたメフィスの姿があり、浮遊した状態で下を向く兵士達の圧倒的な存在感に地上では、各種族の戦士達が空を睨みつけている。


「少し不快な視線ですなぁ? 我輩はかなり、機嫌が悪いのですがねぇ……」


 メフィスがそう呟くと同時にどこからか、キミが姿を現し、メフィスに向かって膝をついてから頭を下げる。


 その様子に全員が静まり流れを見つめていく。


「メフィス様。報告致します!」


「ふむ、キミル。なぜ貴女がいて、こんな惨事になっているか報告を頼みます」


「はい、本来の任務、ジン・グランツの無実の証拠とそれによる反逆者の炙り出しを行う予定でしたが、どちらも失敗いたしました」


 キミは真っすぐにメフィスを見つめたまま、そう口にする。


「はぁ……でしょうなぁ、それでなぜ、こんな無様な形で失敗したのですか?」


「はい、証拠、証言、不審な働きをする警備兵団の隊員などを調べてあと僅かというところに……キンザン殿が拘束されてしまい……あっという間に」


 どうやら、俺の連行は本当に予想外の出来事だったようだな……


 その先の報告は俺が経験した内容であり、最後に食事に微量な毒を盛り、囚人となったジンを殺害しようとしていた警備兵団の隊員について報告が終わる。


 メフィスもあまりの出来事に再度、頭を抱えており、苦悩の表情に俺は多少なりとも、申し訳ない気持ちになってしまった。

読んでくださり感謝いたします。

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