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第34話 伊東ハルカの索敵

 伊東ハルカが艦橋の海図を指して言う。

「敵駆逐艦2隻、ガ島南方水路から北方水路にかけて哨戒中」


 五分ほど遅れて伝声管から「敵艦、右舷九〇〇〇メートル」の声がする。


 午後11時30分、駆逐艦の哨戒線を突破したことから「全軍突撃せよ」が発令される。


「敵巡洋艦2隻、右舷方向」


 ハルカの声に誘われるように『鳥海』は左へ旋回し右舷方向に魚雷を発射させる。重巡『キャンベラ』の艦種付近に2発命中し、さらに続いて『鳥海』の放った砲撃の第一斉射がきれいに命中する。


 『鳥海』のあとに続いた『青葉』、『加古』、『衣笠』が、燃えさかる『キャンベラ』の後ろから現れた重巡『シカゴ』を砲雷撃で圧倒し、あっという間に『シカゴ』が落伍してゆく。


「さらに東に敵巡洋艦、輸送船多数」


 『鳥海』の水偵に「吊光弾落とせ」の指示を出すと、ガダルカナル島を背景に重巡『オーストラリア』の影が浮かぶ。


 『鳥海』、『青葉』が魚雷発射とともに『オーストラリア』に突入する。その後に『加古』『衣笠』が砲撃をしながら猛追する。


 午後11時50分、「ワレは味方なり」を発信していた『オーストラリア』の艦橋に命中弾が立て続けに炸裂し、ようやく『オーストラリア』は敵と気づいたのか砲撃を開始する。


 『鳥海』、『青葉』、『加古』、『衣笠』の斉射を浴びた重巡『オーストラリア』は右舷に魚雷を受けて大きく傾いていた。しかし、驚くべきはそれだけではなかった。


「これは、すごい」


 『鳥海』の艦橋で指揮をとっていた三川中将は『オーストラリア』の後ろに見える輸送船を見て、呟くように言った。

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