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ボクが紡いだ物語  作者: 名月ふゆき
番外編 音無家双子姉妹の物語
184/194

最終話 逢魔の時、そして未来へ


 退路はふさがり、目の前には悪魔みたいなやつ。しかもミトコンでは勝てない。


「わかった。私がやる」


『!? お前それわかってるのか!』


「わかってる。でもやらないといけないから」


 お姉ちゃんは私が守らないと!


『……そうか、それがお前の選択なんだな』


 ミトコンはこれ以上止めなかった。


「お姉ちゃん、血を貰ってもいい?」

「琴葉……いいよ。持っていって」


 お姉ちゃんは私に首を差し出す。

カプッ……

「んっーーーっ!?」



 いつもよりずっと……誰の血よりもお姉ちゃんの血が美味しいよ……


「ぷはぁ、ありがとうお姉ちゃん。ミトコン、お姉ちゃんをお願い」


『わかった』


 お姉ちゃんから最初で最後の吸血をして佐藤先生の前に立つ。


「先生はどうしてこういうことするの?」

「俺は悪魔だ。元大魔王だ。貴様ら人間ごときに教える訳ないだろ! 死ね!」

「ごめんね……お姉ちゃん」

「え?」

「はああぁぁぁ!! 変身!」


『祝杯の時! 最高! 最善! 最大! 最強! オーマ◯◯◯!』


 私の姿が変わっていく。そして自称元魔王と同じくらいの大きさの狼になった。

 

「はっ! 吸血鬼か! だが、その程度で俺に敵うと思うな!」


『そんなことない!』


 私は先生の腕を噛みちぎった。


「ぐあぁぁぁぁ! 何故だ! 何故たかが吸血鬼の切れ端ごときにそんな力があるんだ! ならばお前の力奪ってやる! ……何故だ! 何故奪えない!」


『これは私とお姉ちゃんの力だ! お前ごときが奪えるような力じゃないんだよ!!』


『終滅の時! オーマ◯◯◯必殺撃!!』


『はああああぁぁぁぁ!!』


「ぬおおおおおお!!」


 先生は両手で受け止めようとする。


「うああああああ!!」


 先生は受け止めきれずにやられた。


「先生!! てめぇ! 先生の仇!」


 渡辺くんも姿が変わった。


『無駄だ! お前も私とお姉ちゃんの力を味わえ!』


「ぐあぁぁぁぁ! クソ! 覚えておけよ!」


 渡辺くんが逃げると先生は消えた。なんで?


『悪魔は死ぬと消えるんだ。灰になってな』


 じゃああそこに落ちてる砂が先生なんだね?


『その言い方はどうかと思うが、そういうことだ』


 私は元の姿に戻る。


「お姉ちゃん! 大丈夫?」


 私はお姉ちゃんに駆け寄る。


「!? 琴葉! なんであなた透けてるの!」


 あれ? ホントだ……


『時間切れだ。もうすぐこいつは消える』


「そんな……嘘よ!」

「ホントだよ。お姉ちゃん、でも大丈夫だよ。私はお姉ちゃんのことずっと見てるから、お姉ちゃんの夢応援してるから、絶対小説家になってよね」

「琴葉……」


 お姉ちゃんが抱きついてきた。


「ごめんなさい。私あなたに今まで酷いことしかできなくて! 私はもっと琴葉と……」

「お姉ちゃん……いいんだよ。お姉ちゃんはその分私のこと看病してくれたり、心配してくれたんだから」


 私の体が光始めて、少しずつ光の粒になっていく


「琴葉! 消えないでよ!」

「ごめんね。お姉ちゃん。でも私はお姉ちゃんと運命っていう糸で繋がってるから、必ずまた会えるよ。じゃあね。お姉ちゃん。私お姉ちゃんの妹でよかった……」


 私は光となって消えた。




ーー琴音視点ーー



「琴葉……あなたの居ない世界なんて……」


 私は先生の持っていた剣を持った。


『お前はそれでいいのか? 主の願いはお前に小説になってもらうことだぞ。今のお前を見たら主はどう思うだろうな? 主も報われないものだな』


 琴葉……


「ごめん、間違ってたよ。私はいつ琴葉に会っても大丈夫なような凄い小説家になるよ!ミトコンくん! 一緒に行かない?」


『俺ももう一度主に会いたいからな。ついて行ってやるぞ。琴音!』


「うん!」


 琴葉、私絶対凄い小説家になるから見ててね。



 10年後……



 どこかアイツから隠れられる場所はないのですか! ん? こんなところに喫茶店?今日から営業なんですか……ちょっと寄って見ましょう。


カランカラン♪

「いらっしゃいませ」


 白髪ロリ幼女ですね……


「何名様でしょうか?」

「1人です」

「こちらへどうぞ」


 幼女は私を席に案内し、水とお手拭きをだした。


「注文が決まりましたら呼んでください」


 あの髪と身長…葉月を思い出させてくれる。決めました、今日からここで毎日書きましょう! それなら何か注文しないといけませんね。……これにしましょう。


「すいませーん」

「はーい」

「フレンチトーストとカフェモカください」


 私これからもここで小説を書き続ける。また琴葉に会える、その日まで……

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