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ボクが紡いだ物語  作者: 名月ふゆき
第2章 G1期
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第20話 怒りの雪奈とティルの秘密


~~家庭科室~~


 さて今日は先輩のお願いでカレーを作ることになった。けど、その先輩は逃げた。つまりカレーを作る意味はないんだが……


「ねえティルちゃん今日のカレー私が作っていいかな?」

「いいけどなんで?」

「いつも作って貰ってばっかだし、たまにはいいでしょ?」

「そう、ならお願い」

「任せなさい」


 そう言って料理を作り始めた……


 1時間後……


「よしできた、はいティルちゃん」


 相変わらず見た目は完璧だな……この料理からどうしたら地獄のような味をだせるのだろうか……味わったことないからわからないけど。


「ありがとう、いただきます」

パクっ……

「どう?」

「美味しいと思うよ?」 

「ティルちゃんどうして……」

「ん?」


 もしかして何かやらかした?


「どうして本当のこと言ってくれないの? 私だって自分の料理が地獄のような味だってわかってるんだよ!」

 

 自覚あったのか……なら何故食べさせた……


「私はティルちゃんに気を使って欲しくないの! なんでマズいって言ってくれないの!」 

「それは……」

「ティルちゃんは私に気を使ってるでしょ! 

私はティルちゃんと気を使ったりしないような友達でいたいの! ねえティルちゃんはどうして美味しいって言えるの?」


 ついにバレてしまったか……しかもこれを言いたいためにカレー作ったのか……


「あのね、雪奈お姉ちゃん実はボクね……味覚がないんだ」

「え?」

「味覚だけじゃないよボクには嗅覚もない」

「どうして……」

「ボクは雪奈お姉ちゃんに会う前は男だったんだ。それもただの高校生……」

「何を言ってるの? だってティルちゃんは女の子……」

「ホントだよ、ボクはある病気にかかったんだ。それも放置したら数日で死んでしまうような……だから薬を使って体を()()()()破壊して体を残った細胞を活性化させて再構築したんだ。性別が変わったのは薬の副作用で味覚障害、嗅覚障害はその後遺症」


 全部言っちゃった……


「そんな……」

「どう思った? 気持ち悪いって思った?」

「そんなことはないよ! ティルちゃんはティルちゃんだよ! だからこれからもずっと一緒だよ……」


 その時ボクから何かが落ちたような感じがした……


「ありがとう雪奈お姉ちゃん……」


 そのままボクは雪奈お姉ちゃんに抱きしめられたながら泣いた。気づいたら6時を過ぎていた。


「じゃあ帰ろっかティルちゃん♪」

「うん♪」


~~下校中~~


「そういえばティルちゃんは男だったって言ってたよね? もしかしてティナちゃんも?」

「ティナも男だったよ。でもボクとは違って間違えて薬を飲んじゃっただけ……だからボクみたいなことはないよ」


 ティナもアホだね……まあボクも知らずに夕飯に混ぜられて飲んでたからヒトのこと言えないけどね。


「なら良かった……ティナちゃんも障害とかあったらどうしたらいいか困ってた……」

「別に障害とかあったとしてもいつも通りに接してくれればボクもティナも十二分嬉しいよ」

「そう……じゃあまた明日ね」 

「また明日」

 

 良かった雪奈お姉ちゃんに受け入れて貰えて……


「ただいま」

「おかえりティル、ティナのこと知らない? まだ帰って来てないんだけど……」


 ……え?

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