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その39の4『世界の終わりの話』

 亜理紗ちゃんが開いた宇宙の本は写真集と名付けられてはいましたが、実際の内容は天文学の資料として扱われるもので、星の名前や地球空間外で起こる現象の名称が記載されています。宇宙から見た地球は水晶のように青く輝いており、そこに自分たちが本当に住んでいるのかと、2人は疑わしくも澄んだ瞳で見つめています。


 「ちーちゃん。宇宙って行ける?」

 「行けない……」


 亜理紗ちゃんは是か非の話をしていますが、知恵ちゃんは現実的な問題として答えます。宇宙の本をめくっていくと、途中からは衛星や惑星のアップが大きく掲載されたページとなり、それぞれの星を見ながら亜理紗ちゃんは住み心地を予想しています。


 「火星……熱そう」

 「名前で思っただけでしょ……」

 「水星……水が多そう」

 「名前で思ったんでしょ……?」

 「土星は強そう」

 「なんで……」


 その内、星空の写真の横に大きな文字が見え、そこに書いてある言葉を気にして、亜理紗ちゃんは本から少し顔を離しました。


 「……ちーちゃん。宇宙のかて……って、なに?」

 「かてってなに?」


 果ての読み方も知りませんし意味も解りませんでしたが、それを見て亜理紗ちゃんは1つだけ気づいたことがありました。


 「もしかしたら宇宙って……どこまでも行けるんじゃないの?」

 「う~ん……」


 写真集を見ても、宇宙の果ての写真は掲載されていません。文も難しい文字が多くて、亜理紗ちゃんと知恵ちゃんでは解読できません。それでも宇宙の果てが気になるので、2人は本を並び順通りに本棚へと戻して、キッチンにいるお母さんに教えてもらいに行きました。


 「お母さん。宇宙の一番奥って、どんななの?」

 「え?知らない」

 「お母さんも知らないんだ……ッ!」


 お母さんとお父さんは大抵の事なら聞けば教えてくれるので、お母さんすら知らない事実を見つけてしまい、亜理紗ちゃんは驚きを隠せません。でも、どうしても宇宙の終わりが知りたくて考えた末、亜理紗ちゃんは部屋に宇宙らしきものがあるのを思い出しました。


 「ちーちゃん。部屋で宇宙みよう」

 「え?」

 「お母さん。宇宙みるから、入ってきたらダメ」

 「はいはい」


 亜理紗ちゃんは知恵ちゃんを自分の部屋に入れると、まだ明るいのにカーテンも閉めてしまいます。そして、押し入れから箱を持ってきて、中から取り出した機械のコンセントを挿します。


 「アリサちゃん。それなに?」

 「プラネリタリウム」


 知恵ちゃんの知っているプラネタリウムといえば、博物館の中にある大きなドームで見るものです。それが部屋で見られるとは思いもよらず、何度も機械の入っていた箱の文字を読み返していました。


 「じゃあ、電気けすね」


 亜理紗ちゃんが電気を消し、知恵ちゃんと一緒にベッドへと仰向けになります。遮光カーテンに閉ざされて暗くなった部屋の天井には、少しずつ星空が浮かび上がってきました。実際の星空や施設のプラネタリウムほどリアルではありませんが、数えきれないほどの白い点々が回りながら天井に映し出されます。


 「すごい。アリサちゃんの部屋、星空だ」

 「これを見てたら、宇宙の一番奥が見つかるかもしれない」


 亜理紗ちゃんはプラネタリウムを見て、どうにかして宇宙の果てを突き止めようとしています。知恵ちゃんは天井に広がる星空にビックリして、それどころではありません。それぞれ違った観点で星々を見つめ、数分後に亜理紗ちゃんは1つの答えを出しました。


 「ちーちゃん。私」

 「……?」

 「宇宙の向こうまで見える、良い目がほしい……」

 「……」


                               その39の5へ続く


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