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第65話 レイテ湾海戦(後編)

 午後6時、オルデンドルフ部隊は麾下の戦艦群6隻のうち5隻までが深手を負ったことから一旦湾内に艦隊を引き上げるようで、それに伍するように栗田艦隊もレイテ湾内に侵攻する。


 その間にも、島影に隠れていた魚雷艇が出てきては魚雷を放って消えることを何度も繰り返していた。そのたびに栗田艦隊は減速を余儀なくされ、やがてオルデンドルフ部隊を見失っていた。


 レイテ湾内に侵攻した栗田艦隊は、上陸橋頭堡となったドラッグを目指すが、その途中に輸送船を見つけては砲撃し、揚陸艦を見つけては砲撃を加え、撃破艦艇は20を下らなかった。『大和』では副砲が大活躍で副砲だけでも輸送船3隻を撃沈していた。


「日本軍艦艇が湾内に侵入、輸送船団は急ぎ避難せよ。これは演習にあらず」


「ハルゼー部隊は何処にありや。全世界は知らんと欲す」


 湾内を荒らし回っている間に傍受された平文の英文を読みながら栗田艦隊司令部は大いに盛り上がっていた。


「栗田中将、これは撃っても撃ってもキリがありませんぞ」

 小柳少将は手放しで喜んでいる。


「この分だと揚陸地点は芋の子を洗うようにフネがあるぞ」

 作戦参謀の大西少佐も嬉しい悲鳴を上げている。


「カラ船とは心中できんと言うてたやつが、何を云うておる」

 栗田中将が大西少佐を嗜めるように言う。


 午後6時半、日本軍艦艇がレイテ湾内に入り込んだ旨の緊急警報が出されると、敵輸送船団がレイテ湾からの脱出を試みる。また、タクロバンからは敵戦闘機が現れ、栗田艦隊に執拗に攻撃を繰り返す。


 この間、重巡以下の艦艇は輸送船の攻撃を、戦艦は敵攻撃機からの回避を優先して行動せざるを得なかった。また、空荷となった魚雷艇のPTボートは嫌がらせを行うかのように出てきては雷撃をするふりをして消えていくものもあった。

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