第65話 フラグ回収
あれから2週間と数日が経った。喫茶店では平日の人数が少ないことがわかったのでティナは休日だけになった。そう言えば詩織さんもこの家に住んでるらしく食事は今までは別だったが今は一緒に食べている。雪奈と詩織さんは1日交代で平日は動かしてる。そして厨房まで行く必要もなく。最近は平日はカウンターの前で作っている。時々二人ともいない時があり、そういう日はティナがカウンターに座っている。
まあ、座っているだけだけど。
木曜日は音無さんしか来ないので、どちらかが注文されたあとトーストを作ってあとは2階でのんびりしている。私は音無さんと話をしたりする事もある。ちなみに最近私はコーヒーなどの飲み物を作る係にもなった。なので音無さんが飲むカフェモカを淹れておく。
カランカラン♪
来たな……
「こんにちはティアちゃん」
「いらっしゃいませ、音無さん」
「今日は1人ですか……あっ、いつものお願いします」
「わかりました」
「ママ、トースト1つ」
「わかったよ」
数分後……
「お待たせしました。カフェモカとトーストです」
「ありがとうティアちゃん」
「どういたしまして」
「そう言えばティアちゃん、最近ティアちゃんぐらいの銀髪の男の子に会いまして」
武瑠のことか……
「その子にこんな写真を貰いましてね」
音無さんに見せられた写真には結婚式の時の写真だった……
「これティアさんですよね?」
「違いますよ? これはティナさんの妹さんですよ?」
「知ってますか? あなた嘘やなにか隠し事をするとき右足を左足の後ろにもっていく癖があるんですよ」
!? 何故それを!?
「その反応は自覚があるんですね? 説明、できますよね?」
「ちょっと何を言ってるかわかりませんね」
「あくまでしらを切るつもりですか? 今日のことをあの子に教えてもいいんですよ?」
脅しとはなんて汚い……
「今日という日ほど音無さんを悪魔だと思ったことはありませんよ」
「そうですか? 他言はしませんので教えてくれませんか?」
「教えたことを使って脅すのもよしてくださいね。それと私だけ教えるのって不公平だと思いませんか?」
「なるほど……いいでしょう私の秘密を教えてあげましょう。私の本名は音無 琴音、ペンネームはノエルです。これが証拠ですよ」
そう言っていつも書いてる原稿を見せてもらうと確かに今連載してる作品とまだ連載していない作品があって、さらに名前の欄にノエルって書いてあった。
「ノエルってあの有名な作家の!」
「そうですね……さあ私のことは教えましたよ?次はあなたの番です」
「わかりました。あなたの見立てた通り私は写真に写っている人でした」
「過去形ですか?」
「そうですね。その写真の8ヶ月後くらいに私は一度死んでますから」
「死んだ……だとしたらあなたは何故ここにいるんですか?」
「あなたの書いてる小説にもありますよね? 『転生』っていうもの」
「あなたは『転生者』だというのですか?」
いつもは動揺などしないような音無さんが凄く動揺してる。
「その解釈で間違ってはないと思います。私は死んだ後に誰かからあなたを思う人の願いが強すぎてあなたは引き込まれた。って聞きましたので。だから今こうして二度目の人生を歩んでるんですよ。これでいいですか?」
「この事は他に誰か知っているんですか?」
「そうですね。ママと反対側にある研究所に住んでいる大人たちと元旦那とその家族ぐらいですね」
「けっこう多くの人が知ってますね。こう言うのって普通は誰にも言わないようなものじゃないですか」
そういえばそうだね。でも……
「みんな私が死ぬ所を見てますからね。さすがにそういう人たちに黙っているのはつらくてね」
「確かに一理ありますね。ありがとうございましたティアちゃん。いい話が聞けました。参考にさせて貰いますね」
「別に構いませんがそれが私に繋がらないようにしてくださいね」
「わかってますよ」
こうして私は音無さんにバレた。




