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鬼斬り剣士の異世界平定記  作者: チャラン
第5章 暁の国・平定編(前編)

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第186話 ありえない決断

 日陰の村に来て晴明が仲間になるなど、予想以上のトントン拍子でことが進み、頭領、平昌幸から与えられた主命を、竜次たち一行は早くも達成した。白壁の庵の居間から外を見ると、まだ昼の太陽が秋の青空にハッキリと高く存在し、大きな広がりを持つ村の田畑に柔らかい陽光を恵んでいる。日の高さを見る限り、今日という日が暮れるまで当分時間がありそうだ。


「父上は主命の期限を長めに見ていましたが、村に来て早々、十分過ぎる成果を上げましたね。報告のため晴明さんと一緒に、連理の都へ一旦帰りましょう」


 主命の達成報告なら、縮地の瞬間移動で朱色の大宮殿に戻れば、今日中に時間の余裕を残して済ませられる。旅の一行の長である咲夜はそう提案し、新しく仲間になった晴明を連れて、仙の縮地で連理の都へともかく帰ることにした。




 大宮殿で政務を行っていた昌幸は、咲夜たちの異様に早い帰還に、最初、忘れ物か何かで戻ってきたのだろうと思っていたが、取り次ぎの侍従に聞くとそうではなく、主命を達成して戻ったのだと言う。その事実に昌幸は、まず驚き、少々慌てたように謁見の間へ咲夜たちを通した。その上、咲夜たち一行と共に入ってきた、端正な顔立ちの美青年を頭領の席から見て、平昌幸は、我が目を信じられず、驚きのあまり最初しばらく言葉が出て来なかった。


「もしや、晴明か?」

「はい、私が晴明です。日陰の村の隠宅を出て、咲夜姫と竜次たちとの旅に同行することに致しました。ご厄介になります。お見知り置きください」


 ここに絶対来るはずのない者が来たわけである。晴明は、敢えて昌幸に仕えるという言葉を出さなかったが、その計り知れない力を貸してくれるのは間違いない。驚愕から立ち返り、現実把握が出来た昌幸は、


「よく来てくれた晴明、咲夜たちをこれからよろしく頼む」


 到底ありえないはずの決断をしてくれた晴明に対し、深々と頭を下げ、誠心誠意の礼を執った。




 陰陽師晴明が咲夜たちの仲間になり大宮殿の謁見の間に来ている時点で、上座に座る平一族は、達成報告を聞かずともよく察している。そうではあるが、咲夜は昌幸、幸村、桔梗に向け、これから晴明の立てた()により、暁の国に向かうと一応の形を取り、伝えておいた。昌幸、幸村、桔梗共に、その報告を聞いてうなずき、


「よく晴明を連れてきてくれた、咲夜、竜次、あやめ、仙。これからの旅の路銀と、今回の主命達成の褒美を兼ね、3000カンの金を渡そう。暁の国は遠く東にある。長旅になるだろうが十分に準備をし、心して行くがよい」


 昌幸は、想像以上の成果を上げた愛娘の顔を見て目を細めながら、気前良く路用の大金を手渡した。

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