その84の3『宇宙人の話』
「あっ、りんりん。どうしたの?」
「今日、帰ってから公園に行くのよ」
「ちーちゃんも行くの?私も行きたい」
放課後、亜理紗ちゃんも公園へ行くと約束し、凛ちゃんとは学校の前で別れました。しかし、亜理紗ちゃんはミステリーサークルの噂を聞いていないので、どうして公園へ行くのか理由を知りません。
「でも、ちーちゃん。なにしに公園に行くの?」
「お花が丸く咲いてるから、それを見に行くんだって」
「そうなんだ。どんななんだろう」
家に帰ってランドセルを置き、カバンを持って2人は公園へ向かいます。待ちあわせ場所は家から少し離れた場所にある公園で、そこには大きな遊具が何種類か設置されています。凛ちゃんが先に公園に到着しており、2人を見つけると大きく手を振りました。
「待ったわよ!」
待ちあわせに時間は決めていないので、知恵ちゃんたちが遅れたわけではありませんが、いつも凛ちゃんは約束より早く来ている為、誰よりも待つのは得意です。公園では何人かの男の子が遊んでいて、立ち話をしている女の人の姿も見えます。
「えっと……ここに登って、花壇を見るのよね?」
自分で知恵ちゃんたちを誘ったものの、凛ちゃんも実際に来たのは初めてなので、案内についてもあやふやです。すべり台は誰も遊んでいませんでしたが、そこまで大きくはないので同時に登れるのは1人だけです。先に凛ちゃんが登り、花壇のミステリーサークルを見物します。上にいる凛ちゃんへ、亜理紗ちゃんが声をかけています。
「……りんりん。どうなの?」
「……え?あー……いい感じよ」
『いい感じ』の意味の捉え方の違いで、知恵ちゃんは不安そうな顔をしており、亜理紗ちゃんは笑顔を見せています。すべり台をすべって凛ちゃんが降りて来たので、今度は知恵ちゃんが階段を上がります。桜ちゃんが言っていた通り、すべり台のてっぺんから花壇の白いお花をのぞきます。
「……?」
うわさでは白いお花が、キレイな円の形に繋がって咲いているとのことでしたが、知恵ちゃんが見た限りでは白いお花はまばらです。やや右から見てみたり、左から見てみたりと試してみたものの、どうしてもミステリーサークルは確認できませんでした。諦めて、すべり台を降ります。
「チエきち。どうだった?」
「ちょっと解んない……」
「そうよね!」
実のところ、凛ちゃんにもミステリーサークルは見えなかったので、ただキレイなお花をながめただけでした。最後に亜理紗ちゃんがすべり台に登り、背伸びしながら花壇を見つめます。
「……」
1分くらい見ていたところ、公園で遊んでいた男の子がすべり台の後ろに並んだので、順番をゆずって亜理紗ちゃんもすべり台をすべって降りてきました。やっぱり何も見えなかっただろうと考えながらも、知恵ちゃんは亜理紗ちゃんに尋ねます。
「丸い形には咲いてなかったよね?」
「うん」
うわさが本当ではなかったと知り、それはそれで納得して3人はベンチに座りました。亜理紗ちゃんがジュースを買い、それを知恵ちゃんと凛ちゃんに少しずつご馳走しています。口がうるおったところで、凛ちゃんがミステリーサークルについて言い訳を始めました。
「やっぱり、うわさはうわさよ。見てみないと解んないし、私は最初からうたがってた人よ」
「……」
すべり台を降りてからというもの、亜理紗ちゃんは何か考えている様子です。それを不思議に思い、知恵ちゃんは何気なく尋ねました。
「どうしたの?アリサちゃん」
「丸い形には咲いてなかったけど……なんか、文字にはなってたよね?」
「……え?」
知恵ちゃんも凛ちゃんも、白いお花が丸い円の形に咲いているのかばかりに気を取られて、その咲いている形にまでは目が向きませんでした。なんと書いてあったのか、知恵ちゃんは重ねて質問します。
「……なんって、書いてあったの?」
「う~ん……確か」
「……」
「……たすけてって、書いてあった気がする」
その84の4へ続く






