第十六話
「急いで急いで!遅れちゃうよ!」
「アカネが前もってトイレ行っておかないから遅れた。」
「ごめんて、サクヤ、スノウちん…あまり怒らないで!」
「フフフ。」
「ハルカさんどうしましたの?」
「いや…何かこういうの良いなって。バタバタしながらも目標に向かってる感じ。私凄く好きです。」
「そうですわね…わたくしもハルカさんが何が言いたいか分かりますわ。皆とこうして笑い合える。それだけでも、とても贅沢な時間ですもの。」
「お嬢…セレーネの言う通り。ボクは今がとても楽しいよ。ハルカくん。」
私達はポータルを抜け東側の控室に移動している。
少し抜けてるアカネさんを責めながらも私達の表情は明るかった。
準決勝、第一戦。
私達華天対極光騎士団の試合が間もなく始まる。
『さぁ間もなく始まります。実況は引き続き私DJ'POOが務めさせて頂きます!準決勝第一試合華天対極光騎士団。何方も実力者揃いで目が離せません!この準決勝より解説には水玉海賊団リーダー、マリンさんと屈殺騎士団リーダーリンネさんにゲストとして来て頂いています。お二人共宜しくお願いします。』
『宜しくねー』
『宜しく頼む。』
『はい、と言うことで皆様待ちに待った選手入場です。西側より騎士王国の実力者、極光騎士団の登場となります。』
「ふぅ‥行こうか。」
「おう!」
「アハーッ!だんちょ、緊張してるぅ〜?」
「こら、余計なこと言わないの。暗示解けちゃう。」
「アハハハ、やっぱおめぇら見てると面白えわ!」
「笑うな、阿呆。」
ザッザッと足並みを揃え、舞台に上がってくる六人。
あれが極光、そしてアーハー。
『ここで皆知っていると思うが改めて紹介だー!
その硬さは正に城塞!守って殴る、男の中の漢!ウーハー。
蝶のように舞い蜂のように刺す、頼れる姉御、レイピア使いのレイ。
王国では珍しく刀を使い戦うクレハ。
お調子者の気分屋な頼れるヒーラー、ラスタ。
パーティ最高火力の魔法使い、めちょりん。
そしてそして、最優の騎士として騎士王ゼクスより冠されているリーダーのアーハー!!
その実力は全一と言われているが…果たして…優勝出来るのか?!お二人共如何でしょうか?』
『中々バランス良いよねー。でも優勝は無理くね?』
『うむ。華天は侮れんぞ?天上天下もいるし、百鬼夜行も準決勝まで上がってきた実力がある。まだ優勝となると話が違ってくる。』
『ありがとうございます。さて続いては華天の入場です。えーと…何々…なるほど、この曲を流してくれ、と。❴ラブウォー〜一騎当千〜❵をバックに入場だー!私も好きなナンバーです。
先ずは人気ライバーアカネが登場!周りに媚を売りながら道を歩いていく。台本ガン無視での登場だッ! 続いて、セレーネ、サクヤ、スノウが振付を踊りながら、その後をハルカともっセルが歌いながら歩いていく。
なんと可愛らしい歌声だ!一番が流れ終わったと同時にポーズを決めてリングインだー!!私含め、会場のペルソナガールズファンが咽び泣いております!お二人は元メンバーですがハルカ、もっセル両選手の歌声は如何でしょうか?』
『74点。…これ、ダンスバトルか何か?』
『ふむ、リズムは掴めているが慣らしが足りないな。単純に練習不足だが、いい筋をしている。…と偉そうに評論家の様な事を言ってしまったか。』
『辛口なご意見ありがとうございます。さぁ、両者向かい合っております。何か話しているぞ?』
うーん、実況の人煩いな…
アーハーの声が上手く聞き取れない。
「…ルカさ…。本日は…出来…嬉し…です。良い試……に……しょう。」
「えとごめんなさい。よく聞こえなくて。対戦宜しくお願いします。」
私は差し出された手を無視して頭を下げる。
だって何話してたのか分かんないんだもん。
「双方準備は宜しいですか?それでは…試合開始!!」
さてさてどう動こうかな。
今回は一回戦の誰かがメインじゃなく、二回戦の誰が誰を、という様な細かい作戦は決めてない。
だから単純に誰が何人倒したか…
という分かりやすい競争をすることにした。尚来週の夕食を賭けている。
開幕、相手方の魔法使いが爆炎を開始早々放ってくる。
成る程そういう作戦か…
ということで私はレイピアを持った女の人に吶喊し盾にする。
お、セレーネさんもこの人狙い?
ごめんなさい、速さ勝負なら負けないもんね。
フレンドリファイヤーが適用されてないのがちょっと残念。そしたら爆炎に突っ込んで来たのに。
「えっ?!こっちに来た?!だんちょ、助けて!」
「遅い!ショートカット=バイカーシュートッ!」
「あぎゃあー!」
何とか爆炎を乗り越え、速攻によりレイピア使いさんは赤ちゃんみたいな断末魔を上げて退場した。
「よっし、一人目‥おわっと!」
残心…からの周囲警戒を怠って背後から近付いてくるウーハーに気付かなかった。
返しの蹴りをお見舞いするも盾で防がれる。
「そう易々とやられてたまるか!〈鼓舞〉〈破砕〉〈浸透撃〉!」
「甘いですわ!〈炎斧〉〈双刃斧〉〈破砕撃〉!」
近くに居たセレーネさんが横合いからスキルを発動し、乱入してくる。
ここはセレーネさんに任せよう。
私が1位を取ったら来週は焼肉だ。
「チッ…リベンジとは行かない…か。」
「セレーネさん、お願いします!」
「お任せあれですわ!」
少し距離を取り、〈三段跳躍〉で周りを俯瞰し確認する。
もっセルさんは魔法使いに少し苦戦していて、スノウさんはヒーラーをたった今倒した。
アカネさんとサクヤちゃんでアーハーを抑え込んでいる、と。
なら私が行くのはもっセルさんのところだ。開幕早々の爆炎、ちょっとダメージ受けちゃったからね。
あ、因子結合しとこ。
誰にしようかなー。
新しい組み合わせを試してみようかな。
…決めた!
ユウヒ、アンジュ。
力を借りるよ?
「〈因子結合・闇 風〉モード=闇嵐妖精女王ちぇいやー!」
「ほわー!こっち来た!ラスタとレイは?!あれ、居ない!誰か助けてー!」
「闇を誘う風!もう逃げ場はありませんよ?」
背中の漆黒に染まった翼をはためかせ無数の風の刃を起こす。
この一つ一つがランダムでデバフ効果が付くと言うおまけ付きだ。
さて、どれが出るかな。
「身体が…重い…目も見えない…何これ?!」
お、筋力低下と暗闇状態かな?
「もっセルさん後はお願いしますね。私はアカネさんの方見てきます!」
「助かったよ、ハルカくん。後はこのボクに任せておきたまえ!」
「行きますよ!〈ライジングサン〉〈サンスラッシュ〉!〈ピアッシングスピア〉!」
「うぉっと!中々鋭い突きだねー。こりゃ余裕こいてると負けるかもね。」
「だから言ったでしょう。舐めて掛かると恐ろしい相手だと。」
…おろ、アカネさんピンチっぽい?
今ゲーム内は日照時間だし、アーハーが小さい太陽みたいなのを出していて、サクヤちゃんは大幅パワーダウンで回復が間に合ってないっぽいね、こりゃ。




