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EP 14

「すみません、お姉さん……」

「あら。リリって呼んでくれていいのよ。私も優里ちゃんて呼ばせてね」

「はあ。あのうリ、リリさん、これはどういう……」

白井優里さん。

あなたは今、まな板の上の鯉状態なのよ、覚悟なさい! ほほほほ!

あれから白井さんを電話で呼び出し、私の経営するエステ『seventeen』へ。頭上に『???』を浮かべている白井さんをなんだーかんだー言って丸め込みつつ、ガウンに着替えさせてベッドの上で横たわらせた。白井さんは自分がこれからどう料理されるのかすら、わかっていないようだ。

(ふふ、なんて楽しいのかしら)

それにしてもツヤスベな肌だわ。ほっぺなんかパツパツでハリがあるってこともあるけれど、シワのひとつだってないくらいだ。

「急にお呼びたてしてごめんなさいね。先日はカフェで弟が失礼しました。聞いたわよ? タクシーで送るって言っておきながら、財布を忘れてしまったんですって? ご迷惑をお掛けしてごめんなさいねぇ」

「い、いえ。こちらこそ。リリさんとのお食事を邪魔してしまってすみません」

あら。なんて素直な?

「それで今日はそのお詫びってことでご招待させていただいたの。リラックスしてゆっくりしていってくださいな。あ、ちょっと待ってて」

私はポラロイドカメラを持ってきて、「写真良いかしら? はいポーズ」パシャと撮影。

すると。

「もしかしてあれですか? ビフォーアフターってやつですか?」

ギクッとした。なかなか鼻が良いじゃないの。

「あらそんなんじゃないわよ! どれくらい優里ちゃんが綺麗になったかを昴に教えてやろうと思ってね。恋人が綺麗になるのを嫌がる男はそういないわ」

「えっっ!?」

まな板の上の鯉、もといベッドの上の白井さんが、ぴょんっと跳ねた。生け簀から直行、鮮度よし!

「ちが、違いますっ! 私、恋人なんかじゃありませんっ 」

あれ? そうなの?

「昴の恋人じゃないの?」

確かに白井さんは、昴の歴代の彼女とは……ちょっと……毛色が……違う。と、少しは疑心暗鬼な部分もあったけれど。

けれど、昴のあの表情。いつものクールな顔が(仮面をつけているだけだけど)、柔らかくて驚いたからだ。

「柳田さんは、ジムの女性たちのアイドルなんです。柳田さんに褒められると嬉しくなって、筋トレやダイエット頑張ろうっていう気持ちになるんですよ」

「ふーん。そんなものかしらねえ」

「はい! 柳田さんみたいな均整のとれたマッチョになりたいっていう男性もたくさんいらっしゃいます。柳田さんは努力家で、皆んなのことも応援してくださっていて、すごく良い方です」

白井さんは、頬を染めながら、両手で顔を覆った。はあー? 待ってええ。なんて可愛いほっぺなの? 苺大福と言っても過言ではなくなーい?

「そうなのね。ま、昴の話はもういいわ。さ。エステ開始よ! 佐藤さん、竹内さん、お願いします!!」

私がパンパンと手を叩くと、従業員のエステティシャンが二人、オイルを持って部屋に入ってくる。

「お顔ももちろんだけど、お腹周りを念入りにやってあげてちょうだい」

「はい、オーナー」

そして、まな板の上の白井さんは、全身オイルまみれにされていった。

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