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ボクが紡いだ物語  作者: 名月ふゆき
第5章 ティアの日常
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第72話 ティアの心


 私は先生と二人で地下室にいた。


「地下室ってこんなところなんですね」


 先生は呆気にとられていた。地下室には色々な本があり、2つのソファーもあるがとてもホコリがたまっていた。前世ではここでティナとどっちが先に本を読みきれるかを勝負したが、五年かかった上に引き分けという結果だった。

 私は2つのソファーのホコリをモップで綺麗にして片方に座ると先生も反対側に座った。


「ティアちゃん、説明してくれますか?」

「何をですか?」

「どうして、雅司くんをあんな風にボコボコにしたのかとか、そんな力はどこにあるのか、とかあなたは何者なんですか?」

「……1つずつ説明しますね。何故彼をボコボコにしたのかは先生もわかっていますよね?」

「髪留めですか……」

「そうですね。じゃあ2つ目にどこにそんな力があるのかはここですね」


 私は自分の腕を指した。


「3つ目はただの小学生ですよ」

「2つ目以降をきちんと説明してください。

それとあなたの髪留めについても」


 これじゃあ足りないのか……当たり前だけど。


「全部説明しますね。別に信じなくても構いません。私の体のほとんどが神様らしいです。まあ、神様らしいことなんて出来ませんけどね……だから私にはあんな力があるんですよ」

「……そうですか」


 半信半疑かな……むしろ半分信じただけでも凄いとは思うけど


「私の髪留めについて話すと、これは私の存在していた証ですよ」

「存在していた?」

「私だって前は人間でしたからね。私が生きていたという証ですよ。とても大切な人に貰ったね」

「だからそれを守るためにあなたはあんなことをしたんですか?」

「そうですよ」

「反省はないんですか?」

「少しやり過ぎたかなとは思いますけど、別に死んでないし問題ないと思いますよ?」

パシン!


 先生が私の頬を叩いた。痛い……


「あなたは人間をなんだと思っているんですか! あなただって人間だったんでしょ! だったらなんでそんな簡単に人を傷つけられるんですか!」

「じゃあ先生だったらどうしますか?」

「え?」

「先生だったら自分が生きていたという証を失ったらどう思いますか? 私はそれを無くしたら自分がなんなのか分からなくなってしまいそうなんです! 私だって普通に生きていた人間なんです! 心だって今も人間だと思ってます! 私は自分を失いたくないんですよ!」


 私は涙を流していた。


「そうでしたか……話してくれてありがとうティアちゃん」


 先生は抱きしめて私の涙を拭ってくれた。なんだかあの時の感覚を思い出す。


「うん……」

「わかったから後は任せておいてね」

「先生……誰にも言わないでくださいね」

「わかってますよ」


 先生は出ていった。


「そこにいるんでしょ? 武瑠」

「その……悪かった……」

「いや、いいよ。いずれは武瑠にも話すつもりだったから……ねえ武瑠」

「なんだよ」

「武瑠は私のこと嫌いになったりしない?」

「俺はいつまでもティア一筋だ。ティアを嫌いになることはないし、ティア以外を好きになることもない!」

「ありがとう、武瑠」


 私は武瑠に抱きついた。

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