第102話 体調不良
それから数日後の火曜日、私は無事に体調を崩しました。
「ティア、大丈夫?」
「無理……」
全く、誰のせいだろうね。
「新しい従業員早めに雇うためにバイト募集の紙を貼っておいたからね」
「ありが……とう……」
「体温計使うから口あけて」
私は口をあける。そして
ピピピッ!
体温計を見ると39・8度って表示が……
「紅葉呼ばないと! 待っててねティア! すぐに紅葉呼んでくるから!」
早っ!? 一瞬で消えた……
「ティア!大丈夫!」
「うる…さい…」
「雪奈どいて! 少し診るわ」
それから数分後……
「ただの過労ね。でもこんなに熱があるなんて雪奈どれだけ働かしてたのよ!」
「開店から6時半まで毎日……」
「毎日6時半!? そりゃそうなるわ! あんたバカじゃないの!」
そうだよ。雪奈はバカなんだよ……
「いい? 子どもの体力なんて私達よりもかなり少ないのよ! だから私達と同じ感覚で働かしちゃ駄目よ! せめて4時までにしときなさい!」
「はい……」
それでも毎日働くのね……まあ私もそっちのほうが落ち着くからいいのかもね。
「まあ、安静にしてれば2日もあれば治るからそれまでは無理させないようにね」
「わかった……」
紅葉は帰って行った。
「ティア、ごめんね。ティアのことティルと同じ感覚でいたかも」
「そんな……こと……ない……ママは……私の……お母さんだ……から……」
「ティア、無理しないでゆっくり寝ててね」
「うん……」
私は眠りについた。
ーー雪奈視点ーー
はぁ、ティアにそこまで疲労させていたなんて……私はダメね。今後は気をつけよう。もうティアにこんな風にさせないようにバイトの人探さないと……
「おばさん!」
「武瑠くん?」
いい加減学習してほしいけど……でも子どもから見れば私はもうおばさんなんだね。まだ二十代なのに……
「ティアは!」
紅葉か……伝達早いね。
「今寝てるから静かにしてあげて」
「わかった。あの、これをティアに」
武瑠くんからリンゴを渡された。武瑠くんはティアのことが本当に大好きなんだね。まあティアもそう思ってるところあるんだけどね。この前の誕生日の夜とか武瑠くんから貰った奴を大切に箱に入れて武瑠くんの名前言ってたね。
「わかったよ。渡しておくよ」
「ありがとうおばさん。じゃあ俺は帰るから」
「気をつけてね」
武瑠くんは帰って行った。じゃあお粥作ってあげよう。
「ティア起きてる?」
「うん」
「お粥作ってきたけど食べられる?」
「うん」
「じゃあ食べさせてあげるね。あーん」
口開けてくれない。やっぱり嫌なのかな? でも私のことずっと見てる。
「……それ熱い」
「ああ、ごめんね。ふぅーふぅーはい、あーん」
パクっ……
ティアが食べた! いつもなら断るのに可愛いよ……ティアがいつもこんな感じだったら嬉しいのにな……
プルルル……
電話か……
「もしもし」
『雪奈姉さん、音色だよ』
音色ちゃんから電話とは珍しいね
「音色ちゃん、どうしたの?」
『私ね。バイトしたいんだけどあまりいいところなくてね。そっちで働かしてくれない?』
「うん。いいよ」
『ありがとう葵姉さん』
音色ちゃんがバイトに入るならティアも喜んでくれるでしょ。




