第二十六話
前回投稿にて日刊ランキング49位、連載中39位になりました。
有り難うございます!
しばらく2日に一回投稿します。
また評価ブクマリアクション有り難うございます!
これからも精進して参ります。
私は担任の話を聞き流しながら、茜さんが住むマンションの方角へ視線を泳がせるのだった。
ボーッとしていると気付いたら午前の授業は終わっていた。
「春風さん、朝ホームルームの時言いかけてた話、どうしたの?」
「んー、やっぱり良いや。あーお腹空いたー。購買購買…あ、深雪さんがお弁当用意してくれてたんだっけ?…あったあった。」
二段重ねの小さいお弁当箱を鞄から取り出す。
「春風さん、珍しくお弁当なんだ?」
「いやー実は居候してる所で同じ居候の元地下アイドルの人がお手製のお弁当を作ってくれてさ。折角だし、美味しく頂こうかと。」
「(…スノウさんとも一緒に暮らしてる?)あはは。春風さん、今日は面白い冗談ばかりだね。実は手作りなんでしょ?うわ~、美味しそう!」
「はは、冗談なんて言ってるつもりないんだけど…およ?手紙…」
〈昨日配信見てたよ。おめでとう、細やかながらミクの好物を沢山詰めたよ。早く合流出来る様に私も頑張る…!午後も頑張ってね。深雪〉
ありがたい…
私、深雪さんにガッツリ胃袋掴まれてる?
ほわー、甘めのだし巻き玉子にアスパラ巻き、のり塩味の鶏唐揚げ、ふりかけをまぶした小さいおにぎり。
下の段にはポテトサラダ。
仕切りで分けた部分にオレンジや葡萄がちょこんと添えられている。
本当に私の好物ばかりだ。
むむむ…味も完璧とか深雪さん乙女力高過ぎる…!
まぁ私はそんなきゃぴきゃぴしてないけどね。
あれ?もしかして死語?
「…春風さん、良かったらそのだし巻き玉子一つちょうだい。私の作った卵焼きと交換しよ?」
「んー?良いよ。あむっ!これ生天目ちゃんの手作りだっけ?凄く美味しい。」
「…そう?なら良かった。あ、凄い美味しい…!実は今日の自信作なんだけどね。この美味しさの前には霞んじゃうかも…そういえばこの前ーー」
うーん。
我ながら良い友達を持ったものだ。
生天目ちゃんならたまに遊びに出掛けても良いかもしれない。
IMOに誘ったりとか?
あ、連絡先知らないや。
「ねぇねぇ、生天目ちゃん。今度良かったら遊びに行かない?私、夏服見に行きたくてさー」
「(春風さんに遊びに誘われた?ヤバいこれがバレたらMFCに何て言われるか…ううん、ただ服を見に行くだけだよね?決してデートではない…よし!)……うん、良いよ!」
「わーい!あ、連絡先おせーてー。」
「(うひゃー!冷姫様の連絡先をげっとしてしまった…MFCの人達にバレたらどうしよ…)はい、これ私のニャインのID。たまにメッセージ送っても…いい?」
「ん?もちろん、私達友達じゃーん。すぐは返せないけどちゃんと返事するよー!」
ニャインのIDを登録すると、拳銃を持った犬のお巡りさんがデフォルメされた可愛らしいアイコンが表示される。
私のアイコンは初期設定のままだ。
特に不便とか感じないし。
まぁ登録してるのも両親と茜さん、深雪さん、世麗那さん、桃瀬さんと身内ばかり。
特に気にするでもない案件だ。
「春風さーん。お客さんだよー!」
「おろ?誰だろ?」
不意に呼ばれた先を見ると黒髪の艶やかな美少女が立っている。
何処かで見たことあるような…リボンの色は青、一年生だ。
「あの…私1年C組の二宮遡久耶って言います。良ければ少しお時間頂けますか?」
私を真っ直ぐに見つめている。それに頬が赤い。
んーまた告白?
今月何回目だろうか。
女子高だから女の子しか居ないのは当たり前なんだけど、それにしても積極的で多すぎない?
「分かった。放課後教室に迎えに行くから、その時ね。」
「え?今話したいんですけどーー」
「もうすぐ午後の授業が始まるし、貴方の大切な学ぶ時間を削りたくないんだ。ほら、もう時間がないよ?」
こんな感じで王子様ムーブをすると大抵の子は大人しく戻ってーー
「美空お姉様…いえ、ハルカお姉様とお呼びした方が良いでしょうか?」
ボソッと耳元で告げられる言葉を受け入れ…私は悟った。
ペルソナ・ガールズのサクヤちゃんか、この子。
名前も一緒だし。
「ーーさぁ、教室にお帰り。後で迎えに行くよ。それまで良い子で待っててくれ子猫ちゃん。」
キャーと教室の周囲に居る生徒達の黄色い声が響き渡る。
うん、なんかね…
慣れっこです。
毎日の様に告白する子が私の元を訪れては野次馬が私の王子様ムーブを見てはキャーキャーと騒ぎ立てる。
「そこ、騒がしいわよ!一体どうし…また貴女なの?春風さん。」
ーーそして現れるこれまたいつもの日常風景と化した風紀委員長様…
「ども…毎度お騒がせしています。」
「はぁ…ほら、もうすぐ授業が始まるわよ。散って散って。」
「ご迷惑をお掛けします。」
「貴女はもう少し自分の人気度と魅力を理解するべきだと私は思うの。どうせ何時ものように煽ったのでしょう?それに関してどう思うかしら?」
「はぁ…すみません。」
なんて毎度のことながらペコペコしているといつもはため息を吐きながらこの風紀委員長様は帰って…くださるのだが今日は違った。
「あらあら。棗、私のお友達をあまり苛めないであげて?美空さん、ご機嫌よう。」
「あ、世麗那さん」
まだ様子を伺っていたサクヤちゃんが世麗那さんと頷き合いアイコンタクトを取っている。
というか私の周りにペルソナ・ガールズのメンバー多くない?
まだ見ぬ残り二人も実は学校関係者ではないかと疑っている。
深雪さんも確かここ出身だったような…
「あら、世麗那。噂になってるわよ?春風さんと一緒に登校したらしいじゃない。いつの間に仲良くなったのかしら?」
「フフン!ここ一ヶ月と言いたい所ですけどお互い名前で呼びあったのは何を隠そう、、、昨日ですわ!」
漫画ならドーン!!
と、背景に吹き出しが出ているだろう腕組みポーズで自信満々に世麗那さんは言い切った。
「あー、ご両人。私が言うのも何ですがあと三分ほどで予鈴が鳴りますよ?」
「くっ…春風さんの言う通りだわ。良い?これからはあまり目立った行動はしないこと。もしも人が集まりすぎて怪我をしたら大変な事にーー」
「ーー棗はわたくしにお任せ下さいな。行きますわよ。次は移動教室で美術ですわ。わたくし最近印象派を学んでーー」
ふぅ…嵐は去った。
あー、次は数学か…
どっと疲れが…よし、
・・・寝よっと。




