表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

49/60

EP 49

「柳田さん、今日はお食事にお誘いくださって、ありがとうございます」

今日の優里さんは、ホワイトのシフォンブラウスに、水色の軽めロングスカート。ローヒールの靴がなんとも可愛い。髪は後ろにひとつでまとめてあって、くるりと後れ毛が優しい雰囲気を作っている。

「いえ、食事を楽しんでいただけたら、良かった」

カフェでの食事。優里さん特別仕様にしたメニューから、豆腐グラタンと低糖質バニラパフェを気に入ってくれたようだ。美味しい美味しいと連呼して、その都度ぴょんっと跳ねる。

「お豆腐のグラタンですか。これはヘルシーですね。私、たくさん食べていいんですね!!」

とっても嬉しそうだ。

「今日は好きなだけ、食べてね」

シャンパンを開けた。優里さんのグラスへと注ぎ入れる。シュワシュワな泡が珍しいのか、優里さんの視線は釘づけだ。可愛い可愛い。

「これ美味しい!」

コブサラダだ。卵、アボカド、トマト、鶏、ベーコン、ブルーチーズ などが色とりどりに盛りつけられている。

「鳥のささみなんかは筋肉をつけるのにもってこいだね」

「はい。健康的でしかもこんなにも美味しいなんて。幸せですぅ」

パクパクと食べながら、ほっぺを触る。

その笑顔を見て、俺はこれほどまでに幸せな気持ちになる。

(優里さんの笑顔、好きだな……)

ごくっと唾を飲んだ。もうそろそろ、プレゼントを渡すタイミングだ。

俺は側に置いておいた大きな包みに手を伸ばした。

「優里さん、あの……今日は夕食に付き合ってもらったお礼に……これプレゼントなんだけど……」

優里さんはフォークを置くと、ナフキンで口元を拭いた。

「え、そんなっ。こんなに美味しいものを食べさせていただいて、その上プレゼントまで……申し訳ないです」

優里さんは、しょんと申し訳なさそうな顔をした。

これも今まで付き合った女性たちには、とんと無縁の表情だ。こんな健気な表情、一度もお目にかかったことないからね。

「いや、それはいいんだよ。ただね……気に入ってもらえるかどうか……自信がなくて」

「なんでしょうか」

はい、と俺はプレゼントを渡した。

「なんか大きいですね」

もちろん、50㎝を超える大物だ。

優里さんは、さっきとは打って変わってわくわくの表情で、包装紙を破っていく。中から出てきたものは……

「……筋肉」

そう。俺のシックスパックを写真に撮り、それを抱き枕にプリントしたものだ。

「その……びっくりしたよね。姉貴から、優里さんは筋肉が好きで、特にシックスパックをこよなく愛していると聞いて……」

「……しししシックスパック」

優里さんは明らかに動揺している。ってか引いてるんだな。くそっ、やっぱり失敗じゃないかっっ。姉貴のヤロウ!!

「こんなの要らないよね。ごめん、こんな変なもの……やっぱり不動産にすべきだったかな」

「いえ、ありがとうございます。嬉しいです」

にこっと笑ってくれた。

ああ、なんて優しい人なんだ。天使か。

優里さんは、その手で筋肉をナデナデしてくれ、頬を引っ付けながら、「わあ、ふかふか!! 気持ちいいです」

「ほんと? そう言ってもらえると、気も楽になるよ」

俺は、後悔を引きずりつつも、「枕かクッションか、なんなら踏み台にでもしてもらえれば」と言った。

「抱き枕にしますね」

ふふふっと笑って、ぎゅっと抱き締めてくれた。まじ天使だな。

「優里さん、筋肉好きなんですね」

すると、顔を苺大福にしながら、「はい。お恥ずかしいんですが、筋肉フェチっていうか。リリさんには確かジムの筋トレの話をした時に、お話ししてて。覚えていてくれたんですね。リリさんにもお礼をお伝えください」

あれ? この流れは?

「フェチですか。そうですか。筋肉ならここにもありますよ」

俺はお腹をペンペンと叩いた。

「はい。以前、お写真撮らせていただきました。あの! もしよろしければ、もう少し接写したものを撮らせていただいてもいいですか?」

ありゃ? もしかして?

「もちろん良いですよ! じゃあ今から俺の家に来ますか?」

えええ? まさか! の展開か?

「ほんとですか? お邪魔します」

優里さんは、筋肉抱き枕をぎゅむっと抱き締めながら、ぴょんっと跳ねた。めっっっちゃ嬉しそうだ。

えええーこんなうまくいくことってあるぅ??

姉貴いぃありがとう!! 良いチョイスだったわあぁぁ。

「タクシー呼びますね」

俺はスマホをタップし、西田ドライバーを呼んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] リリさんなんてものを用意してたんだ! 爆笑しました。たしかにグッジョブ(笑)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ