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第51話 元帥府戦史研究室

 私とサナエは、『大鳳』の酷い揮発性ガスの充満に耐えきれず、艦隊が北東に進路を変針した頃にこっそりと高天原へと帰ってきた。


【戦果】空母『バンカーヒル』、『ワスプⅡ』、『レキシントンⅡ』撃沈確実

    軽空母『ベローウッド』、『カボット』、『ラングレー』撃沈確実

    空母『ホーネットⅡ』、『ヨークタウンⅡ』、『エセックス』、『エンタープライズ』撃破確実

    軽空母『モントレー』、『カウペンス』撃破確実


【損害】空母『翔鶴』、『飛鷹』喪失(『大鳳』小破後、爆沈)

    空母『瑞鶴』、『隼鷹』、『千代田』撃破

    未帰還機 406機

    タンカー 2隻


 元帥府に戦場からの転移を報告すると、いつものように元帥府戦史研究室に出頭するよう命じられた。


 戦史研究室にノックをして入ると、早速、伏見宮が詰問してくる。


「いま、空母『大鳳』が引火誘爆によって沈没したようだ。あれはどうにかして救えなかったのかね?」


「やはり、揮発性ガスでしたか。お恥ずかしながら逃げてくるだけで精一杯でした」


「まあ、『大鳳』の話はさておき、今回は惜しかったねぇ。残り軽空母3隻というところまで迫ったんだからねぇ。最後は夜戦も視野に突っ込んでいたら……」


「『大和』、『武蔵』、『金剛』、『榛名』の4隻だけでは残念ながら勝算はありません」


「第1次ソロモン海戦で艦隊殴り込みをして大混戦を勝ちきった君なら、良い戦いをしておったと思うんだがねぇ。ほら、戦は数じゃないとか言うでしょう。とにかく、あと一撃出てれば、サイパンも救えた可能性もあったじゃろうに……」


 今回、『一撃講和』という言葉に惹かれて督戦したものの、その一撃がかなり遠くにあることを知らされた戦いでもあった。




(秋山サナエ篇・了)

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