第145話 喫茶店と秋さん
オリエンテーション合宿が終わり、今日はその代休日だ。もちろん仕事である。
カランカラン♪
「いらっしゃいませ」
「ホントに働いてるんだ。ティアちゃん」
来なくていいって言ったのに……
「ご注文は?」
「ティアちゃんとお話」
「では決まりましたら注文して下さい」
「ちょっ! そんなに華麗にスルーしないでよ! じゃあトーストちょうだい!」
「トーストだね。持ってくるよ」
私はカウンターに行ってトーストを作る。
「お待たせしました」
「これティアちゃんが作ったやつだよね」
「そうだよ?」
「私って幸せものだな」
「そうですか。お会計は5000円です。まいどありがとうございました」
「高いよ! それに帰らないよ!」
なんでだよ! さっさと帰ってよ!
「ティア、お疲れあとは私が……やっぱりいいや」
「待てアテナ! ここからはお前のステージだ! じゃあ私は上がるから!」
私は音もなくして奥に行こうとする
「ティア、秋さんの相手お願いね」
「やだ」
「やらなかったらティアと武瑠のこと雪奈さんに言っちゃう!」
「やります」
はやく戻ってゆっくりしたかったな……
「なんか私微妙な気分なんだけど」
「「気のせいだと思うよ!」」
「気のせいな訳あるか!」
仕方ないな……話に付き合ってあげよう。
「そういえば日向さんは?」
「日向は今日は用事があって来られないそうだ」
っていうことはまた来るんだね。
「それよりティア、あの人昨日見た気がするんだが……」
「ああ、音無さんだね。いつもはここにいるよ。昨日はたまたま出掛けてたらしいよ」
「そうなんだ……なんか悩んでない?」
「多分アイデアがないんだよ。だからそろそろ面白いものが見られるよ」
「ティアちゃん、私は見せ物じゃないですよ?」
そんなこと言ってると来ちゃうよ?
カランカラン♪
「ノ・エ・ルさーん♪ 原稿は?」
「す、すいません! ま、まだなんです!」
音無さん可愛い…もう28なのに…
「私、先週なんていいましたか?」
「ひっ! 来週までには終わらせるようにと……」
「それで今日がその来週なんですけど?どういうことですか?」
「今はまだアイデアがっ……」
朝日さんさすがに襟元を掴むのはどうかと思いますよ。
「今すぐに終わらせてください!」
「は、はひ!」
音無さん涙目になっちゃって可愛いよ!
「ティアちゃん、ノエルってあの小説家の?」
「そうだよ」
「マジか……(あとでサイン貰お)」
「今はダメだよ?」
「なんでティアちゃんは私の心が読めるの?」
まあ、私ですからね。さて、そろそろ切り上げるよう。
「じゃあ私はもう上がるからまた明日ね」
「そうか、じゃあ明日ね」
私は秋さんと別れて自室に戻った。なんか秋さんって少し紅葉っぽいところあるような気がするよ……




