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第61話 レイテ湾への道

 午前11時、小柳少将が各艦より集めた情報を綜合して戦果を報告する。

「敵護衛空母6隻撃沈、敵駆逐艦2隻撃沈、我方損害軽微、以上」


「よろしい、連合艦隊司令部にその旨、報告せよ」

 栗田中将が司令部一同を見回して言う。

「これより、進路225度、速力24ノットでレイテに向かう」


 この言葉に、作戦参謀の大谷中佐が言う。

「お言葉ですが、敵のレイテ島上陸からすでに五日間が経過しております。レイテにある輸送船はもう『カラ船』でしょう。そのカラ船と心中するのは如何なものかと思われます」


「作戦では輸送船と心中と書いてあるじゃないか」

「あと、加えて志摩艦隊より我らの別働隊の西村部隊が全滅したという情報も入っております。レイテ湾に近づくのは得策ではないと……」


「西村部隊と連携が取れなかったのは残念だ。しかし、西村部隊が全滅したから我々が突入しないというのは筋が通らない。連合艦隊司令部がそのように判断したのなら、話は別だが」


 そこに先任参謀の山本大佐が口添えする。

「サマール島沖に展開している米機動部隊は北、中央、南の3部隊に分かれており、先程叩いたのは南部隊。しかし、無線傍受により北部隊は小沢艦隊に引き付けられたものの、中央部隊は急ぎ南方に舵を切っているとの情報もございます。このまま、レイテを目指すとして北方から空母部隊に圧迫されれば、我々の退路を断たれます。どうか慎重なご判断を」


「山本大佐、捷一号作戦は第一遊撃部隊のレイテ湾強襲、言葉を変えれば『殴り込み』作戦だ。レイテ沖には米水上戦力主力の戦艦部隊がおり、敵として申し分ない。勝っても負けても連合艦隊最後の戦いにふさわしいと考えている」


 小柳少将が参謀長として意見を取りまとめるようにして言う。

「諸君、聞いての通り栗田司令官のご決意は固い。また、小沢艦隊の犠牲もあって作戦は九分九厘成功を収めつつある。ここは九仞きゅうじんの功を一簣いっきくことなきよう各員一層の奮励努力を賜りたい」


 こうして栗田艦隊は、南東へ大きく変針しレイテ湾への道をひた走ることになる。

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