第58話 私がこれから紡ぐ物語 ー始点ー
あれから長い時間が経過し、ティナと雪奈に子どもが産まれてから5年が経った。
ーーティア視点ーー
はじめまして! ティアです! 本名は田辺 ティルスティアっていいます。この名前は死んじゃったパパがつけたみたいです。何故か皆私のことをティルではなくティアって呼びます。なんででしょう? それはともかく私は今5歳です!
「ティア! 遊ぼうぜ!」
「うん。今行くー」
「お待たせ、武瑠!」
「おせーよ、ティア」
「ごめんって!」
こいつは吉川武瑠。ちょっと生意気だけど、私の大切な幼なじみです。
「まあいいやそれより遊ぼうぜ」
「何するの?」
「そうだな……トランプでもするか」
「またトランプ?」
「仕方ねーだろ! お前ここから出られないんだから」
「そうだけど……」
私は何故かここから出られない。出ようとするだけで怒られる。どうしてかな?
「ねえ、なんで私は外に出られないの?」
「お前の髪が白いからじゃないねー?」
「でもティナさんや武瑠だって外に出てるじゃん」
「じゃあその目のせいじゃないか?」
「そうかな……」
私の姿は白髪に右目が紫色で左目が黄色なんだ! 凄いでしょ? ママは私の目のことをオッドアイって呼んでる。かっこよくない?
そうそう、私はここから出たことがないからヒトのこともあまり知らないんだよね。知ってる人はママと武瑠とティナさんと武さんと紅葉さんくらいかな……?
もっとたくさんの人を見てみたいな!
「ティア、お客さんよ」
「今いくー! ごめんね武瑠呼ばれたから行くね」
「じゃあまたあとでな」
「うん! またあとで」
私はママの所に行くとそこには3人の人がいた。
「ママこの人たちは?」
「義則さんに葵さんそれと音色さんだよ」
「はじめまして! 義則さん、葵さん、音色さん! ティアって呼んでください!!」
「こちらこそよろしくねティアちゃん」
真っ先に挨拶を返してきたのは葵さんだった。
返しが速い。すぐに返されちゃったら私は引くよ。
「よろしくねティアちゃん、私のことは音色お姉ちゃんって呼んでね」
「うん♪ 音色お姉ちゃん」
「(ヤバっ……鼻血が……)」
「何やってんだよ……よろしくティアちゃん」
あれ? この人どっかで会ったっけ?
「先生どう思います?」
「凄い似てるな……」
ママと義則さんが話をしてる……似てるってどういうこと?
「ママ?」
「え? ああ、ごめんね、ティア。大丈夫よ。ちょっと飲み物持ってくるから待っててね」
「うん♪」
「(ねえ葵姉、私この子お父さんの写真にあったお母さんに似てるんだけど……)」
「(そうね。私もびっくりするぐらい似てると思う……ねえ、お父さん。試しに渡してみたら?)」
「(そうだな)」
なんか3人で話してる……私だけ仲間はずれかな……?
「ティアちゃん、これ見てくれる?」
そう言って見せられたのは紫色の宝石が入ったペンダントだった……あれ? このペンダント、どこかで……
ズキッ!
「うっ!……あたまが……」
頭が痛い……痛いよぉ……
「ティアちゃん! 大丈夫ッ!?」
そう言ってくれたのは音色お姉ちゃん。
「お父さんもう1つをはやく出して」
「わかってる。ティアちゃん、これに見覚えは?」
そう言って見せられたのは紫色の羽の形をした髪留め……ううっ……あたまがもっと痛い……
「あ"あ"あ"あ"あぁぁぁぁ!!!」
そうだ――――――
思い出した――――――
私は――――――
ボクはティルだった―――――
バタンッ!
◇◇◇
気がつくとベッドの上で寝ていた。
「ティア! 大丈夫!」
話掛けたのはママ……もとい雪奈。
「ママ……ボク全部思い出したよ。ただいま……雪奈」
「……ティルなの?」
「そうだよ雪奈」
「ティル! おかえり! ……そうだ! これ私が作ったの! 食べてみて!」
そう言って目の前に出されたオムライス。ボクは一口分をスプーンで掬い、口へと運ぶ。
久しぶりの味だ……
「おいしいよ……おいしい……ありがとう……雪奈……」
ボクは涙を流しながら言った――――――
【2020年7月18日 修正】
今さらながら思うことがあります。
ここから後ろって本編とはなんら関係ないし、ティルは登場しないし、はっきり言っていらなry




