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第29話:打ち上げ会場

 ドラマ版『裏切り地獄教室』の撮影打ち上げパーティーに招待される。

 電車を乗り継いで、都内中心部にある会場に一人でやってきた。


 受付をすませ高級そうなビルの上にある、フレンチレストランの店内に入場していく。


「おお……これが芸能界の打ち上げの会場……か……」


 すでに打ち上げのオープニングセレモニーが始まっていた。ドラマ版のBGMが流れ、映像が白い壁に映写されている。


 華やかなパーティーの雰囲気に、思わず感動。入り口付近で何度も中を見回す。


「ドラマのスタッフや出演者以外にも、見たことがない人たちがたくさんいるな……」


 ドラマの打ち上げには、多くの関係者が招待される。

 スポンサーや関連会社、広告代理店、映像編集関係など。裏方も合わせて多種多様な関係者が一堂に会するのだ。


「小規模なドラマでも、これほどの多くの人たちが裏でサポートしてくれ、放送されていくんだな……」


 俳優業としては、どうしても撮影現場にいるスタッフにしか目がいかない。

 だが実際には現場スタッフの何倍もの関係者が、裏で編集作業や営業、宣伝活動をしていたのだろう。


「本当に感謝しかないな……」


 すでに騒がしくなっていたパーティー会場に向かって、深く頭を下げて感謝する。

 今の俺は何の力もない無名な新人俳優にすぎない。だからこそ多くの人に感謝することは惜しまないのだ。


「ふう……さて、感謝の儀式も終わったところで、オレも打ち上げに参加しようかな。でも、一人だと不安だな。誰か知っている人いないかな?」


 残念ながら今回の現場で、親しい人はほとんどいない。


 頭に浮かぶのはミサエさんと豪徳寺社長とか、事務所の関係者だけかな?

 でも二人の姿はまだ見えない。もしかしたら会場内の挨拶回りとかで、忙しい最中なのかもしれない。


 ふう……これは困ったな。

 他に現場でよく話をした知り合いは、誰かいたかな、オレは?


「あっ……そういえば、三菱ハヤト……彼がいたな! いや、ハンター化やつはダメだろう⁉ というか、今どこにいるんだ、ヤツは? あっ、あそこで忙しそうだな」


 ここ数週間ハンター化していた三菱ハヤトの姿は、すぐ見つかった。パーティー会場の中心で忙しそうにしている。

 マネージャーに付き添われながら、スポンサーや広告代理店の偉いさんに取り囲まれている最中だ。


 あの分だと、今日はオレを追ってくる余裕はなさそうだな。とりあえず一安心だ。


「それじゃ他に誰かいないかな……オレの知り合いは?」

「ラ、ライタ君!」


 そんな時、後ろから声をかけてくる少女がいた。


「あっ……この声は大空チセことチーちゃん。この現場で数少ない知り合いの一人だ。


 そういえば、彼女も今日の打ち上げに参加していたんだ。

 急いで後ろを振り返り、挨拶を返さないと。


「チーちゃん、おはよう……って⁉ チーちゃん⁉」


 後ろを振り返って、思わず声を上げてしまう。


 なぜなら立っていたチーちゃんは、“いつもの大空チセ”ではなかったからだ。


「チーちゃん……そのドレスは……⁉」


 チーちゃんは大人っぽいワンピースドレスを着ていた。


 ストールを肩にはかけているが、いつもより肌の露出が多いデザインの服を、大胆にも着ていたのだ。


「きょ、今日は打ち上げパーティーだから……ミサエさんに言われて、こういうのを着てきました……もしかしたら変かな、私?」


「うんうん! ぜんぜん似合っているよ! 本当に可愛いよ!」


 チーちゃんは自信なさそうにしていたけど、本当によく似合っている。


 これまでは学校や撮影用の制服姿しか見たことがない。

 普段の彼女は童顔に見えるが、今は別人のよう。

 まるで大人のような色気も出していたのだ。


「凄く大人っぽくもあるし、本当に似合っているよ、チーちゃん!」


 こんな時、どんな風の女性を褒めたらいいか、経験はない。

 しかも語彙(ごい)力が低下しているから、知っている言葉をひたすら連呼する。


「えっ、可愛い……ですか? ライタ君に、そう言ってもらえると、嬉しいです、私……」


 チーちゃんに何とか気持ちは伝わったようだ。


 だが彼女の様子がおかしい。顔を真っ赤にして何やら幸せそうにしている。


 普通はクラスメイトに褒められても、こんなに顔は赤くならないはず。

 いったいどうしたのだろう?


 なんかオレまで気恥ずかしいので、話題を変えてみよう。


「ごほん。そ、そういえばチーちゃん、最近はどう? ドラマの撮影が終わって、少しは落ち着きそうな感じ?」


「はい、ちょっとだけ落ち着きました。あっ、でも、実はアイドルの方も進展がありそうなんです」


「おお、本当に⁉」


 まさかの極秘情報に、思わず声を上げそうになる。

 何故ならチーちゃんの本業はアイドル。

 今世では修行のために『裏切り地獄教室』に出演にも挑戦していたが、ようやくアイドル部門でも本格的に動き出すのだ。


 アイドルオタクとして、これ以上の吉報はない。


(ついに動き出すのか……あの大空チセが……)


 目の前の大空チセは、前世ではトップアイドルの一人だった。

 今世では弱小事務に何故か所属しているが、間違いなく才能がある人。

 だから今世でも必ず成功するだろう。


 いや……逆に今世では“弱小事務所から大成功した下剋上アイドル”として、前世以上にアイドルオタクたちの胸を熱くしていくに違いない。


 もちろんオレも彼女の今後は、最前線で注目していくつもりだ。


「あと、ライタ君。私ね、今回で演技の経験とか勉強して、前よりもアイドルとして少しだけ成長しているに気がするの……」


「えっ? 演技の勉強で、アイドルとして?」


「うん……正直なところ今までは私は『歌と踊りを頑張れば、立派なアイドルになれる』って勘違いしていました。でもライタ君の演技を見て気が付いたの……『自分の想いを人に伝える方法は、無限にある』っていうことに……」


 チーちゃんの語る表情は真剣だった。意味深な言葉を語っている。


 もしかしたら彼女の中で今は、“何かの殻”を破ろうとしている時期なのかもしれない。


 とにかくアイドルオタクとして、一人の人間として尊敬できる姿勢だ。


「なるほど、そういうことだったんだね。本当にチーちゃんは頑張り屋さんね! オレも見習わないとなー」


「な、何を言っているんですか⁉ ライタ君の方が私の何倍も凄いですよ! 自分では気が付いていなんですか⁉」


「えっ? そうかな? いやー、オレって見てのとおり、無頓着で無神経だから、そういうのは自覚がないんだよね。あっはっは……」


 急にチーちゃんに褒められたので、笑って照れ隠しする。

 でも才能ある推しアイドルの人に褒められるのは、本当に嬉しい。

 今の褒め言葉は、心の中録音して、いつでも脳内再生できるようにしておこう。


 うん、よし。これからオレも頑張っていかないとな。


「あっ――――ライタ君? チセちゃん⁉ そこにいたの⁉」


 そんな時、大人の女性が声をかけてくる。

 事務所の専務であるミサエさんだ。


「二人とも探したわよ! 関係者の皆さんに挨拶回りに一緒に行くわよ!」


「えっ、これからですか⁉ でもオレ、料理をまだ食べてないんですけど……」


 今回の打ち上げパーティーで、オレの一番の目的は料理を食べること。

 バイキング式なので早くしないと、美味しそうなローストビーフやケーキが無くなりそうなのだ。


「そんなのは後よ、ライタ君! 今後のあなたたちの仕事を継ぐために、ビンジー芸能が潰れないようにするために、挨拶回りで少しでもコネ造りをしておかないといけないのよ! ウチの社長はまたどこかに消えちゃったんだから、私が頑張らないといけないのよ⁉」


 だがミサエさんは凄まじい気迫だった。鬼の形相のように気合が入っている。


「あっ、はい。わかりました!」


 これにはさすがに逆らうことするできない。オレも挨拶回りに同行するのであった。


 ◇


 挨拶をしてから、時間が経つ。


「ふう……ようやく終わったぞ……」


 三人での挨拶回りは無事に終わる。

 監督たちスタッフ、スポンサー、広告代理店のお偉いさんたち。会場内の数十人の大人たちに挨拶をしてきたのだ。


「でも、“あんな挨拶回り”、本当にコネ造りに役立つのかな?」


 正直なところオレたち三人組が挨拶をしても、関係者からは塩対応を受けていた。

 おそらくビンジー芸能が業界内でも弱小事務所だから、相手も軽くあしらってきたのだろう。

 相手の顔と反応を見ていただけで、オレですら実感していた。


「まぁ、でもミサエさんの言っていたとおり、こうした地道な挨拶回りが、今後の仕事に繋がる可能性が1%でもあるんだろうな……」


 芸能界は特殊な業界である。

 オーディションなどで公平に仕事を分配することもあるが、“出来レース”で事前に仕事の多くが決まる場合もある。


 ――――芸能界は実力があっても、コネと運がなければ生き残れない世界


 だからこそタレントの多くは事務所に所属して、コネの要素を装備。自分が表舞台に立てる可能性を上げているのだ。


「ふう……オレも今後は挨拶回りは頑張っていかないとな」


 基本的にオレは表舞台に立つことに興味はない。

 だが芸能科のA組に昇格するためには、芸能界で大きな実績を残していく必要がある。


 だから気持ちを入れ替え、て今後も精進してことを誓う。


「よし、そうと決まったら、料理をいただこう!」


 仕事としての挨拶回りは完了済み。

 ハンター三菱ハヤトはまだ忙しそうでも、オレを邪魔する者は誰もいない。


 いよいよ今日の一番の目的を実行できるのだ。


「いただきます!」


 バイキング式の料理を皿いっぱいに盛り付け、立ったまま口に放り込んでいく。


「うん! 美味しい! さすがは口コミ最高クラスの評価の店だ!」


 感想を述べながら、次々と料理を口にしていく。

 今回のパーティーで出された料理は、全てが美味しいものばかりだった。


「うん! こっちも美味い! このデザートも美味しいぞ!」


 しかも今回は招待制度なので無料で食べ放題。

 育ち盛りで食いしん坊なオレにとって、これほど幸せな環境はない。まさにここは天国だ。


(ふう……本当に美味しくて、幸せだな。どうして、皆はもっと食べないんだろう?)


 パッと見た感じ、今のところ料理をガッツいて食べているのは、オレ一人だけ。

 多くの参加者は軽く口にしただけで、別の場所で飲み物を口にしながら雑談をしているのだ。


「もしかしたら、こういう場所ではあまりガッツかない方がマナーなのかな?」


 今思うとミサエさんやチーちゃんも、軽くサンドイッチしか食べていなかった。


 山盛りの取り皿を手にして、なんとなくやってしまった感がある。


「……あ、あの……市井ライタさんですよね?」


 そんな後悔の念の時、声をかけてくる人がいた。

 知らない声だ。


「あっ、はい、そうですが……?」


 声をかけてきたのはパーティーの参加者で、二十代半ばくらいの大人の女性だ。


 でも芸能人やマネージャー、広告代理店などの業界人には見えない。

 胸が大きくて可愛い顔立ちはしているが、眼鏡をかけて少し地味な雰囲気の人だ。


 オレの顔と名前を知っているみたいだけど、いったい誰だろう?


「あっ、もう遅れました、私は地獄塚(じごくづか)ジョーと申します……『裏切り地獄教室』の漫画を描いている……」


「えっ? 地獄塚(じごくづか)ジョー先生って、原作者様の⁉」


 まさかの人物に声をかけられて、思わず声を上げそうになる。


 何故なら地獄塚(じごくづか)ジョーは漫画版の『裏切り地獄教室』の原作者。

 漫画版は累計発行が一千万部を超えており、映画版とは違い大人気な作品なのだ。


「ま、漫画版は本当に面白かったです、先生!」


 あと今回の出演後、オレも試しに読んでみたら、見事にハマった最高な作品だった。

 まさか、その原作者様に声をかけられるとは、夢にも思っていなかった。


「ん? というか、女性だったんですか、地獄塚(じごくづか)ジョー先生って⁉」


「もちろんペンネームです。幼い時からカッコイイ名前に憧れていたので……」


「そうだったんですか……」


 漫画や小説を書いている人は、独特な感性の人が多いと聞いたことがある。

 大人しそうに見える地獄塚(じごくづか)先生も、何か見せない厨二的な部分があるのだろう。

 アイドルオタクであるオレも共感はとてもできる人だ。


「あっ、すみません、失礼なこと言ってしまって! えーと、ビンジー芸能に所属しています市井ライタと申します! って、そういえば、どうしてオレのことを?」


 直立不動で挨拶をしてから、ふと気が付く。

 どうして地獄塚(じごくづか)先生が、オレのことを知っているのだろうか?


 たしかに映画版には出演はしていたが、予算が少ない公式HPには、まだ代役である市井ライタの名前も載っていない。

 つまり関係者でも普通は知らない人の方が多いのだ。


「実は編集部を通して、新しいタクロウ役の人の名前を……市井ライタさんの名前を教えてもらったんです」


「あっ、そうだったんですね……ん?」


 さらなる疑問が浮かんできた。

 どうして先生はわざわざ編集部経由で、代役の役者の名前を確認したのだろう?


 オレの役はチョイ役であり嫌われ役なタクロウ。メインキャラの人たちなら、まだ確認する理由も分かるけど。


「実はタクロウの登場シーン……市井ライタさんの初登場シーンの放送日、私は衝撃を受けたんです! 『この人の演じるタクロウは、原作とおりのタクロウ……いえ、原作以上にイメージしていたタクロウ像』だったと衝撃を受けたのです! だから直後に確認したんです」


「そうだったんですね……そう言ってもらえるとオレも嬉しいです」


 タクロウは映画版では色々と省略された不遇な役。

 だが原作者がここまで興奮しているということは、オレも原作のイメージに少しだけ近づけたのだろう。


 演技者として何よりの褒め言葉をもらった感じだ。


「あと、ここだけの話、ドラマ版の最初の数話を見て、わたし少しだけショックを受けていたんです……」


「あっ⁉ そ、それは……」


 原作の地獄塚(じごくづか)先生がショックを受けていた理由を、オレも理解できる。

 何しろドラマ版の最初の数話は、本当に評価が低い作品だった。


 原作無視のストーリー改変に、主人公以外は大根役者ばかりの演技集団。

 期待をしながらドラマ版を視聴した先生は、心に大きな傷を負ってしまったのだろう。


 これは“メディアミックス・ショック”と呼ばれ、トラウマで筆を折る原作者もいる恐ろしい現象なのだ。


「でも、そんな私も衝撃を受けました……だって、ラストの数話は、本当にドラマの雰囲気が一気に変わったんです! 私は素人なので上手く説明できませんが、本当にイメージに近い神回が連発でした!」


「そうだったんですね……」


 オレはドラマ版を未視聴だが、チーちゃんも教えてくれた情報と一致する。

 オレがいなくなった後の撮影は“科学室マジック”と呼ばれる謎の現象で、出演者たちの演技が何故か向上してという。


 おかげで前世とは違い、ドラマ版は『ラスト数話だけ神作品』という高評価が、ここ数日でネットに増えてきているらしい。


 出番が少ないオレとしても、これは本当に嬉しいことだ。


「私は演技の素人なので分かりませんが、今回のことの多くは、本当はタクロウのお蔭……市井ライタさんのお蔭だと感じています。だから言わせてください、この度は本当にありがとうございました……ウチの作品を救ってくれて……」


 先生はいきなり頭を深く下げてくる。

 大人気漫画家が、オレに最大の敬意を払い感謝してきたのだ。


「えっ? はい? あ、頭を下げてください、先生⁉」


 まさかの対応に混乱してしまう。

 しかも先生は前かがみなので、大きな胸の谷間が見えてしまう。

 直視もできずオレはパニック状態になる。


 ざわざわ……ざわざわ……


「……おい、あの若者、“あの”地獄塚(じごくづか)先生に頭を下げさせているぞ⁉」

「……あの地獄塚(じごくづか)先生が、どうして感涙の涙を浮べているんだ⁉」

「……あの若者は何者だ⁉」


 だんだんと周囲がざわついていく。

 何しろこの人は大人気の原作者であり、業界でも大事な存在なのだ。


(あわわ……これはマズイぞ)


 どう見ても、オレが何かをしちゃった奴の状況だ。

 このままだとオレは不敬者として、業界から干されてしまう可能性もある。


 早くなんとか対応しないと。


「じ、地獄塚じごくづか先生、頭を上げてください。ほら、オレは演技をしただけなので、こちらこそありがとうございました! あと、タクロウ役に出会えて、こちらこそ本当に感謝しかないです!」


「えっ……? タクロウ役に出会えて、ですか⁉ そんなことを言ってもらえたら、漫画家冥利に尽きます……ありがとうございます、市井ライタさん。もしも私の作品がまた映像化した時は、是非ともまた出演してください!」


「えっ、はい。機会があれば、是非ともこちらこそよろしくお願いいたします」


 地獄塚(じごくづか)ジョー作品は他にもたくさんあり、全てが大人気作ばかり。

『裏切り地獄教室』を超える大人気作もあるが、内容が難解すぎて“映像化は不可能”と言われ、前世でも映像化はされていない。


 でも彼女の大人気作が映像化されたなら、絶対に面白い作品になることは間違いない。


 オレも出てみたい魅力が、この先生の作品にはあるのだ。


 まぁ……でも弱小芸能事務所に所属しているオレは、そんな大作に出演するのは不可能だと思うけど。


 今回は嫌われ役で、チョイ役の代役で、しかも江戸監督の推薦があったら、オレは運よく出られただけなのだ。


 そんな感じで、場がなんとか収まった時だった。


「えーと、それでは、そろそろ打ち上げの一次会を締めたいと思います! この後、二次会もあるので、どうぞ参加してください!」


 司会者から中締めのアナウンスがある。

 楽しかった打ち上げも、あっという間に終わってしまったのだ。


(さて、今のオレは未成年だから、ドロンと消えるとするか……)


 挨拶回りなどの自分の仕事は、今日はまっとうできた。

 ミサエさんとチーちゃんに最後にもう一度、挨拶をしていく。


 あと、余った料理を、折りパックに詰めてもらいテイクアウト。


 よし、これでいいぞ。

 オレは気配を消して、打ち上げ会場を後にしていく。


「さて、帰るとするか……」


 レストランのあるビルから出ると、外は既に薄暗くなっていた。

 ひと気のない裏通りを進んで、最寄りの駅に向かう。


 このまま帰宅して、テイクアウトした料理を、また食べ直そうかな。楽しみだな。


「――――おい、待て!」


 だがオレの幸せな計画は、“一人の男”によって阻止されてしまう。


「えっ……三菱ハヤト……君⁉」


 物凄い勢いで登場したのは、《六英傑》の一人である三菱ハヤト。


 今回の作品の主役である男が、どうして二次会に行かずに、こんなところにダッシュで来たんだ?


「さぁ! 今日こそはオレ様に聞かせてもらうぞ! 科学室シーンのあの現象のことを⁉」


 ドン!


 オレは路地裏で、いわゆる“壁ドン”された状態となる。


 こうして《六英傑》三菱ハヤトと三度目の対決を……


 “堀腰学園の芸能科の生徒同士としては最後”の対決が幕を上げるのであった。


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― 新着の感想 ―
[一言] 作者様にとっては聞きたくない、また煩い奴が出てきた程度なのかも知れませんが敢えてガッツリ指摘させてもらいます。 誤字脱字や99,999時間問題についてですが、 これだけ多くの読者からレビュ…
[一言] いや、自分の出演した作品位みろよ。 自分が出演したのに、らしいとか聞いた話ではとかおかしいでしょ。 非常識とかご都合主義もここまで来ると萎えるので、 常識的な所はできれば細かく調整して欲しい…
[気になる点] 実力があっても運とコネがないと大成出来ないと分かっている割に弱小事務所にいるチーちゃんが大成すると思っているところ 主役ではないにしろ敵役を演じた主人公を知らないドラマの打ち上げパーテ…
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