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第26話 ミッドウェー基地艦砲射撃

 6月5日午前4時、索敵機の手配からミッドウェーの朝は始まる。


 昨日と同様に7機の索敵機を飛ばして各機が哨戒線の先まで行き渡ったところからが行動開始の合図のようなものである。


 今日は以下のミッドウェー基地砲撃支隊(別動隊)を南雲機動部隊から切り離し、南からミッドウェー基地を36センチ砲により制圧する。


ミッドウェー基地砲撃別動隊

第三戦隊第二小隊 戦艦:『榛名』、『霧島』

第四駆逐隊 駆逐艦:『野分』、『萩風』、『舞風』

直掩機 零戦9機


 もちろん、私とイソエは攻撃の恩寵バフを与えるという大義名分のもと、高間大佐の座乗する『榛名』に移る。

 対潜水艦防御のため、砲撃は時速18ノットで行うものとされミッドウェー基地南を4往復航過する間に実施するとされた。


 別働隊がミッドウェー基地南の砲撃開始点に到着したのは午前11時になってからだった。


「砲撃は艦橋からご覧になられますか?」

 高間大佐から尋ねられると私は一も二もなく首肯した。イソエも私につられるかのように頭を下げる。


「結構ですよ。ただ、少々揺れますのでなにかに掴まっておられることをお勧めします」

「は、はぁ」

 私は戦艦の主砲発射に際しての揺れや何かについてピンとこなかったが、実際に射撃が始まってから高間大佐の言葉を思い出すことになる。


 ミッドウェー島から距離約二万メートルの海上で午前11時5分、「打方始め」が下令される。


 一斉射で8発の36センチ砲弾がミッドウェー島に吸い込まれてゆく。

 ドォンドォンという轟音に前檣楼は振動し、発砲の閃光と発熱で顔が火照るのを感じる。


「初弾命中!」


 甲板員の報告によくぞ、あんな小さな目標に砲撃を当てられるものだと私は感心する。


 後続の『霧島』が砲撃に加わると一斉射で十六発の徹甲弾と零式弾(榴撒弾)が飛行場にバラ撒かれることになるのだ。そこに山本イソエの攻撃恩寵バフ、オーバーキルにならなければ良いのだが。


 午後0時30分、予定通り4航過の発射を終えて四百八十八発の徹甲弾と零式弾が打ち込まれた。


 島からはほとんど反撃らしい反撃はなく、別動隊は本体への合流を目指して帰路に着いた。

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