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装備枠ゼロの最強剣士 でも、呪いの装備(可愛い)なら9999個つけ放題(Web版)  作者: 坂木持丸
墓庭編 第2章 幽霊屋敷の調査

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謎の少女の笑い声

 リッカ先輩を一緒に、幽霊屋敷の調査を始めた僕だったが。

 思わぬところで……それも最悪の形で、『屋敷に入ったら死ぬ』という噂の真相がわかってしまった。

 噂は正しかったのだ。

 この寄生宮に入ってしまえば、たしかに死ぬ。

 呪いの装備の代償によって……。

 どうやら、僕は……この屋敷に、閉じ込められてしまったらしい。


 ――くすくすくすくす……。


「……ひっ!?」


 突然、屋敷の中から、少女の笑い声が響いてきた。

 小さな声だったけど、妙にはっきりと聞こえた。

 まるで頭の中に響いてくるように……。


「……の、ノア? 今、笑った?」


「いや、僕じゃないです」


 ジュジュが思い出し笑いでもしてるのかと思ったが、どうも様子が違う。ジュジュの笑い声はもっと下品だし、だいたい笑うとむせるし。

 かといって、僕たちの他に人間がいるとは思えない。この寄生宮は、未装備のまま放置されていたのだから。

 とすると、本当に幽霊でも住み着いてるのか……?


「はぅわ!?」


 今度は――ふっ、と。

 周囲にある全ての燭台に、一斉に火が灯った。

 まだ薄暗いが、屋敷内を見わたすことぐらいはできるようになる。


「な、なんか、外から見たときより広くない……?」


「……ですね」


 こぢんまりとした屋敷だったはずが、中に入ってみれば宮殿だ。

 ここは玄関ホールだろうか。正面には緩やかにアーチを描く階段。見上げれば、吹き抜けの高い天井に、ステンドガラスの天窓。覆いが外されたのか、天窓からは光が差し込み、薄暗いホールの床に色彩豊かな花模様の光を落としている。

 舞踏会でも行われそうな豪華なホールだった。

 気づけば、どこかから楽器の音色も流れてきている。

 次から次へと、不思議現象が起こるな……。


「だ、誰かいるの……?」


「みたいですね」


 ――くすくすくすくす……。


 ふたたび、悪戯げな笑い声。

 同時に、吹き抜けの二階部分から、ばさっと垂れ幕が降ろされた。

 垂れ幕の上には、べったりと血文字がついていた。


 ――ようこそ!



「ひぃぃ!? 歓迎されてる!?」


「いや、歓迎ならよくないですか?」


「うぅぅ、もうダメだぁ……きっとあたしたちは、ここで夢のような時間を過ごすことになるんだぁ……」


「楽しみですね」


 と、こんなことしてる場合じゃないか。一応、仕事中だし。


「それより、さっさと屋敷の調査を始めましょうか」


「えっ、調査するの!? なんで!?」


「いや、仕事ですけど」


 まあ、すでに屋敷の正体はわかってるんだけど。

 報告書に『屋敷=呪いの装備』とは書けない。

 それに……この寄生宮の代償は、『外に出たら死ぬ』というもの。

 なんらかの“抜け道”を見つけなければ、僕はこのまま一生閉じ込められることになる。


「あの、怖いなら外で待っててもいいですよ」


「はぁ!? ちょっ、えっ……はぁ!? べ、べつに怖くなんかないし! 普通だし!」


 リッカ先輩が壁に手をつきながら立ち上がった。


「ふ、ふんっ。あんま先輩をナメないで。これぐらいの修羅場の一つや二つ、余裕で……」


 ――ばんっ。


「はぅわ!?」


 突然、壁になにかを叩きつけるような音。

 リッカ先輩が、ぎぎぎ……と壁を見る。

 その視線の先には、べったりと血文字が踊っていた――。



 ――しゅく



いわわれた!?」


「よかったですね」


「うぅぅ、もうダメだぁ……きっと、あたしは死ぬまで祝われ続けるんだぁ……」


「素敵な余生ですね」


 リッカ先輩が頭を抱えて、がくがく震えだした。


 ――くすくすくすくす……。


 ふたたび、女の子の笑い声が響いてくる。


 ――くすくす……ぷふっ……げほっ……うぇ……。


 めっちゃ笑われてます、リッカ先輩。


「にしても、なんでしょうね、この声? やっぱり誰かいるんですかね」


「…………」


「一応、声の主についても調査しときますか。正体ぐらいはつかまないと報告できませんし」


「…………」


「リッカ先輩?」


 返事がない。リッカ先輩はフリーズしていた。


「……ノア、手」


「はい?」


「手、つないであげる」


「いや、いいですけど」


「ばっ、あんたっ! 迷子になったらどうすんの! 迷子ナメてたら痛い目見るからね!」


 そう言って、無理やり手を握られる。

 べちょり。


「うわ……」


 先輩の手、汗すご……。

 さすがに、口に出しては言えないが。


「よし、行くよ! あたしがこの屋敷の謎を解明してみせる!」


「はぁ」


 リッカ先輩がやる気になったのはいいけど……いきなり前途多難だなぁ。


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