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第55話 重巡3隻の喪失

 矢野主計中佐の言うところによると、栗田司令の坐乗していた旗艦重巡『愛宕』が朝、『高雄』、『摩耶』とともに潜水艦の雷撃によって撃沈され、司令部ごと夕方、『大和』に移乗してきたらしい。


 現在、『大和』には第一遊撃部隊司令部と第一戦隊司令部、さらに『大和』艦長ら幕僚が艦橋に集まっており少なからず混乱もあるようだ。


 矢野中佐に連れられるまま艦内を歩いた先には長官室があり、そこで矢野中佐はノックをして長官室に入る。


「栗田司令、島村様をお連れしました」

 険しい顔つきで書類に目を通していた栗田中将は顔を上げると柔和な面持ちに変わる。


「これは島村様、ご降臨いただきありがとうございます」


「マリアナ沖以来ですかね、栗田中将」


 勧められるまま席に座ると、栗田中将が尋ねてくる。

「今日、お越しになられたということは、このレイテ沖決戦、なにか不測の事態でも起こりますかな」


「不測の事態が起こるのは最後の決戦の時です。まだしばらくは局地的な争いに過ぎないでしょう」


 私が答えると、栗田中将が言葉を選びながら訊く。


「あと……小沢艦隊は今回はその、役目をうまく果たせますか」


「それは間違いなく果たせるでしょう。栗田艦隊、西村艦隊、志摩艦隊はいずれも主力部隊の鍵となる空母戦力がありません。敵は小沢艦隊こそ主力部隊だと判断して食って掛かりますよ」


「そうですか。それを聞いて安心しました」


 栗田中将は独りごちるように言うと、私たち二人を艦橋に案内してくれた。

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