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ボクが紡いだ物語  作者: 名月ふゆき
番外編 音無家双子姉妹の物語
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第7話 ツンデレとシスコンとノエルの正体


 犬退治から数日後……


「鬼退治みたいに言わない!」

「奈々、何言ってるの? 鬼退治なんて私が退治されちゃうよ」

「そうだったね……」


 あれから数日間犬の事件は起きなかった。やはりあの犬が犯人だったらしい。


「そういえばこの部活って他の人来ないよね」

「そうだね。他の人って誰がいるんだろうね」

「聞いた話だと、部長と副部長と音無琴音っていう人らしいんだけど……琴音って琴葉のお姉さんだよね?」


 お姉ちゃん、この部活に入ってたんだ……実は私のこと大好きなのかな? っていうかシスコン確定でしょ! 私がシスコンなんだから双子の姉がシスコンじゃない訳ない!


「いや、琴葉のお姉さんはシスコンじゃないと思う……」

「どうやって心読んだの?」

「琴葉、お姉さんの話をするときに凄い浮かれてることに気付こうよ……」


 私そんなに浮かれてた? 確かにお姉ちゃんは可愛いくて、(他人には)優しくて、(他人には)気づかいができる自慢の姉だけど……


「今のその表情だよ琴葉……」

「お姉ちゃんは表では嫌ってるけど心の中では私のこと大好きだから仕方ないんだよー」


 その時、扉が開いた。


「誰がツンデレだ! 誰がシスコンだ! ふざけんじゃねーよ! 化け物風情が!」


 なんという罵倒……でもお姉ちゃんに話掛けられたよ!


「(なんか琴葉が目覚めてるような……この前の外で着替えてる時といい今回の罵倒といい、琴葉ってだいぶ凄い素質持ってるね……)」


 なんか今奈々に罵倒されたような気がするから後で絞めておこう。


「チッ! せっかく書こうと思ったのに帰るか」


 お姉ちゃんは部室から出ていった。そしてその時1枚の原稿用紙を落とした。


「これは……小説? それにノエル?」

「ええっ!?」


 なんで奈々そんなに驚いてるの?


「奈々どうしたの?」

「琴葉知らないの?ノエルって最近ネットじゃ有名だよ? 将来有望の小説家って言われてるんだよ?」


 お姉ちゃん、そんなに凄かったんだね! さすがはお姉ちゃんだね!


「私、ノエルさんの編集者になるよ!」


 は?


「ダメだよ! それは私がなるんだから!」

「琴葉の夢は喫茶店でしょ? 頑張ってお料理の勉強でもしてなさいよ」

「むぅ……」

「嫉妬もその辺にしときなよ琴葉」


カプッ

「ん!? んんんっ!」

「ぷはぁ……失禁もその辺にしときなよ奈々」

「やかましいわ! 今日替えの下着ないんだよ!」

「じゃあノーパンだね。頑張って!」

「琴葉のせいでこうなったんだから琴葉! パンツを寄越しなさい!」


 え? やだよ……あれ? なんで奈々は私のパンツと同じ柄のパンツを手に持ってるの? なんかスースーする……


「はうっ!? え? なんで! どうしてないの!」

「フッフッフッ、あらあらどうしたの? 琴葉ちゃん? いきなりスカート抑えちゃって」

「ちょっと返してよ! 私のパンツ!」

「何を言ってるの? これは私のパンツだよ?」


 クッ、身長が……おのれ……おのれ◯ィケイドー!! ん? なにいまの?


「じゃあ帰ろうか?」

「やだ……」

「そう? 私たちって友達じゃ「よし! 帰ろうか!」はやいね。まだ言い切ってもないよ」


 下校中……


「ねーねー琴葉、今どんな気分? ねえどんな気分?」


 うざい……パンツがないだけで凄いスースーするよ。


「すると突然強い風が吹いてきた」

「何を言って……きゃっ!」


 なに今の!? 奈々は超能力者なの?


「琴葉は可愛いね。『きゃっ!』だって! もう最高! スカート捲ってあげるよ!」

「やめて! 死んじゃう!」


 その後私はスカートを抑えながら帰った。


「その格好なかなかそそるものがあるね」

「煩い……」


 この時、私たちはまだ知らなかった。まさか誰かに見られてるとは……






「可愛いよ琴葉ちゃん。もう君は僕のものだよ。はは……あはは……アッハッハッハッハッハ!!」

「ママー変な人がいるよ」

「こら、こっちに来なさい! 変な人がいても近づいたらダメよ?」

「はーい!」

「……帰ろ」

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