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第58話 反転、そして再反転

 午後1時12分、こんどは無慮83機の攻撃隊が第一、第二の両部隊に襲いかかってくる。雷爆同時攻撃となり戦艦『武蔵』に魚雷2本が命中し左舷に傾斜する。

 また、軽巡『矢矧』の艦首に至近弾一発が命中し、速力が22ノットに減速する。


 午後1時30分、『武蔵』にまたも雷爆同時攻撃が加えられ、爆弾2発命中、魚雷も2本被雷する。『武蔵』は船首が下がり、速力も減速したのか艦隊から落伍していく。


 司令部では、『武蔵』をどうするか検討が行われたが、そのさなかの午後2時15分、65機の米攻撃隊が殺到する。第4次攻撃隊にさすがに栗田中将は連合艦隊司令部に「ワレ数次ニ及ブ敵艦載機ノ攻撃ヲ受ケツツアリ。敵機動部隊ノ動向如何ナルモノヤ知ラサレタシ」と、暗に小沢艦隊の敵機動部隊誘引がうまくいっているのか疑問を呈する電文を送信する。


 敵攻撃隊は既に落伍を始めた『武蔵』よりも戦艦『大和』、『長門』を狙って爆撃を仕掛けてくる。午後2時16分に『長門』が2発の命中弾を受け、無線室と第一缶室通気口を破壊される損害を受け、午後2時半に『大和』も前部甲板中央部に命中弾を受ける。

 空襲は午後2時40分に終了した。


 栗田中将は、戦艦『武蔵』は重巡『利根』とともにコロン湾に回航するものとし、栗田艦隊はこのまま東進を続けることとした。


 午後3時、『大和』の甲板見張員が敵機来襲を告げる。『大和』の斜め後ろを走っていた『長門』に攻撃が集中するが至近弾はあるものの命中弾は食らってなさそうである。

 つぎに『大和』に急降下爆撃隊が集中するが、森下艦長の巧みな操艦で全てを回避する。その間に駆逐艦『清霜』に命中弾があったが、不発であった。第二部隊の方にも攻撃があったようだが、損害は軽微なようである。


 第一遊撃部隊司令部で栗田中将が唸るようにして言う。

「もう5回にわたる空襲だぞ。敵がおとりに食いついていない証拠ではないのか」


「連合艦隊からも、小沢艦隊からも一切無線が入って来ません。島村様、本当に囮作戦はうまくいくのでしょうか」


 小柳少将の疑問に私は答える。

「作戦の最後にはうまくいくはずです。時間的に今はお味方に不利な時間帯と見受けられますので、ここで偽装して反転するのも一策です」


 それを聞くと、栗田中将が決断を下す。

「よろしい、一旦、艦隊を反転し西に向かう」


 号令一下、栗田艦隊は今まで来た道を引き返し、西へと戻っていく。

 そして、これを見たハルゼー指揮下の索敵機は栗田艦隊反転を空母群に向けて打電した。

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