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第12話 米海軍ハルゼー艦隊

 すると直後の午前9時2分、『赤城』は「全軍、突撃セヨ」を意味するト連送を傍受する。


 米軍ハルゼー艦隊は空母『エンタープライズ』を中心に重巡『ノーザンプトン』、『ソルトレイクシティ』、『チェスター』の三隻と駆逐艦九隻が護衛しており、直掩機としてF4Fワイルドキャット6機をつけていた。


 たちまちF4Fが、低空を飛ぶ加賀艦攻隊に襲いかかり3機が撃墜される。赤城零戦隊はF4Fの後ろにピタリとつけて追い払い、巴戦の中で一機、また一機と撃墜していく。


 米艦隊上空では、翔鶴艦爆隊のうち9機が『エンタープライズ』、残る9機が重巡へと向かって急降下爆撃の態勢に入る。この頃になると米艦隊から浴びせられる弾幕が濃密になり、艦爆隊も4機が火達磨になりながら力なく海に落とされる。


 そのうち恐るべき練度で超低空飛行を続ける加賀艦攻隊が射点に到達すると、次々に魚雷を投下する。最初の3本の魚雷は見事にかわした『エンタープライズ』も遂に左舷前部に魚雷を受ける。それと同時に急降下爆撃の二五〇キロ爆弾の直撃弾6発が命中し艦に火災が発生する。


 速力が低下した『エンタープライズ』の左舷後部をもう一発の魚雷が命中し水柱を上げる。また、彼女の隣で奮闘していた重巡『ノーザンプトン』の艦橋付近に二五〇キロ爆弾の直撃弾が、後部砲塔右舷側に至近弾が落ちる。


 遠藤大尉が戦果確認のため『エンタープライズ』の方に目を遣ると飛行甲板が大きくめくれ上がり、機関を停止して煙をもうもうと上げているのが見えた。

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