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みんなが断った異世界転移☆暇な日、限定で揚げもん屋『フライデー』をやってます。  作者: 夏カボチャ 悠元
6章 砂漠の街オアシス都市 [ガルド・デゼール]下

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121話、危険な食事は△・キンザンを救う者達

 牢獄に戻された俺を見て、ジンが声を上げた。


「おい! いくら看守だからってな、やりすぎだろうが! 囚人への暴力になんの意味があんだよ!」


 実際は何もされてないし、血も偽物なんだが、口にしようか悩んだ瞬間、キミが警棒を鉄格子に叩きつける。


「黙れ! ここのルールだ。お前らは黙って下を向いて、大人しくしてりゃいい。わかったな!」


 ジンは、それでも、まだ何かを言おうと口を開こうとしたが、キミは容赦なく、ジン側の鉄格子に警棒を叩きつける。


 ジンの握る鉄格子ギリギリをわざと狙うようすに俺は冷や汗が溢れ出す。


「次は指を潰す……逆らうな……質問も許した覚えはない。分かったら、静かにしていろ……いいな」


 俺以外の全員が悔しそうに歯を食いしばるようすを見て、キミは静かにその場を後にしようとする。


 その際、何かを思い出したと言わんばかりにキミが俺の方を向く。


「おい、こっちにこい!」


 言われたまま傍に近寄ると小さな声で「痛がるフリをしてください」と、耳元で呟かれた。


「この、応急用のポーションの失敗作を使ってやる! 激痛が全身を駆け巡るが、すぐに傷がなくなる優れものだ……ただ、痛みは何倍になるか分からないがな」


 そんな嘘のような説明を終えたキミが小瓶を取り出すと勢いよく俺に中身をぶっかけていく。


「早く、痛がれ! 我慢しても無意味だぞ!」


 キミがそう言った瞬間、俺も慌てて演技をする。当然痛くないため、かなりマヌケな気持ちになるが、必死に痛がる演技をしていく。


「よ、よかったな……傷は塞がったし、問題は解決だな……ふん!」


 キミが立ち去る際に「次はもっと上手くやれ」と本当にボソッとつぶやかれた。


 演技には自信があったが、どうやら落第点だったようで、かなり渋い顔をされてしまった。


 キミが完全に見えなくなると、ジンや他の囚人さん達から心配の声が向けられた。


 皆を騙しているようで、申し訳ない気持ちになったが、ここでキミの存在を話すことは悪手だということは分かるため、「大丈夫だ」とだけ返事をしておく。


 俺の反応から、ジンがホッとした表情を浮かべたのが分かり、俺も一安心した。


「しかし、あの野郎、最近来たばかりなんだが、本当にヤバい奴だな……」


 ジンが怒りながらそう口にする。当然だが、キミはメフィスの部下であるため、最近きたのは間違いないだろう。


 ただ、一つ気になったのは、キミがここまで好き勝手な行動ができるのかという疑問が生まれた。


「なあ、ジンさん。あの看守ってなんで、あんなに自由に動いてんだ?」


「あ、アイツは前任者の看守と揉めて、前任者を半殺しにしたんだよ」


「え、前任者を!」


「ああ、普通じゃ、耳を疑いたくなる話だがな……しかも、囚人達がいる牢屋の通路でだぞ、手前の奴らは大盛り上がりだったみたいだな。歓声がここにまで聞こえてきたからな」


 話を聞いていて、驚いた……ただ、それでも話の内容を聞いて違和感を感じた。


「いや、それでも看守になるのはなんでなんだよ? さすがにおかしいだろ?」


「単純な話だ。囚人達は奴が強い事実を知ってる。だから、奴に逆らう奴がいなくなったんだ。前任者の看守もかなり強い男だったしな……そいつをぶっ倒した奴に逆らう奴なんて、いないさ」


 恐怖で囚人を支配できる存在は、看守に最適ってことか本当に怖い話だな……


 話が終わるとジンは横になって眠ってしまった。


 その日はそれ以上の問題はなく、夜になり食事が運ばれてくる。

 巨大な鍋が台車に乗せられ、看守3人が作業をしていく。

 1人が見張り、1人が台車を押し、1人が鍋の食事をお椀に入れて配るという形であり、見張り役がキミであった。


「食事だ。感謝して食べるように」


 そう言われ、器に入れられたよく分からない煮込みが配られる。


 酷い臭いであり、食材も傷んでいるのか、かなり不安になる食事に俺は【食材鑑定】を発動する。


 『食事可能△、食べる事をオススメしない。食中毒になる可能性◎』といった散々な結果であった。


「こりゃ、酷いな……」


 俺がつぶやくとキミが俺を睨みつける。


「文句があるなら、食事はなしだ! 配らずに回収するぞ」


 食事を配ろうとしていた他の看守達が驚きの声を上げる。


「な、何を勝手な! そんな権限、お前にはないはずだぞ!」


 看守の1人がそう口にした瞬間、キミが拳を握り悩むこと無く振り上げる。


「ぐお、いでででぇぇ! やりやがったな!」


 殴られた看守が立ち上がろうとした瞬間、地面についている手を思い切りキミが踏みつけた。


「ぎゃああああ、いだああ、やめろ!」


「誰に命令してんだよ……お前が何様なのか教えてくれよ? なあ?」


 そこからは酷いものだった……キミは容赦なく反抗した看守を殴り気絶させてから、もう1人の看守と共に去っていった。


 キミはメフィスの部下だが、味方なのかは分からない、むしろ、目立ちすぎてる印象すらある。

 潜伏や潜入任務で目立つなんて、メフィスの部下への教育は大丈夫なのかよ……


 結局、晩飯が抜きになったが、皆にサンドイッチを早い段階で食べてもらっていたので、酷い空腹に襲われることはなかった。


 この警備兵団の地下牢獄に入れられてから、一日が過ぎた。


 朝食はパサパサのパンと塩水のようなスープが配られていく。

 ただ、驚いたのは昨日と違いキミに殴られた男の姿がなく、怯えたようすの小柄な少年が代わりに給仕に加わっていた。


 食事を配られ、とりあえず食べていく。

 やはりというべきか、美味くないし、塩っぱいばかりで食べて苦痛すら感じる。


 俺は【食材鑑定】があるから疑うことなく食べていたが、他の連中はやっぱり不安みたいだな。


 それから、こんな日々が三日も過ぎると俺は少し不安になってきていた。


 もし、二度と出られなかったら……嫁達は無事なのか? 不安と心配が心を支配する最中に、上が騒がしいことに気づく。


 地下に響く程の振動に俺は天井を見上げる。


 その行動にジンが、力ない声を出した。


「なんか、騒ぎが起きてるみたいだな? この上は多分大通り付近だろうからな……祭りにはまだ早いが? なんだかなぁ」


 振動はさらに強くなり、それが収まったかと思うと、階段側の通路から凄まじい衝撃音が鳴り響く。


 俺もジンさんも鉄格子から音の方に視線を向ける。

 酷い土煙が遠くで巻き上がっているのが分かり、その方向から人の叫び声が複数聞こえる。


「ジンさん、な、なんなんだよ。これ?」

「オレに聞くな! 普通に考えたら警備兵団の建物が襲撃されてるようにしか見えないが……そんな馬鹿なことがあってたまるか!」


 そんな会話をしていると入口側からすごい勢いでキミが走ってくる。


「おい! 何があったんだよ」


 俺の問い掛けにキミは無言で鍵束を取り出すと牢屋の鍵を開ける。


「まずいことになった。キンザン殿、アンタの嫁達が色々やらかしたせいで計画が台無しだよ……本当に勘弁してくれよ」


 そう口にしたキミは次々に牢屋の鍵を解錠していく。


「おい、キンザン、何がどうなってるんだよ? なんで、看守が鍵を開けてくんだ?」


「俺も分からないが、そうしないとヤバいことが起きてるらしいな……」


 俺が通路の先を見つめると、そこにはナギの姿があり、その後ろにナギと同じ蛇人族の姿が複数確認できた。


「な、ナギ! 何してんだアイツ」


 俺の声に気づいたのか、ナギが疾風の如き速さで俺の元に向かってくる。


「マイマスタァァァァァーーーーッ!」


 すごい勢いで抱きつかれた俺はそのまま、力任せに抱きしめられる。


「ぐるじい、ナギ、ストップだ」


 慌てて俺を離すナギ。心配そうに俺を見つめるその頭を撫でてやる。


「助けに来てくれたのか?」


「うん、皆、自分達の仲間を呼んで、巨大な群れになって迎えにきた」


 説明が分かりづらいが、間違いなく、嫁ちゃん達が仲間を連れて来てくれている。

読んでくださり感謝いたします。

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