第17話 脱走
ミトコンは私とお姉ちゃんを乗せてこの建物を脱出しようとしてる。
『……』
「どうしたの?」
『……すまん。迷った』
「は? 壁でもぶち抜けよ」
『焦りすぎて言葉使いが悪いぞ。だが、ここが地下の可能性もあるから壁は無理だな』
さっき波動砲撃ちまくってた奴が何を……
『……ゆっくり探して行こう』
ミトコンは歩き出した。
ガコンッ!
「……何をした?」
『……床にスイッチがあった。すまん』
これ絶対ヤバい奴だよ。
ドンッ!
ほら何か岩が転がってきたし……
「逃げるか壊すかはやくして!」
『アオーーン!』
吠えるな! っていうか逃げるのかよ! そこは格好良く壊そうよ!
『……アレ、アダマンタイトで出来てやがった』
マジか……渡辺くんお金持ち過ぎでしょ……ここは迷宮かな?
「あそこに隙間!」
『おう!』
ふぅー危なかった……今度からは気をつけて欲しい。
『悪かった。気をつける』
「ん……んん? 琴葉? ここは?」
「お姉ちゃん! 起きたんだね!」
私はお姉ちゃんにここであったことと、ミトコンのことを話す。
「ええっ!? それって琴葉! ちょっとそこで横になりなさい!」
「え?」
私は横になった。床が冷たい。そしてお姉ちゃんは私のおしっこが出てくるところを覗いた。
「お姉ちゃん……恥ずかしいよ……」
するとお姉ちゃんは私をミトコンに乗せた。
「琴葉、ごめんね。守ってあげられなくて……」
「え? なんで?」
「(あっ! 琴葉こういうこと何も知らないんだった!)琴葉、いろいろとごめんね……」
どういうことなの? え? ちょっと! 教えてよ!
『お前は知らなくていいことだ』
いや! そんな訳ないでしょ! どういうことなの!
『ほら、行くぞ!掴まって置けよ』
うん……
ミトコンは走った。それから数時間ずっと……そして
『はぁはぁやっと見つけた…』
出口が見つかったのだ。
「ありがとうミトコン。でも私たち裸だから速く家まで送ってね」
『はぁ……お前は鬼か』
いや、全然鬼じゃ……吸血鬼でした!
「じゃあ早く出よう!」
「そうはさせない! 先生! やっちまって下さい!」
渡辺くん生きてたの? てっきり死んだかと思ってたんだけど……っていうか先生って!?
「悪いな音無姉妹、お前らにはここで死んでもらう」
……は?
すると佐藤先生はいきなり姿を変えた。
「なに……あれ……」
佐藤先生は3mくらいの身長のザ・悪魔って感じの見た目に変わった。
「ミトコン、勝てる?」
『無理だな、それに逃げ道も無さそうだ』
後ろの扉がいきなり閉じた。
「……わかった。私がやる」




