第46話 九九式艦爆の苦闘
攻撃隊からの入電で米軍の残る正規空母が1隻となったことから、小沢機動部隊司令部は索敵機の情報をさらに集めだした。そして、午前10時15分、乙部隊から零戦20機、九九式艦爆27機、天山3機の計50機が残る最後の空母群めがけて発進していった。
午前11時20分、甲部隊の空母『翔鶴』が米潜水艦によって3本の魚雷を受け、同時にガソリンタンクに誘爆し手のつけられない大火災となった。
午前11時40分、前衛部隊の攻撃隊が帰還した。零戦14機中2機、爆装零戦43機中9機、天山艦攻7機中4機の計64機中15機が収容され未帰還機49機が報告された。
午前11時50分、甲部隊の攻撃隊が帰還した。零戦48機中22機、彗星艦爆53機中28機、天山艦攻29機中9機の計130機中59機が収容され、未帰還機71機が報告された。
午前11時55分、乙部隊の攻撃隊49機が敵空母群の海域に到着すると、そこにはF6F艦戦約60機が待ち構えていた。乙部隊攻撃隊の零戦17機は、爆装を解いた零戦25機とともにF6Fとの戦闘に入っていった。
天山艦攻7機は残る第4機動部隊群めがけて射点に入ろうとするが、2機のF6Fが立ちはだかる。同時に母艦からの対空砲火もあいまって4機が退避せざるを得なくなる。残る3機のうち、2機がF6Fによって落とされ、最後の1機が空母『エセックス』に魚雷を放つが避けられてしまう。
結局、乙部隊の攻撃隊49機は、F6F艦戦53機撃墜を報告するが我が方も33機を撃墜され、天山艦攻の攻撃も成功しなかった。
続いて午後0時50分、乙部隊の第2波50機が同海域に現われるが、またもやF6F艦戦約60機の待ち伏せに遭う。零戦隊は必死で艦爆隊の護衛に入ろうとするが、数で優るF6Fは零戦を相手にせず、艦爆隊を繰り返し攻撃することで九九艦爆を次々に屠っていく。
旧式機の悲しさか速度が遅いので如何せん急降下爆撃地点までたどり着けない。
ようやく艦爆隊が急降下地点に到達したのは九九艦爆が8機まで撃ち減らされたときだった。降下を開始すると、今度は空母と防空巡洋艦の打ち上げる対空砲火に火達磨になる機が増える。結局、最後の九九艦爆が体当りしたほかは、空母『エセックス』に命中弾を与えることはなかった。
また、天山艦攻の場合はもっと悲惨で数機のF6Fが一航過しただけで全機落とされてしまった。




