召喚勇者
感想、評価ありがとうございます!!
励みになります。
修正しました。
前任の選定勇者が戦死した。
王妃様や巫女の様子からそれは事実なのだろう。
勇者が次元の悪魔の襲撃の第一波で戦死するという事態。
クリスなら「それなんて無理ゲー?」と言いながらも嬉々としてプレイするのだろう。
アイツ、オタクな上にMだからなぁ……
これ以上、どんだけ属性が付くのか、留まるところを知らない奴だ。
……思考が脱線したな。
さて、普通なら怒る、泣き喚く等、この絶望的状況かで何らかの感情を発散させるのだろう。
だが、俺はいたって平静だ。
何故なら……
「…それで先任と同じ轍を踏まない為に、後任を選定勇者では無く召喚勇者を選んだ訳だ。」
その言葉に王妃の目の色が変わる。
彼女の中で俺の評価が若干上方修正されたのが、分かる。
選定勇者と召喚勇者の違い
この世界に置ける信頼性と高い戦闘経験を持つだろう選定勇者に比べ、召喚勇者は人格や能力が不明瞭な人間に命運を託すということができる筈が無い。
いや、伝説の武器とやらがこの世界にはもう適合者がいなかったという可能性もあるが古から伝わる召喚の儀式にそんな強さに疑問を持つ不完全な補欠勇者を召喚する術など、後世に残さないだろ。
つまり、選定勇者を上回る何かが召喚勇者にはある。
というか十中八九、俗にいう異世界補正と呼ばれる特典、特殊能力だろ。
異世界に渡る前までは通行人A程度の凡人だった癖に、
やれ、怪力になったとか
異世界の言葉が理解出来るとか、
魔力が極端に上がった
ジャンプ力が上がったとか、
道具作成能力が付いたとか、
アイテムボックスが超便利~♫とか、
なでポ、ニコポが使えるとか…
異世界に渡ることでその世界に住まう強者に対抗ないし、凌駕する能力を得るのではないか?
しかも世界の命運を託す勇者なのだから、その特殊能力もかなり高いものがつく筈だ。
というか付いていて欲しい!!
じゃないと俺死ぬから!!
先任の歴戦の勇者みたく、犬死するから!!
………いや、どんな能力が俺に宿っているのかは当たりがついているけど。
この世界に来た時の出来事を思い返せば自ずと答えが出る。
更に王妃の隣に控える召喚の巫女は涙目に加え青ざめた表情で俺と王妃をオロオロと交互に見ている。
あの様子だと王妃に念話を行っていなようだ。
ポーカーに向かない娘だな~。
念話で注意を呼びかけていたら、あんな可哀想な事になっていないだろうし、俺が想像通りの特殊能力を得ているという確信にもなった。
彼女は『召喚魔法を勇者様が拒絶して帰られた。』と言った。
そして、再召喚では無く『念話による説得』という行動を取った。
何故、彼女は念話なんて無駄な真似をした?
有無を言わさず、再召喚してしまえばいいのに。
世界滅亡の道連れになりたくない勇者はそれこそ、死に物狂いでこの世界で強くなり戦うだろう。
それは、彼女が俺の能力を知ったからだ。
儀式の効果、召喚の巫女の能力かどうか手段は知らないが、彼女は俺の能力を知り、恐怖していた。
王妃が選定勇者の存在を仄めかす発言をし、俺がそれにきづいた時に、召喚の巫女が涙目になったのは、決して俺に同情したとか、先任の勇者の死を偲んだからでは無い。
俺がこの世界を見捨てるという選択肢を取れる事を知っていたからこそ、その悲惨な結末を幻視したからこそ涙を流したんだろう。
そう、勇者召喚を拒否し、ほぼ独力で異世界を渡った。
俺が召喚によって得た能力は
奇しくもこの世界を滅ぼす『次元の悪魔』と同じ能力だった。
あれ? これって世間にバレたらヤバくね? もう、帰ろうかな?
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児玉 浩一
レベル1
装備武器 聖球
装備 異界の服(ユ○クロ)
特殊能力 『世界扉』(NEW)
習得魔法 次元魔法適性 レベル0(NEW)
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未だに名乗らない無礼な勇者、次回、勇者の武器登場。




