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ボクが紡いだ物語  作者: 名月ふゆき
番外編 音無家双子姉妹の物語
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第9話 契約者


ーー奈々視点ーー


 翌日クラス中であの話は話題になった。


「ねえ奈々、琴葉ちゃん付き合うこと知らないってホントなの?」

「ホント。マジで驚いた。告白してた所小林くんと見てたけど、マジで告白してる方が可哀想だった」

「佐々木くんも乙だね。せっかくクラス全員にロリコン呼ばわりされる覚悟で告白したのにアレじゃあね」


 ホント、お疲れ様としか言えないね。それなのに当の本人は誰とも話すこともなく1人で音楽聞いてるし……


「そのうち変なことされても気づかないんじゃ……」

「ありそうだね……というより既にありそう」

「確かに……」

「そういえばなんで琴葉ちゃん付き合うことを知らないの?」


 ……まあ、言ってもいいか。


「私と会うまで友達とか1人も居なかったんだって。それで少女漫画すら読まず家の家事ばっかやってたからあんなになったらしいよ」

「あれ? 奈々って今年引っ越して来たよね?」

「そうだよ」

「……………」


 何も言うな。可哀想だから……


「私、前から琴葉ちゃんと友達になりたかったんだよ。

 だけど周りも接しにくそうだったし、なんか話したら周りの人にどう思われるか不安だったんだ……」


 確かに琴葉は髪の色とか目の色とか日本人離れしてるから少し話掛けづらいよね。それに身長が低すぎて幼稚園児と話してる感覚になるし……


「じゃあ今度一緒に帰って話してみる?」

「いいの?」

「いいよ。そっちの方が琴葉も成長できるだろうし」

「ありがとう奈々」


ーー琴葉視点ーー


 なんか皮肉言われてる気がする。なんでかな? 奈々のせいかな? あれ? 昨日の人だ。同じクラスの人だったんだ。


「よおロリコン」

「うっせー」


 ろりこん? 何それ? コンはコンプレックスでしょ? 私だってシスコンなんだからそれくらい知ってるよ? でもろりって何?


「琴葉どうしたの?」

「奈々、ろりこんって何?」

「……琴葉は知らなくていいんだよ」

「そうなの?」

「そうだよ。そろそろ授業始まるよ?」

「そうだね。準備しないと……」


 私が席を立とうとすると急に力が抜けた。

ガタン!


「え? 琴葉大丈夫?」

「奈々……力が入らない……」

「は? まさか(最近血を与えてなかったから?)」

「とにかく保健室に……軽っ!? 体重何キロ?」

「20……」

「まあ、身長から見ればそんなものか……」


 私は奈々に抱っこされて保健室に連れていかれた。


~~保健室~~


「琴葉大丈夫? 血いる?」

「いる……」

「ちょっと待ってね」

 

 奈々がパンツを脱いでポケットからオムツを取り出した。何故持ち歩いてるのだろうか?


「はい、いいよ」

カプッ……

「んっ! んんんっ!?」


 まだ足りない……もっと、もっと……血が欲しい……


「琴葉、そろそろやめて……」

「……はっ! ごめん! 大丈夫?」

「はぁはぁ……ギリギリよ……それより琴葉どうしたの?」

「なんか血が足りないよぉ……もっと欲しいの……もっと……アレが欲しいのぉ……」


「(なんか顔とか声とか台詞とかいろいろエロい。でもこれが無意識っていうのがまた罪深いよね)困ったな……これ以上は血をあげられないし……」

「そんなぁ……」


 ううっ、牙が疼く……体が熱い……なんかフワフワする……


『俺が助けてやろうか?』


 え?


『この前お前が俺の分裂を倒した時にお前の力は見極めた。俺と契約しろ』


 契約?


『そうだ。契約すればお前を助けてやろう。ただし、契約すればお前の寿命は縮むぞ』


 どれくらい?


『お前が吸血鬼の力を使わなければたったの数年程度だろう』


 吸血鬼の力って?


『吸血鬼の力は謎の化け物になったり、血を使って何かをしたりすることだ』


 何その力……それをするとどうなるの?


『1度使うとお前の寿命が百年減る』


 え? 一発アウトじゃん。


『そうだな、お前は本当の吸血鬼ではないから普通の人間と同じくらいしかないからな。だが、まあ、使わなければ問題ないから大丈夫だ』


 そうだねじゃあお願い……


『了解した』


「あれ? 急に治った?」

「よかった……いきなり倒れたから驚いたよ……」


 私倒れてたんだ……あれ? もう日が暮れてる……


「もう、帰ろうか」

「そうだね。でも琴葉はまだ熱あるから私が抱っこして帰るね」

「え? ちょっと!」


 私は奈々に抱っこされながら帰った。


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