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みんなが断った異世界転移☆暇な日、限定で揚げもん屋『フライデー』をやってます。  作者: 夏カボチャ 悠元
6章 砂漠の街オアシス都市 [ガルド・デゼール]下

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118話、キンザンの甘さ【ガルド・ゼデール】の警備兵団

 俺らしくない行動に、ミア達が前に出ようとするが、手を横に伸ばし待ったをかける。


 ミア達の動きが停止したのを横目で確認してから、俺は声を張り上げる。


「全員、すぐに二階に、早く!」


 俺の気迫に満ちた言葉に嫁ちゃん達が一斉に頷く。


「オッサン! 何する気か知らないけど、絶対に無理すんなよな!」

「そうだにゃ、無茶して、怪我したらダメにゃ!」


 ミア、ニアが心配そうに階段を駆け上がっていく。

 二人の行動を見て、ポワゾンがすぐに他の嫁ちゃん達に指示を出していく。


「私達も上がりましょう。ナギ、ミト、急ぎますよ、ご主人様の邪魔になりますからね。ペコ、グー、ドーナ、行きますよ」


「わかった。マイマスターの指示を聞く!」

「畜生っ、はぁ! わかった! 何する気か知らないけど、絶対に無茶すんなよ。わかったな無茶苦茶野郎!」


 ナギとミトがそう言うと二階へと移動していく。


 その間もズナッキー達は俺が1人になったことを喜ぶように笑みを浮かべていく。


 ベリーとフライちゃん達が待つ二階へと全員が移動したのを確認してから、俺はズナッキーを睨みつける。


「な、生意気な目をしおって! 許さんぞい、お前の態度は本当に気に食わないのだぞい!」


「奇遇だな? 今回はお前と同意見だよズッキーニ」


「ズナッキーだ! キサマ、わざとだろう!」


「さぁな! ただ、お前と同じくらいに、俺もイライラしてんだよ!」


 俺は悩まずに【ストレージ】から飾り石(ダイヤモンド)を複数取り出して“リサイクル袋”に入れて袋の入口ズナッキー達に向ける。


「これが俺の対人戦のやり方だッ!」


 俺が叫んだ途端、ダイヤモンドの原石として買い取られた飾り石が大量の金貨へと変わり雪崩になってズナッキー達に襲いかかる。


「ぬわッあぁぁぁーッ! 金貨が、うわぁ! ぐあぁぁぁ!」

「ズナッキー様! ぎゃああああ!」

「ヤバイぞ、逃げ! うわあああ」


 俺の予想外の行動に即座に反応した嫁ちゃん達と違い、俺の言葉に対して、その場を動かなかったズナッキー達にありえない膨大な枚数の金貨が“リサイクル袋”から溢れ出していく。


 解体場の入口から大量の金貨に押し流されていくズナッキーと男達。


 当然だが、金貨は重く、軽くぶつけられても痛い……さらに言うならば、その膨大な枚数は数の暴力を形にしたようなものでしかない。


 全ての金貨をぶつけたら、さすがに死んでしまうため、いまだに止まる様子のない金貨を直接【ストレージ】に流し込んでいく。


 吹き飛ばされたズナッキー達を確認するため、解体広場に向かって歩いていく。

 目の前に広がる金貨の絨毯を見て、俺はやり過ぎたな、と改めて感じつつ、【ストレージ】を開いていく。


 大量の金貨を【ストレージ】に収納しながら、金貨に押しつぶされて気絶したズナッキー達を見つける。


 完全に気を失っており、俺が横に立っても気づくようすはなさそうだ。


「息はしてるみたいだな、ふぅ……なら問題ないな。さて、無傷なアンタらはどうすんだ?」


 俺の視線を向けた先には、主であるズナッキーを見捨てて、素早く逃げたことで、助かった数人の男達の姿があった。


 俺の姿を見て、男達が口を開く。


「あ、俺達は……降参だわ、アンタみたいなタイプと揉める気はないぜ」


「オレもだ……少なくとも、アンタが金で解決する気になったら、ズナッキーの旦那に勝ち目がないのは理解したからな」 


 男達は口裏を合わせたようにそう語ると、武器をその場に捨てて両手をあげた。


 どの世界でも降参のポーズってのは、一緒なんだなと感じた。


 俺は降参を受け入れようとした瞬間だった。


「詰めが甘いんだよ! 甘ちゃん野郎がァァァッ!」


 二階からミトの声がしたと思った瞬間、スパナのような道具を男に向かって全力で投げ放たれる。


「ぎゃああああ!」と叫んだ男。

 その手にはナイフが握られており、服の袖にナイフのホルダーが確認できた。


「おい、敵は敵なんだよッ! 油断してんじゃねぇよ! わかったか甘ちゃん野郎が!」


 ミトの言葉に俺は自分の甘さを再確認した瞬間だった。

 他の男がナイフを手に取り、俺の脇腹に向かって突進する。

 握られたナイフが脇腹に触れた瞬間、俺は寒気と焦りをいっぺんに感じ、鼓動が激しく脈打つ。


「オッサン! くそ、オッサァァーーンッ!」


「な、あぁ、馬鹿野郎! 待ってろ!」

「キンザン! 今行くにゃ!」

「マスター……あ、あぁうわぁぁぁ、許さないの」


 ミアの声が一番最初に聞こえ、続くように複数の嫁ちゃん達の声が耳に響く。


 ただ、俺は片手をあげて、すぐに【リミットカット】を発動させると突進してきた男の胸ぐらを掴み、壁に向けて投げ飛ばす。


「みんな、泣かなくて大丈夫だよ。調理用の服にしてて本当に良かった。ナイフは刺さってないから、俺は本当に大丈夫だからさ!」


 俺は改めて料理と【調理器具マスター】に救われてることに感謝しつつ、嫁ちゃん達を泣かす結果になってしまった事実に自分をぶっ飛ばしてやりたくなった。


「俺が甘かったんだな……はぁ、本当にイライラするのは苦手なんだよ……わかるか……」


 呟きながら、ゆっくりと男達に近づいていく。


 そして、俺は慈悲の心を捨てると、肉叩きという肉を柔らかくするために使うハンマーを取り出す。

 小さなハンマーであり、ミートハンマーと呼ばれる道具だ。


 武器として使おうと考えるなら、あまり役には立たないだろう……


 ただ、筋肉を鍛え上げた男達の肉体に対して、【調理器具マスター】を発動した状態でミートハンマーを使ったなら、きっと別の意味で絶望的な武器になるだろう。


「さぁ、肉を柔らかくしてやるよ!」


 俺は容赦なく、ミートハンマーで男の腹を叩く。

 痛みがなかったようで、男も驚いていたがその真の恐怖はすぐに男の鍛え上げられた肉体に変化を与えた。


「な、あぁ、俺の腹筋が! ぷよぷよになっちまった!」

「や、やめろ! 嫌だぁぁぁ! 俺様の腕が、プルプルになっちまったよ、やめてくれ」


 当然ながら、相手の両二の腕と腹筋を狙い、しっかりとミートハンマーを当てていく。


 足はムキムキのままの状態で、腹筋はタルンタルンに、二の腕もプルンプルンにしてやった。


「あぁ、これからどうやって、仕事を受けたらいいんだよ! こんな体じゃ依頼なんか……」

「こんな体じゃ、女に相手されねぇよ! 畜生がぁぁぁ!」


 こいつらは、若い頃から身体を鍛えてきたんだろうが、これで振り出しに戻った感じだな。


 奴らの中には現役の冒険者みたいな奴もいたんだろうが、嫁ちゃん達に負ける程度の連中なら、たかが知れてるだろうから、気にする必要もないな。


「少しは反省しろよな。次になんかしてきたら、足もぷるぷるにしてやるからな!」


 そんなセリフを口にしても、理解しない奴はやはりいる。


 そんなお馬鹿さん達が俺に向かって襲いかかってくるが、既に筋力が低下した肉体で【身体強化】した状態の俺に攻撃を当てられる者は存在しない。


 約束通り、屈強な皆さんの筋肉をぷるぷるにさせてもらい、数名は足もプルンプルンになる結果になった。


 冷静になってから、俺は“ミートハンマー”は二度と使わない方がいいなと思ってしまった。


 目の前で絶望する男達の姿には多少、同情はするが自業自得だからな……


「さて、このズッキーニ野郎はどうするかな……体も鍛えてるようすはないしな……」


 軽く悩んでいると、背後からさらに足音が近づいてくる、立ち上がり足音の方に視線を向ける。


 鎧姿の人影が十数人、こちらに向かってきていた、まるで映画のワンシーンのようにすら見える。


「動くな──我々は【ガルド・ゼデール】を守護する警備兵団である」


 警備兵団と聞いて一瞬、ズナッキー達を捕らえにきたと思い、ホッとした。


 しかし、予想外の言葉が警備兵団から飛び出してくる。


「オマエをグリド商会の副会長であり現会長代理である──ズナッキー•グリド氏への殺人未遂で拘束する。逆らえば、この場で処刑する! 抵抗するなよ」


 最悪の結果だった。フライちゃんがいるため、心で話しかける。


〘一旦、コイツらに従う。みんなに馬鹿な事をしないように言ってくれ、最悪の場合は許してくれ、すまん〙


 これでフライちゃんには伝わっただろう。


「わかった! 抵抗は一切なしだ。ついて行くよ」


 ダメ押しの大声での発言、二階からは俺でもわかるくらいに殺気を放つ嫁ちゃん達の視線が向けられていた。


 だが、幸いだったのは、俺だけが連れていかれた事であり、嫁ちゃん達がいる解体場に警備兵団が向かわなかったことだった。


 さて、俺はどうなるんだろうな……

読んでくださり感謝いたします。

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