第117話 一方的な暴力
鴨ってどういうことかな?
「ティルスティアさん、何か質問はありますか?」
まあ、せっかくだからいろいろ聞いていこうかな?
「じゃあ、何でここの使用人達はみんな心がないんですか?」
「……ごめんなさい。それには答えられないわ」
答えられないか。まあ仕方ないね。
「じゃあ、いい鴨ってどういうことですか?」
「…………」
表情が変わったね。
「あなたは何者なの? 私の言葉を理解するなんてこの世界の人間じゃないの?」
「私は異世界出身じゃないですよ?」
「……そう、いい鴨っていうのはね。貴女みたいな可愛い女の子を私のものにすることよ」
おお、目が赤くなった! 洗脳でしょ! 洗脳だよね! さっきの言葉からして異世界人みたいな感じだし!
「!? なんで私の洗脳が効かないの!」
「やっぱり洗脳だね。あの人たちもそうなんでしょ?」
「私の言うことを聞きなさい!」
「いやですよ」
まあ神には洗脳なんて効かないんだよ。諦めて下さい。
「こうなったら無理にでも言うことを聞かせてあげるわ!」
おお、なんか剣が出てきた!
「言うことを聞きなさい!」
花蓮さんが剣を振るってきた。
「危ないですね! 死んだらどうするんですか!」
私、最近こういうのばっかり! 何度喧嘩売られたり、殺されかけるのかな?
「貴女は面白いわ! いいわ! 貴女とは真っ向から勝負をしてあげる! これにサインしなさい! これは契約書よ。魔法でできたね。ここにサインすればその契約は必ず果たされるわ! もちろん拒否権はない! 拒否すれば貴女は一生ここから出さないわ!」
その契約書とやらにはこう書かれていた。
私浅井花蓮は貴殿田辺ティルスティアに決闘を挑む。敗者は勝者の命令を必ず従うこと。また勝利条件は相手の戦闘不能及び相手の降参宣言。決闘中に死んだ場合は戦闘不能となる。
……この小説はバトル系じゃないんだけどな。でも仕方ない、やらないと帰れない見たいだし、相手をするか……
「よし、じゃあ決闘はここで行うわ! いくわよ!」
早っ!? ……危なかった。普通こういうのって闘技場的なところでやるものじゃないの!
「ほら、避けないと当たっちゃうわよ!」
花蓮さんが避けてる途中の私に蹴りを入れる。これは回避できなかった。
「グッ!?」
「ほら、まだ終わらないわよ!」
「ア"ッ!?」
私はまた蹴り飛ばされた。お腹痛いよ……
「ゲホッ!」
「吐血なんてずいぶんはやいわね!」
また私に蹴りを入れた。
「グアッ!? ……はぁはぁ」
「ほら、このままじゃ終わっちゃうわよ」
確かにこのままでは八方ふさがり、どうしたらいいんだ……ん? この石ころは武瑠から貰った……
『ティル! その石に魔力を込めるんだ! その石にはアーサー王の鎧と聖剣と剣術が入ってる!』
武瑠めっちゃ凄いもの渡してくれたな! だがナイスだ! 魔力の込め方は前にパパから習った! よし!
「なんだこの光は!」
明らかに悪役の台詞だね。これバトル系じゃないよ? 小説恋愛系だよ? 最近そういう感じしないけど!




