第6話 増殖する犬
あれから奈々は時々部室で私に血をくれた。
まあ、その時にお漏らし癖がついて毎回掃除してるけど……大丈夫かな? 奈々変な方向に目覚めてないかな?
そして今日も掃除をして下校する。
「ねぇ最近あの犬増殖してない?」
「そうだね。今は32匹いるね」
あの日以降例の犬は日を重ねる毎に2倍に増えている。
「もしかして最近ニュースでやってる人を殺した犬って……」
「ま、まさか……ね?」
確かにニュースの時期とあの犬の発生した時期は被っている。おまけに最近そのニュースも日に日に大きくなってる。あっこれコイツら犯人確定ですわ。
「グルルル……」
「なんかこっち見てない?」
「見てるね」
すると犬の群れが走ってくる。
「逃げるよ!」
「えっ! ちょっ!」
私は奈々を引っ張って全力で逃げた。奈々は鯉のぼりのような感じになっていた。
「はぁはぁ……ここまで来れば……」
「ううっ! 気持ち悪い……」
「ごめん奈々……」
びちゃびちゃびちゃ
……あとで掃除しないとね。っていうかおまけにお漏らしまでしないでよ。野外でもするとか絶対目覚めてるじゃん。
「グルルル……」
「あっ」
もう見つかっちゃった……仕方ない倒そう。
「奈々はここにいて! 絶対見ちゃ駄目だからね!」
「ちょ! 琴葉! 何するの!」
「はああああぁぁぁ!」
ドコンっ!
犬を全力で殴る。
「キュウーン」
なんで死に様だけ可愛いの……そんな顔で死なれたら罪悪感が半端ないって……
「グルルル……」
まだいるの? もう辛いんだけど……
「キュウーン」「キュウーン」「キュウーン」「キュウーン」「キュウーン」「キュウーン」「キュウーン」「キュウーン」「キュウーン」「キュウーン」「キュウーン」「キュウーン」「キュウーン」「キュウーン」「キュウーン」「キュウーン」「キュウーン」「キュウーン」「キュウーン」「キュウーン」「キュウーン」「キュウーン」「キュウーン」「キュウーン」「キュウーン」「キュウーン」「キュウーン」「キュウーン」「キュウーン」「キュウーン」
もう辛い! なんでみんな死に様だけこんなに可愛い声と可愛い顔をするの! 嫌がらせなの! まあ、あと一匹だからいいや
ドコンッ!
「キュウーン」
バタン!
あれ? 全部倒したら死体が消えた? どういうこと? でもこれで私は何も殺してない! 血まみれだけど何も殺してない! よし!
「奈々! 大丈夫?」
「こ、琴葉……だ、大丈夫だよ……」
「だから見ちゃダメって言ったのに……」
「どのみち琴葉が血まみれだから何があったかすぐにわかるよ」
そういえばそうだったね。
「じゃあ体操服に着替えて帰ろうか」
「そうだね」
二人で野外で着替えて帰った。野外で着替えると……いや、何でもない!




