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ボクが紡いだ物語  作者: 名月ふゆき
第1章 M期 
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第1話 変わった二人

     

 僕の名前は神戸宏希かんべこうき、もうすぐ大学受験を控えていた僕はクリスマスをボッチで過ごしていたら体に激痛が走りそのまま気絶してしまった。

 気づいたら朝になっていた。



「何だったんだろ。あの激痛……」


 !?

 何か声高くなってないか? 風邪でも引いたかな……起き上がったらやけに視界が低くなっていた。



「まさか……」



 その時ボクはある1つの可能性を考えた。

 それはTS(性転換)。よく小説とかで見かけるアレである。そしてボクはTSした人のほとんどの人がする行動をとってみた。



「さらば、相棒……」



 まあね。息子がね。いなかったのですよ……

 すまぬ。我が息子、一度として使うことは出来なかった……


 とりあえず兄貴に相談しに行こう。兄貴とはボクの双子の兄で智也(ともや)という。

 え? 母さん? 行くわけないじゃん。あんな変態さんに相談したら遊ばれるわ!



「兄貴いるか?」



 そう言って扉を開けたら中には銀髪で蒼色の瞳の美少女がいた。



「誰だお前!」

「智也だよ!つかお前こそ誰だよ!」

「ボクは宏希だよ!……へ? 兄貴?」

「お前宏希なのか?」

「「いやいや……」」



 え? これがあの兄貴? なのか? こんな可愛らしい美少女が? どういうこと? 自分の状態からして嘘だとは考えにくいし……



「あらあら随分可愛らしい娘がいるわね」

「「…………」」



 次の瞬間二人の時間が止まった。









 ……逃げよう。

 走ってみた、しかし回り込まれた。その隙を見た兄貴? が逃げていった。



「あの野郎……」

「あなたは誰? どこから来たの?」



 何か全てを知っているような黒い笑みを浮かべながら聞いてきた。

 これは言わなきゃだめだな……とりあえず沈黙はヤバいからボクの名前を言おう。



「ボクは宏希です」

「そんな訳ないじゃない。宏希は男の娘よ」



 ……ん? なんか『娘』と言われた気がしたね。気のせいだよね。うん気のせい。



「じゃあ宏希の好きな食べ物は?」

「カレー」

「残念でした。宏希が好きなのはママでしたー」

「違うよ!? っていうか何このやり取り!」

「その反応まさか本物!?」



 何か胡散臭い演技のような気がするがまあ信じてくれただけ良いとしよう。



「じゃあこれ着てね」


 

 差し出されたのは可愛らしい白いワンピースだった。



「なんでだよ!」

「だって宏希は女の子なんだから可愛い服を着なきゃダメじゃない」

「それは関係ない!」

「じゃあ自分で着るかママに着せて貰うかどっちがいい?」

「……自分で着ます」



 何でこんな服持ってんだよ……

 そんなことを考えながら着替えていたら先ほど逃げたヤツが帰って来た。



「あなたは誰?」



 兄貴? にそんなことを聞いていた。めっちゃ黒い笑みで……とりあえず見なかったことにして部屋から出よう。



「あっ……待ってこれアナタの下着よ」


 

 なんかでた。さすがにこれはアウトのような気がする。



「ワンピースの時点でアウトよ」



 心読まないで欲しい。いやしかし、これを着けたらもう男として死んでしまいそう。



「こっち来なさい穿かせてあげる」

「いえ、結構です。自分で穿かせていただきます」



 とりあえず穿きました。穿いてしまいました。なんかちょうどフィットしていて心地よい。……ダメだ。気にしたら負けだ。そうだ。まずは撤退だ。そしたらリビングでコーラ飲もう!



「げほっ! げほっ!」



 めっちゃ口の中がヤバくなって吐き出してしまった。もったいないと思いながら拭いて今度は大人しくオレンジジュースを飲んだ。


 あれ? 味がしない……? 賞味期限切れかな? でも日付は大丈夫だ。危ないかもしれないし、とりあえず飲むのはやめておこう。


 その後、母さんが気絶したボクと同じ白いワンピースを着た銀髪の美少女を摘まんでリビングに降りてきた。



「それは?」

「智也」



 何があったか聞きたくもない……



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