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ボクが紡いだ物語  作者: 名月ふゆき
番外編 音無家双子姉妹の物語
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第1話 入学式

 今回から主人公はティアではなくなります。これ以降の話は元々薄かった恋愛要素よりもさらに薄いです。というよりほぼ皆無です。すいません。

 そしてイリスちゃんは居ないので諦めてください。



 これはティルが死んでティアが産まれる前に起きたとある双子姉妹の物語である。


「ティア、双子姉妹って誰だ?」

「私だって知りたいよ! ほら、新しい主人公が来るよ!」

「お前……モブになったのか?」


「!? そ、そんなこ、ことはななな、ないよ」

「いや、お前が生きてない時間の物語なんだからお前登場しないだろ」

「はっ!」




ーー琴葉視点ーー


 私の名前は音無(おとなし)琴葉(ことは)12歳。私には他人には言えない秘密がある。それは私が生まれながらの吸血鬼であること。両親や双子の姉の琴音(ことね)は普通の人間であるのに、私だけ吸血鬼でこの12年間を生きてきた。


 別に吸血鬼だからと言って日光を浴びると溶けたりすることはなく(肌が日光にあたり過ぎると過呼吸を起こすが)、十字架を見てもなんともないが、にんにくは(野菜の好き嫌いレベルで)嫌いだ。


 普通の人間との違いは髪の色が白くて、目の色が赤く、人よりも力があって、体が幼稚体型で、1週間に1度吸血する必要があるくらいだ。けど、最近は1週間に1度じゃ足りなくなってきてる。そのうち毎日とかになっちゃうのかな? それでも両親()私を1人の人間として育ててくれた。今日は中学校の入学式の日だ。


「琴葉! 着替え終わった?」

「うん! お母さん、どうかな?」

「似合ってるよ」

「ありがとう」

「ほら、琴音! 行くよ!」

「あとで1人で行くから先に行ってよ。私はそんな化け物と一緒に居たくないんだよ」


 私のお姉ちゃんは私のことを化け物と呼ぶ。確かに私は化け物だから何も言わない。それに私はこんな姉でもシスコンである。お姉ちゃんのためなら何だってできる。


「琴音もそういうことやめなさいよ。琴葉はあなたの妹なんだから」

「そんなやつと一緒にするな!」

「はぁ……琴葉行くよ」

「うん……」


 私とお母さんは家を出た。クラスは私がC組でお姉ちゃんはB組だ。


~~水無月中学校~~


「これより入学式を開始します。まず始めに校長先生の挨拶です」


 あっ! これ絶対長いやつだ!


「はい、新入生の皆さん入学おめでとうございます。君たち新入生諸君にはこの学校の…………」


 長い! いつまで話すの!? どうせ言ってることは自立しろってことでしょ! 一言で終わるよ! なんでこんなに長いの!?


「それでは新入生諸君の活躍を期待してるぞ。以上だ」

「入学式は時間を押しているためここで終了とさせていただきます。誠に申し訳ございません。新入生はそれぞれの担任の指導のもと、各クラスに移動してください」


 校長、やり過ぎだよ。しかもいろんな先生たちにめっちゃ怒られてるじゃん。校長正座してるよ……


~~1年C組~~


「じゃあ出席番号順に座れ」


 あれ? 椅子に届かない……


「音無! これ使え!」


 先生が踏み台を投げてきた。


「うわっ!」


 危ないよ! ……でもなんで踏み台があるの?


「あ、ありがとうございます」

「数年前に同じくらいの身長のやつが居てその時に買ったやつのらしいぞ」


 数年前にもいたんだ……


「俺はこのクラスの担任の佐藤というみんなよろしくな!」


 佐藤先生ね……モブだね!



「じゃあ廊下側から順に自己紹介してくれ」

「朝日奈々です。趣味は読書で、将来の夢は編集者になることです」


 ……そこは小説家じゃないんだ。そういえばお姉ちゃんの将来の夢は小説家だったね。


「はい、次!」


 次って私じゃん! なんで伊藤も井上も上田も居ないの!


「私は音無琴葉といいます。趣味は音楽干渉で、将来は喫茶店で働きたいと思っています」

「「「(かわいい!)」」」

「次!」


 そんな感じで今日は自己紹介をして解散になった。


「ねえ、琴葉ちゃんって呼んでいい?」


 そう話掛けてきたのは朝日さんだった。


「いいよ、朝日さん」

「私のことは奈々って呼んでよ」

「じゃあ奈々、いきなりどうしたの?」

「呼び捨てって青春っぽいよね!」


 めっちゃ小説に影響されておらっしゃる……でもその気持ちわかる!


「琴葉ちゃんってハーフなの?」

「違うよ? 正真正銘日本人です! ドヤッ!」

「ホントなの?」

「ホントなのです! ドヤッ!」

「その『ドヤッ!』っていうのは口で言わなくてもいいんだよ? ドヤッ!」


 影響されてるよ。


「ねえ、一緒に帰らない?」

「いいよ、帰ろ」


 私は奈々と一緒に帰った。


「家の方向同じなんだね」

「私最近こっちに引っ越して来たから友達とかできるか不安だったんだけど琴葉と同じクラスでよかったよ」


 え? それってもしかして私の数少ない(というより初めての)友達! どうしよう! めっちゃ嬉しい!


「「じゃあ私ここだから……え?」」


 奈々が指した家は私の家の向かい合わせの家だった。


「思ってたよりも……」

「……近いね。明日から一緒に登校しようよ」

「うん!」

「じゃあ明日ね」

「うん、また明日」


 私は奈々と別れ家に入った。


「ただいま♪」

「おかえりなさい、ずいぶん上機嫌ね琴葉」

「うん♪ あのね聞いてよ。実はね……」


 友達っていう響きだけでもうテンションが上がるよ! 明日からが楽しみだなぁ……


ティア「ホントに私出てないじゃん!」

 琴葉「フフフ、今まで登場すらしなかった人に主人公の座を奪われるってどんな気分?ねえどんな気分?」

 奈々「琴葉、そんなキャラじゃないでしょ」

ティア「貴様覚えておけよ!絶対に私の妹にしてやる!」


 21時にも更新します。

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