表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
105/367

その36の1『ブラックホールの話』

 「知恵。どんな感じ?」

 「こんな感じ」


 学校のお昼休み、知恵ちゃんと桜ちゃんと百合ちゃんの3人は牛乳ビンのフタに絵を描いて、オリジナルのメンコを作っていました。給食で出た牛乳のビンのフタを洗って乾かし、上から押して平らにするとメンコとして遊ぶ事ができます。桜ちゃんが知恵ちゃんのメンコの絵をのぞいているのですが、何の絵を描いているのか当てる自信を持てずに困惑しています。


 「……カニ?」

 「うちのモモコなんだけど」

 「知恵ちゃん。それ、カニさんだよ~」


 知恵ちゃんはメンコに犬のモモコの顔を描いたつもりでしたが、桜ちゃんから見ても百合ちゃんから見てもカニにしか見えません。どこがおかしいのか教えてもらいつつ、知恵ちゃんは消しゴムで絵を修正していきます。そうしている内、つい手がすべって知恵ちゃんは消しゴムを落としてしまいました。


 「……あっ」


 消しゴムは音もたてずに机の下へと落ち、知恵ちゃんはイスからおりて探し始めます。机やイスの下には落ちておらず、桜ちゃんや百合ちゃんの足元へと捜索の手を広げます。そんな、なかなか見つからない様子を見て、桜ちゃんも一緒にしゃがみこみます。

 

 「知恵。見つかんないの?」

 「なくなった……」

 「あんなに大きいやつなのに……百合、そっちない?」

 「うん。探すね」


 机の下の周辺を3人で探していきますが、消しゴムは一向に見当たりません。知恵ちゃんの消しゴムは桜ちゃんに言われるほど大きく、それなりに見た目は目立つ物です。結局、お昼休みが終わるまでに消しゴムを発見できず、桜ちゃんは自分の消しゴムを少し切って知恵ちゃんにあげました。


 「とりあえず、これ使って」

 「ありがとう。見つかったら返すね」

 「返さなくていいよ……」


 午後の授業が無事に終了し、放課後になると知恵ちゃんは消しゴムを再び探し始めました。そこへ、亜理紗ちゃんが知恵ちゃんをクラスまで迎えに来ます。先に桜ちゃんと百合ちゃんの姿を見つけて近づいたところ、机の下に知恵ちゃんを見つけて亜理紗ちゃんはビックリします。


 「わ……ちーちゃん。なにしてるの?」

 「消しゴムがなくなった」

 「昼休みからないんだよね」


 そう桜ちゃんに聞き、亜理紗ちゃんも知恵ちゃんの机の近くを見回します。そして、一人で何か納得したように言いました。


 「これ。また、ちーちゃんブラックホールだ」

 「ちーちゃんブラックホールってなによ……」

 「ちーちゃんブラックホールは、ちーちゃんの近くにあるものが急になくなるブラックホールです。たまに、よくあるの」


 亜理紗ちゃんの解説を受けて、なんとなく思い当る節があったらしく、桜ちゃんと百合ちゃんは知恵ちゃんを見ながら頷いています。このままでは帰る時間が遅くなってしまうので、桜ちゃんと百合ちゃんは先に教室を出ることにしました。


 「ごめん。私たち、先に帰るけど、見つかんなかったら明日は手伝うね」

 「知恵ちゃん。じゃあね~」

 「うん。じゃあね」

 

 2人が帰るのを見送り、亜理紗ちゃんも知恵ちゃんと一緒に教室を見回ります。もうクラスの生徒は大多数が帰っていて、残っている生徒は数えるほどです。


 「ちーちゃんの、あれ。高いんだっけ?」

 「350円」

 「高い……」


 値段が高いと知ってしまい、すると亜理紗ちゃんも消しゴム探しに熱が入ります。そうしてしゃがみこんでいる2人を見て、同じクラスの凛ちゃんが知恵ちゃんに声をかけました。


 「チエきち!何かないの?」

 「うん」

 「探すの手伝ってあげよっか?」

 「いい」

 

 知恵ちゃんにお断りされてしまい、かといって引くに引けず、凛ちゃんは顔を真っ赤にしながら、覇気のない声で泣きながら怒っていました。


 「……なによ!もう!」


                                その36の2へ続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ