その24の3『おかしな話』
知恵ちゃんのお願いを聞いたので、亜理紗ちゃんはコマは3つ戻さずに済んだだけでなく、逆に3つ進むこととなりました。次は百合ちゃんの番です。
「あ、また赤いマスに止まったよ」
「はい。オジャマカードです」
百合ちゃんがサイコロを振ってコマを進めると、また赤いマスに止まりました。亜理紗ちゃんが持っているカードから1枚だけめくり、それを知恵ちゃんに渡します。
「『はずかしい秘密を明かす』……だって。えっと……はい」
「なんで、また私……おかしいでしょ」
「知恵ちゃんなら、なにかあると思って」
「ないよ」
「ちーちゃん。言わないと3つ、戻されるって」
「一つも進んでないのに……」
まだスタート地点なのに3つ戻されるとゲームオーバーになりかねないので、知恵ちゃんは恥ずかしい秘密を探し始めました。でも、特に思い当りません。そこで、カードを使うのをやめるよう、百合ちゃんの説得にかかります。
「さっき、アリサちゃんに使うって言ってた」
「でも、これは使いにくいし……知恵ちゃんなら怒らないし」
百合ちゃんは知恵ちゃんが怒らない子なのを知っているので、こうして困った時は助けを求めてしまいます。でも、亜理紗ちゃんは知恵ちゃんが怒った場面を一度だけ見た記憶がありました。
「私、ちーちゃんが本気で怒ったの見た事ある」
「そうなの?」
「やめて」
「シュシュをモモコちゃんにかじられて、すごい怒ってた」
「ワンちゃんに……」
「やめて」
犬のモモコに激怒した恥ずかしい秘密を暴露されたため、知恵ちゃんはスタート地点から3つ戻されずに済みました。次の番で初めて知恵ちゃんはサイコロを振ったのですが、サイコロの目は1なので1つしか進むことができません。ただ、このマスは他とは違って黄色で塗ってあります。
「なにここ?」
「えっと……黄色はラッキーマスだから、お題に答えると3つ進めます」
「えっと、『一つ前の番の人に感謝を伝える』……」
亜理紗ちゃんが説明書を読み、黄色マスの説明をしてくれます。お題は『次の番の人に感謝したことを伝える』で、次の番の人というのは亜理紗ちゃんです。しばらく考えてから、知恵ちゃんは亜理紗ちゃんに感謝の言葉を
「アリサちゃん。誕生日プレゼント、ありがとう」
「どういたしまして」
「アリサちゃん、知恵ちゃんに何をあげたの?」
「かみにつけるシュシュ」
「……あ」
さっきの話題の理由が百合ちゃんは解ってしまい、そっぽを向いている知恵ちゃんの顔を見つめます。恥ずかしそうな知恵ちゃんの手を握ると、百合ちゃんは知恵ちゃんにお願いをしました。
「優しい知恵ちゃん。ずっと仲良くしてね~」
「なんで急に……あ、百合ちゃんも、誕生日プレゼントありがとう」
「百合ちゃんは、何をあげたの?」
「えっ?うちのお店で売ってるヨウカン」
「あ……」
今度は亜理紗ちゃん百合ちゃんの手をとって、やや申し訳なさそうに言いました。
「百合ちゃん……誕生日プレゼント、ありがとう」
「……?」
「アリサちゃん。うちに来た時、ちょっと食べたから……」
「……あ~」
その24の4へ続く






