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第33話 ガダルカナル泊地に空母なし

 昼を過ぎて三川艦隊が放った偵察機から敵情が送られてくる。


「ガダルカナル島の水域にある敵艦は、戦艦一、巡洋艦三、駆逐艦七、輸送船十九と見られます」


 三川中将はそれを聞くと私に聞く。

「島村様、敵空母はガダルカナル島近辺にはいないんでしょうか」


「はい、フレッチャー指揮下の空母3隻『エンタープライズ』、『サラトガ』、『ワスプ』、戦艦1隻、重巡洋艦5隻を基幹とする空母機動部隊はソロモン諸島の南まで退避しています」


「なぜ、逃げるんでしょうね」


「すでにフレッチャーは珊瑚海で『レキシントン』を、ミッドウェーで『ヨークタウン』と『ホーネット』を失っています。これ以上の空母の損失は避けるべき、との考えが彼の頭を支配しているのを誰が責めれましょう」


「なるほど、虎の子の空母を守りたいというのは分かります。我が艦隊にとっては天佑神助にほかなりませんが」


 日没前に第八艦隊司令部は、こちらを攻撃可能な空母はガダルカナル島周辺二五〇海里には無いと判断を下した。


 午後4時40分、三川艦隊鳥海に信号旗が上がる。


「帝国海軍の伝統たる夜戦に於いて必勝を期し突入せんとす。各自冷静沈着くその全力を尽くすべし」


 午後9時10分すぎ、三川艦隊から水上偵察機が三機、放たれる。いずれも戦場を明るく照らす吊光弾を投下するもので、砲撃音と同時に吊光弾を投下することが事前に決められていた。


 午後10時40分、「総員戦闘配置につけ」が発令され、三川艦隊は26ノットのスピードでガダルカナル南方水路に向かっていた。

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