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第19話 上策・中策・下策

 草鹿少将はゆらりと立ち上がると隣接する長官公室へと入る。


 長官公室は参謀長室より広く10人掛けのテーブルが用意されており、左端に南雲長官が座っていた。


「押しかけてしまってすみません」


 草鹿少将がそう言いながら入っていくと、南雲長官は私に会釈をし、草鹿少将から先ほどの話を聞いている。

 ひと通り話を聞き終えると、深く頷いて南雲中将は言う。


「お久しぶりです、島村様。今日のご降臨の意味は草鹿から聞きましたが、果たしてどうしたら宜しいのか分かりかねます」

 南雲中将は不安な顔つきを隠せないまま私に聞く。


「ならば、方法は3つございます。まず、一番の上策は作戦計画が破綻したので作戦中止すること、これが一案です。次の中策は敵味方を騙して逃げること、これも一案です。そして最後は下策ですが作戦計画通りに罠にまってしまうこと、これはお勧めしません」


「上策は確かに理にかなっているが、私の立場では絶対に取れない案だ。そして下策は私の名分は立つが、数多の将兵を犠牲にするので取りたくない」


「ならば、中庸という言葉もありますから中策を取りましょう」

 私のその言葉に草鹿少将が反応する。


「敵味方を騙して逃げるというのは武士道に反する、否、味方を騙すことは必要でしょうか」


「まあ、草鹿君。私の司令官の立場を立てながら、実利も得ようと言うんだから、必要な齟齬や嘘が生じるんだろう。一芝居必要と言うなら一芝居打ってやろうじゃないか」


 その後、長官公室に司令部の要人を呼んで夜遅くまで打ち合わせは続いた。

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