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その90の1『あやしい話』

 「帰る時は、変な人にはついていかないように。あと防犯ブザーも遊んだりして、落とさないようにしてください」


 帰りの会での先生のお話が終わり、生徒たちは帰宅を始めました。知恵ちゃんのランドセルにも防犯ブザーはついてはいるのですが、鳴りだしてしまうと大変なのであまり触りません。知恵ちゃんはランドセルを背負って、友だちの桜ちゃんや百合ちゃんと足をそろえて教室を出ます。


 「でも……変な人って、どんな人?」

 「う~ん……」


 先生は変な人と簡単に言いますが、具体的にはどんな人なのかと百合ちゃんは桜ちゃんに尋ねます。でも、桜ちゃんだって見た事はないので、聞いた話だけで変な人を予想します。


 「おかしをあげるって言う人じゃないの?」

 「じゃあ、知恵ちゃんは気をつけないと」

 「私だって……知らない人にお菓子はもらわないけど」


 知恵ちゃんはお菓子が好きなので、その点で百合ちゃんに心配されています。でも、この辺りには変な人が出たという話もありませんし、パトカーなんてパトロールか交通違反の取り締まりでしか見かけません。そんな話をしている内、別のクラスから亜理紗ちゃんがやってきました。


 「ちーちゃん!さくピー!ゆりちゃん。おまたせ」


 今日は亜理紗ちゃんが早く来たので、4人で学校の玄関へと向かいます。途中、壁についている火災報知器を見て、ふと亜理紗ちゃんは立ち止まりました。


 「これ、『押す』って書いてあるとこを押すと、ガラスが割れるらしい。押してみたい」

 「それ。割れるのと割れないのもあるらしいよ」

 「え……」


 桜ちゃんの情報を受け、亜理紗ちゃんは割れるか割れないのか見極めるようにして火災報知器を見つめていました。そう言う桜ちゃんも防犯ブザーは鳴らしてみたいようで、前を歩いている知恵ちゃんのランドセルをながめています。


 「防犯ブザーって聞いたことないんだけど、どういう音なんだろう」

 「目覚まし時計よりうるさいって、お母さんに聞いた」

 

 知恵ちゃんからの情報を聞き、亜理紗ちゃんと百合ちゃんは大した音ではないと感じましたが、桜ちゃんは朝が強くはないので、防犯ブザーを鳴らしたい気持ちもなくなりました。


 「じゃあね。さくピー。ゆりちゃん」

 「うん。また明日」

 「またね~」


 学校の前で桜ちゃんと百合ちゃんと別れ、知恵ちゃんと亜理紗ちゃんはいつもの通学路を歩き出します。今日は天気もよくて陽の通りもよく、あやしい人も、あやしい場所も、1つとして見当たりません。


 「ちーちゃん。帰ったら、どっか行く?」

 「駄菓子屋さんに行く?」

 「お金もって戻ってくるね」


 おさいふに入っている金額を思い出しながら、亜理紗ちゃんは家に入っていきました。知恵ちゃんもお母さんに一声かけて、部屋にランドセルを置いてからカバンを持ち、家の前へと戻ってきました。


 「アリサちゃん。お金あった?」

 「80円も入ってた」

 「80円か……」


 多いか少ないかといえば少ないのですが、それだけあれば小さなお菓子が2つは買えます。2人は80円で何が買えるのかを相談しつつ、近所の駄菓子屋さんへ続く道を歩いていました。


 「……ちーちゃん。あれ」

 「……?」


 家と家の間にあるせまい場所の前で、亜理紗ちゃんが立ち止まります。亜理紗ちゃんの指さした方を知恵ちゃんが見てみると、家の裏から2人をのぞくようにして、木でできたお面をつけた人が顔を出していました。

 

 その体はマントに覆われています。体の大きさは幼稚園児の背丈よりも更に小さく、明らかに人間ではないのが見て取れます。人形にも似ているものの、細い腕と手を動かしているのが解ります。2人は顔を見合わせて、あの人物に対する率直な意見をかわしました。


 「「……あやしい」」


その90の2へ続く

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