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第43話 持たざるもののレーダー戦術

 午後5時半近くになってからだった。

 伝令所が告げる。


「攻撃隊よりト連送受信!」


 攻撃隊はレーダーピケット艦付近の海域から超低空飛行に転じて敵艦隊のレーダー網をかいくぐり、敵艦隊付近で急上昇に転じ上空三千メートルから攻撃を仕掛けたのである。


 攻撃隊は米機動部隊の第1機動任務群に取り付いて急降下爆撃の態勢に入る。エセックス級空母『ホーネットII』には大鳳隊9機が、同じく『ヨークタウンII』には翔鶴隊9機が、軽空母『ベロー・ウッド』と『バターン』には瑞鶴隊9機が狙いを付ける。


 大鳳隊が激しい対空砲火をかいくぐって悪魔のような精密さで『ホーネットⅡ』の前部エレベーター付近に命中弾を与えると、翔鶴隊も『ヨークタウンⅡ』の艦橋付近と後部エレベーターに2発の命中弾を、瑞鶴隊も『ベロー・ウッド』の艦橋付近に命中弾と『バターン』に至近弾2発を与えた。


 雷撃隊は5機が落とされたが、4機は発射地点まで飛び魚雷を投下する。まず、『ヨークタウンⅡ』に魚雷が艦尾付近で水柱を上げる。

 続いて『ベロー・ウッド』の艦種と艦尾に2本の魚雷が命中し、最後の魚雷は『ホーネットⅡ』の艦尾をかすめて回避された。

 『ベロー・ウッド』は左舷に大きく傾き沈み始めている。残りの空母は煙を上げながらも爆撃回避運動を行っている。


 攻撃隊を取りまとめた藤田中佐が早々に戦場をあとにする。


「ワレ、エセックス級空母2隻ヲ撃破、護衛空母1隻ヲ撃沈セリ」

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