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みんなが断った異世界転移☆暇な日、限定で揚げもん屋『フライデー』をやってます。  作者: 夏カボチャ 悠元
6章 砂漠の街オアシス都市 [ガルド・デゼール]下

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123話、ジンの優しさと毒嫁の怒り

 予想に反して、ジンさんや捕まっていた人達がこの砂漠のオアシス都市【ガルド・ゼデール】の人々にとって必要とされていた存在なのだと分かった。


 後に聞いた話になるが、ジンさんは元々、下町の顔役のような存在で、グリド商会の乱暴なやり方に対して否定的な意見を持っており、それを直接、商会に訴えに行った先で拘束されたらしい。


 ジンさんは本来ならば、捕まるような存在ではないようだが、グリド商会は下町の子供達を襲うとジンさんに伝え、抵抗できないように脅していたそうだ。


 普通に考えたらどちらにしても、上手く転ばない話だが、ジンさんという人は子供に危害が及ばないならと、黙って従ったそうだ。


 本来なら守るはずの警備兵団は、やはり、グリド商会からの賄賂をもらうことで悪事に加担していたらしい。


 ただ、問題がある。それはあの無口な団長についてだ。


 俺は違和感を感じており、それを確かめるために団長の顔を隠すように身に付けていた兜と鎧を外すことに決めた。


 さすがに手足を拘束してあるため、大丈夫だろうと思っていたが、そんな俺の考えを見抜いたようにミアが声を掛けてくる。


「オッサン、1人で勝手なことばっかりしてるから、言うけどさ! 本当に行動する前になんか一言、言えよな!」


 今回の一件でかなり反省しているつもりだ。まさか、こんな一大事になるなんて思ってもいなかったしな。


「分かってるよ、今回の行動は申し訳ないなというか……」


 なんとも情けないが、頭が上がらないな。


「わかってるなら、いいよ。それよりさ……この事態をどうしたらいいかな……オッサンを助けるために頑張ってたから忘れてたけどさ……」


 そう、そこが一番の問題なんだよな。今まさに、一つの街に配属された国家機関を拘束しちまってるんだよな……


 本来なら、国家反逆罪とか、国家転覆罪なんてことになりかねないよな……


 頭の中にマイナスな思考が駆け巡る最中、ミト、ミア、ナギの三人が俺の方にゆっくりとやってくる。


 いつもと違う様子で少し申し訳なさそうな雰囲気を放つ3人の姿があった。


 今回、俺なんかのために自分達の両親や仲間といった、大切な存在を巻き込ませてしまったのだから、俺から感謝の気持ちと申し訳ない気持ちを言葉にする。


「3人には、いや、他のみんなにもだが、俺が考え無しに動いたせいで、こんなことになってしまって本当にすまなかった。それと、本当にありがとう……嬉しかった」


 俺は数日だったが、嫁達と会えない時間を本当に辛く感じていた。心がいつ折れてもおかしくないような状態だったため、俺は素直に思ったままを口にした。


 頭を下げる俺を見て、蛇人族の戦士達が不思議そうに首を傾げてから、クスクスと笑い出す。


「ケッケッケ、あの人族、長なんだろう? 自分の雌に頭下げてんぞ!」


「クックック……そりゃ、種族の差だろうよ? まぁ、雌に助けられるような雄だからな」


 俺は多少、イラッとしながらも心で『怒ったらダメだ……助けに来てくれたんだからな』と思いながら、グッと堪えていく。


 しかし、そんな俺の姿に対して、ナギが怒りを顕にする。


 “シャアァァーーァァッ!”と喉から声を出しながら俺を笑った二人の蛇人族へと迫っていく。


「アンタ達……ナギの選んだ相手を貶した……覚悟できてるのかッ!」


 それは凄まじい殺気を放った言葉であり、雄の蛇人族2人を前に一切引く気はないという、叫びであった。


 一瞬、雰囲気に飲まれてしまっていたが、俺はすぐに両者の間に割って入り、前に出る。


 ナギに襲い掛かろうとする2人の蛇人族に対して竜切り包丁を取り出し、勢いよく振り下ろす。


 一瞬で地面にめり込む竜切り包丁と上がる粉塵、“ズガンッ!”という重低音と共に放たれた一撃の衝撃が空気を振動させる。


 その瞬間、俺に向かって複数の視線が向けられる。


 蛇人族の戦士2人の視線はもちろん、その行動を目の当たりにした他の蛇人族の戦士や猫人族の戦士達からの視線、粉塵が地上に舞い戻る頃には数多の視線がこちらを直視していた。


「テメェ! 人間が調子に乗りやがって!」


 蛇人族の戦士がそう呟き、掴み掛かろうとした瞬間、その動きがぴたりと止まる。


 蛇人族の戦士はなぜか、体が動かないのか分からない様子だったが、俺の傍に近づく小さな影に視線を向ける。


「──!?」


 視線の先で影が、いつの間にか俺の足元の影へと合流する。


 合流した影、冷たく凍りつくようなトーンで静かに影から声が語りかけられる。



「マスターを傷つけるなら……それは味方じゃなく敵なの……敵には容赦しないようにポワちゃんから言われてるの!」


 影から頭を出しながら喋るドーナの姿があった。


 そこだけ見れば、ホラー映画にしか見えないシチュエーションなのだが、蛇人族の戦士からすれば、自身の力が完全に封じられた事実に怒りよりも焦りを感じているように見える。


「ドーナ、そこまで! 彼らは味方だ! 揉めたとしても敵じゃない!」


 俺が止めたと同時に、影の刃が停止する。

 仮に俺があと数秒、止めるのが遅れていたらと思うとゾッとする。


 それは蛇人族の戦士達も同様であり、ナギのパパさんも焦りを表情に浮かべていた。


 すぐに動けるようになった蛇人族の戦士に俺は謝罪する。


「本当にすまなかった。俺のせいで迷惑ばかりかけてるのは理解してるんだ。許してくれ」


「くっ! ふぅ、いや、オレらも悪かった。お前が人間だからって、軽く見てたからな、ナギが怒るのも、あの危ないチビが怒るのも当然だ……助かったぜ」


 意外な結果だった。謝っても許されないかと思っていたが、逆に謝罪と感謝を言われてしまった。


 そんな俺にナギが喋りかける。


「蛇人族は、間違いは間違いとして受け止める。感謝は感謝の気持ちを持つ。仲間をやられたら、最後まで戦う」


 ナギの言葉に背筋が寒くなる反面、ドーナが2人の蛇人族を停止しなかったら、俺はぶつかり合っていたかもしれない。

 そうなっていたら、ナギは彼らを許さないだろう……そんな結果にならなくて本当によかった。

 素直にそう思っていると猫人族の戦士達が急に笑い出す。


「にゃはは! 蛇人族が、あんな女の子に捕まってるニャ、にゃはは!」

「笑ったらダメにゃ、ぷぷッ……きっと動けなかったんじゃなく、ふふ、優しさだにゃ。クスクス」


 あきらかな悪意を感じた瞬間、俺は怒りを感じてしまっていた。


 そんな、猫人族達に対して、動いたのは狼人族と砂鮫人族だった。


 猫人族の戦士達へと近づく2種族に猫人族が警戒するように身構えた。


 そんな猫人族に、向かって狼人族の女戦士であるウルグが声を張り上げる。


「アンタ達、随分と楽しそうじゃないか? そんなに遊びてぇなら! アタイ達が遊んでやるよ。なぁ、お前達ッ! ウオォォォォンッ!」


「「「ウオォォォォォォォォッ!」」」


 狼人族の戦士達の一斉の遠吠えに猫人族の表情が青くなっていく。


「へっ、ミト様の前で仲間割れかい? そんな、バカ野郎どもは、容赦なく根性叩き直してやるからよ! やる気あるんだよな? 猫人族の戦士さん達よォッ!」


 ミトの言葉に砂鮫人族の戦士達が鋭い視線を向けながら、ギザギザの歯をギラリと見せつける。


 一難去ってまた一難、そんな言葉が頭に広がった瞬間だった。


「本当に仕方ない方々ですね。ご主人様の救出に協力していただいたからこそ、感謝していましたがこれ以上は、見逃せません……長の方々には申し訳ありませんが無力化させていただきます!」


 そう語るポワゾンの姿を見た、ミト、ニア、ナギの3人とウルグの表情が一瞬で凍りついたのが分かった。


 だが、ポワゾンはその表情を知ってか知らずか、ゆっくりと全体を見渡し、指で人数を確かめるように数えていく。

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