第55話 ティルの心
クリスマスからボクは体が重くなってしまいあまり歩けなくなってしまい1日の殆どを部屋で過ごすようになった。
「ティル大丈夫か?」
「うん大丈夫だよ」
「辛かったら言ってくれよ俺も傍に居るからな」
「ありがとう先生」
先生は三学期に入ってから校長先生に休暇をとるように言われ、ずっとこっちにいる。
そのせいで心配をかけちゃってないかな?
「なあティル、お前は怖くないのか?」
「なにが?」
「お前、もうすぐ死ぬんだろ?」
「……」
「じゃあなんで平然としていられるんだ?」
「それは……」
「怖いんだろ、死ぬのが……俺だって怖いんだからティルが怖くない訳がないだろ……」
「怖いよ……自分が死んじゃうなんて怖いに決まってるよ! それでもボクはもう抗えない。ねえ先生ボクはどうしたらいいのかな……」
「俺がずっとそばに居てやるよお前が寂しくなっても俺が助けてやるさ……」
「先生……うわあああ!」
ボクは泣いた今までに無いくらいまで盛大に……
それでも先生はボクをずっと抱きしめてくれた。
「先生、ありがとう」
「気にするな」
「もう大丈夫だよ。ボクは音色の未来を繋ぐために残りの命を使う」
「ああ、わかった」
「先生、ボクのこと忘れないでね」
「ああ、お前のこと忘れるわけないだろ」
その時の先生はとても優しかった。
ボクは音色のために生きていくんだ……そのために今出来ることをして置かないと……
「先生、紙とペンある?」
「ああ、これでいいか?」
そこにボクは音色の未来をボクが全力で推測をしてその紙を1枚ずつめくる形にしてそしてその束を封筒に入れて封をした。
「先生これを音色が7歳になったら渡してあげて」
「わかったよ……にしてもお前すげーな」
「これがボクの全力だよ」
そろそろ出産か……もう3月だもんな……




